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「そっちの世界もあるよね。でいいじゃん。」


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では、本題。



ジョナサン・ハイト著・「社会はなぜ左と右にわかれるのか 対立を超えるための道徳心理学」を読んだ。

バージニア大学で心理学部教授を務める社会心理学者が書いたこの本は、人間には正義心が本性として備わっていることを示しながら、

なぜ左右の政治思想や宗教をめぐる対立が起きるのか?


皆で仲良くやっていくことがなぜこんなに難しいのか?を知れる一冊。

超骨太の内容だったから、正直読み解ききれていないなと感じるけど、人間心理を理解するにはかなり勉強になった。



この本では道徳心理学の三つの主要原理を提起してくれる。



一つは、「まず直観、それから戦略的な思考」


人は理性的に思考する能力と、道徳的な直観(情動・情熱)能力の両方を備えている。

ただこの二つには主従関係があり、理性は情熱の召使いだと言う。

人間の心は乗り手(理性)と象(情動・情熱)にわかれ、乗り手は象に仕えるために進化していったんだ。

つまり人は、「まず直観が働き、それから戦略的な思考」をするという。

何かを見る・聞く・感じると、最初に象が(情動・情熱)が反応し思考や行動に影響を及ぼすんだ。

象は絶対的な独裁者ではないけど、最初から乗り手が主導になることはない。



二つ目の原理が「道徳は危害と公正だけではない」をもちあげる。


人は、危害や苦痛・公正と不正だけに注意を向けるものではない。


味覚が甘味・酸味・塩味・苦味・旨味を感じれるように、


人の心も危害と公正だけじゃなく、自由・忠誠・権威・神聖といった合計六つの道徳的直観を持っているんだ。


この六つのは人それぞれ感じ方が違うから、それが政治思想や宗教の違いを生む。



三つ目の原理が「道徳は人々を結びつけると同時に盲目にする」だ。

人間の本性は利己的ではあるんだけど、他集団との競争するにあたっては自分だけじゃなくて自分が所属する集団が勝つように動く。

つまり、人間は聖人ではないけど、ときに良きチームプレーヤーになる。


これが実は盲目になってしまう原因なんだ。


それは、良きチームプレーヤーになり高尚な利他性を発揮はするんだけど、その大部分は自分が所属している集団だけにだから。


政治思想や宗教を自分と結びつけ受け入れると、どうしてもそれ以外の世界には攻撃的で盲目になってしまうんだ。



結局、なんで人々は政治や宗教をめぐって対立するのか?

善人と悪人がいるからではない。

それは人間の心が、自分が所属する集団に役立つ正義(危害・公正・自由・忠誠・権威・神聖)に反応するからだ。


そして直観が戦略的な思考を突き動かす。


これが人間の本性で、皆が仲良くなれない原因だ。



だからこそ、意見と違う人と出会ったら心がけないといけない。

即断しないこと、敬意をもつこと、誠実であること。


この本を読んで人間心理を知れば、本の中で最初に引用されているロドニー・キングの言葉が染みてくる。
(4人の白人警官に暴行を受けた黒人容疑者。ロス暴動のきっかけの一つにもなった事件。)

「皆で仲良くやっていこうよ。
 お願いだよ。ここで仲良くやっていけるはずさ。
 必ず仲良くやっていけるはず。
 誰もがここでしばらくいきていかなきゃならないんだ。
 だから、やってみようではないか。」



もともと仲良くなるのは難しいんだ。

そっちの世界もあるよね。でいいじゃん。



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