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短歌連作「鬱」 26首

同じ日に生まれた友は自殺した 愚かさのぶん生きている僕


明暗が裂かれるほどに分かれてて話題が絞られていて三十路


「おめでとう」ひとつ言うたび離れてく距離が世界があなたが彼方


「持っている」ただそれだけで「持ってない」人を傷つけうるということ


友人はずいぶん減ったそれぞれの戦争があり認め合えない


金持ちや有名人になりたいというだけならば短歌をしない(でも金は要る)


出る杭も出てない杭も打たれてくただ打たれてく打たれてく杭


十代を受験勉強に捧げたがどれほど意味があったのだろう


勝ち負けは知らないけれど人生にハードモードはあって苦しい


主治医には何も言えない言いたくないただ鬱と言う薬は増える


サイレース眠れるくすり オーロラをふりまく魔法みたいな名前



コンテストの審査基準を読み切った 「君、いらない」と言われた気分


求められることとやりたいことの差の大きな河に溺れてしまう


これだけが取り柄でこれは譲れないだがそれすらもうまくいかない


もう売れて応援歌出すアーティスト 「もうさよなら」と言われた気分



興味ない短歌の人のツイッターなぜか一年分見てた夜


脳内に膨張してく青春が輝きすぎて殺すしかない


木っ端微塵 終わりに終わったあの日から我は太陽系の塵芥


銀河的価値観により漂ってただ漂っているのが正義



「つらいのはお前ひとりじゃないんだぞ」知ってる、だから短歌にしてる


THE BACK HORNを聴くと鮮烈に彼の掴んだ空と忘却


青春といまさら知った 雨の午後、銭湯でした哲学談議



絶望じゃないと知ってるもっとでかい絶望なども踏んづけてきた


きっと死が迫り来る夜に霧は去る 何がほんとに大事だったか


どうしたいどう在りたいか試しつつ考えつつも慌てず歩む


百年後消えてるものの比べ合い 全部出し切り絶命したい





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眠れない夜に

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