見出し画像

僅かに孤独を癒した優越感と、その大袈裟な代償による罪悪感の二律背反

クリスマスが終わった。
イブの夜と昨夜はアルバイトしてた。
サンタクロースが被ってると同じ赤い帽子を被りながら「今日はクリスマスなのになんで私バイトしてるの」って思いながら。
クリスマスは特に独り身の寂しさを感じる。
恋人や家族がいる人はパーティーをするし、恋人がいなくても友達とパーティーする人だっているのに。まあ、そういう人たちが散財している分、いつも通りの生活をして散財を防げていると考えれば孤独をなんとか慰められるけれど。まあ、一人で過ごすよりは同じ境遇のバイト仲間と過ごした方がマシだ。

バイト先で二日連続長時間勤務して、12/25は店長もお休みなのにわざわざ店まで来てくれて二日連続でケーキを買ってくれた。いい人過ぎる。好きになる。好きかも。世の中の男の中で二番目に好きだ。

アルバイト先の元先輩が私の一番好きな人で、好きとか伝えられなかったから付き合ったりデートしたりすることも、一緒に働くことも出来なかったけど、イブに10分ぐらい近況報告の電話して幸せだった。

幸せに大きい小さいがあるとして、大きい幸せが彼に告白して了承されることや彼と結婚することだとしても、電話するのは決して小さな幸せじゃない。
私は彼のことを思い出すだけでまだ泣きそうになる。まだ好きなのだと思う。想像するだけで幸せで苦しい。
彼の貴重な時間を裂くから電話掛けるなんて滅相もないって卑屈になってたけど、思い切って掛けてみたら彼は本当に優しくて、いつも通りだった。

助けてくれたし沢山笑った。

孤独を紛らわせられた。
以前のように一緒に働けたらなあと思った。
あの時がどれ程幸せだったか、私はよく思い出す。

喩えどれ程いい男が現れたとしても、彼に勝ることはないでしょう。
彼にはいくつも欠点があるけどそれ全てが彼の魅力に帰結する。愛さずにはいられない。神様のような人でした。彼は素晴らしい人でした。彼に似た人を見る度に彼のことを思い出すし、泣きそうな気持ちになる。
さっきも彼とよく乗り換えや喫煙所で利用した京都駅構内で、彼の使ってた京都線乗り場のエスカレーターに彼の後ろ姿にそっくりの男性が乗っていて思わず大声で彼の名前を呼びそうになった。
確かに時間帯的に彼がいた頃の退勤時間とちょうど合う時間だったけど、よく考えたら彼はいるはずなかった。イブに電話した時、彼はクリスマス当日はスロット打ちに行くと言ってた。いるはずがないのに、この私の目は常に彼を探してしまう。いるはずのない彼の姿を。面影を。
記憶からも常に彼を呼び出す。一昨日は彼のような顔の人が電車に乗ってた。意図せずにしばらく見つめてしまった。似てたけどそれは髪色と肌の色と目元だけで、その人も多少ハンサムな人だったと思うけど彼の美しさには全く及んでいない人だった。彼の方が顔が小さいし鼻が高いし、唇はほどよく血色があって薄くて横長だし、輪郭がシャープだし、似ていた目元でさえ完全に蒙古襞が被っていないより綺麗な幅広の二重瞼で垂れ目で瞳も信じられないくらい透き通った鳶色で大分違ってたし、より細身で背が低い。彼はその存在が奇跡なのだと改めて思った。美しさが奇跡的なんだ。偶然神によって思い入れ深く振られた、信じられないくらい良くできた采配。

彼は美しい人でした。美しくて、誰にでも親切で、気品がありそうなのに乱暴なところもあって、ふわふわしてるところもありました。頼ったらいつでも期待以上のことをしてくれて何度も私を救ってくれました。いつでも私の味方でいてくれました。いつでも私の美しさやセンスを(あるなしを問わずお世辞でも)褒めてくれました。
彼のためなら何でもしてあげたいと思える人でした。彼には愛を教えられました。彼には信じられないくらい良くして貰いました。彼の素晴らしさは全員が知っていました。彼のような素晴らしさに憧れました。彼に私の人生全てを幸せにして貰い続けたいと思ったし、私の持つ全ての彼にとって良い部分を厭わずに捧げたいと思いました。彼のためなら自分の全てをより良く変えたいと思いました。彼はそう思わせてくれるくらい私には大きな存在で、小さくて華奢な身体でいつも大きなものを何か抱えてた。
語ろうと思えばいくらでも語れます。

今年のクリスマスのよかったことはこの人との電話くらいでした。

これのお陰で孤独な二日間を乗り越えられました。優越感とでも表せられる感情。好きな人の時間を電話機の向こう側にいる私だけのために裂かせたこと。幸せはこのためにあったと思った。幸せという言葉の本質、幸せという言葉の意義。全てを智見した。
優越感と罪悪感の二律背反。
あの人と話せた優越感に浸った。そして、あの人の時間を奪ってしまった罪悪感に苛まれた。
幸福は心を満たすけど、あの人の優しさをあの数分間私だけのために注がせてしまった罪悪感に魂を縛られた。
ちょっと大袈裟だけどそんな感じがした。

良い思い出と言えることが少なくて主に退屈だったクリスマスイブとクリスマスの二日間だったけど、楽しかったです。毎年はこれよりも悪いと思うから。

バイト以外の時間はずっと寝てたけど、クリスマスの昼間、バイト前に京都駅で降りてタワーの赤緑のクリスマス用ライトアップを見ながら東本願寺までお散歩して、予約してた脱毛に行ってきた。
今回のミュゼのお姉さんが信じられないくらい良い人だった。
私の下手くそなシェービングのせいで結局VとI以外の全身をほぼシェービングしてくれた。くすぐったがってしまうけど「私もくすぐったがりだから分かりますよ。素早く終わらせますね」っていちいち声を掛けてくれた。
前回の人は「くすぐったいのが我慢できなくてしんどいなら施術諦めますか?回数は次回に残せますがちゃんと家でシェービングしてきてくださいね」って感じだったから今回のお姉さんの優しさに泣きそうになった。くすぐったいのがしんどいのは当然。特に腹。拷問だ。我慢できない。身体が勝手に捩れた。思わず笑ってしまった。
施術も接客も前回よりも丁寧だった。またこれからもこの人が担当ならいいなと思った。
全身はよく分からないクーポンで予約しただけで、腹や背中の脱毛は興味なかった。やりたいともやりたくないとも思わないけどタダだからやっただけ。
だから今回が最後で、次回以降はVIOと両腕脚と脇だけ。お陰で次回移行大分楽だ。自宅でするシェービングもやり易いし。

いつかクリスマスを過ごせるような相手が出来ると信じて自分磨きしていこうと思う。

「中が水の鍋はいくら?」「2円(煮えん)」
「水割りのお酒は?」 「4円(酔えん)」
昨日忘年会終わりの酔っ払ったオジサンが教えてくれた駄洒落で締めます。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?