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【本の紹介】あした咲く蕾/朱川湊人

私は10代の頃から生きることに対して
ネガティヴな感情が強くあった。

そんなことが影響してか、
10代や20代の頃によく
長生きしたくないから
自分の残りの寿命を、残りの命の時間を、
好きな人や生きたいと命を求めている人に
分け与えることができたらいいのに、
と思っていたことがあった。

例えば家族や友人が病気になったり怪我をしたり
余命を宣告されるようなことがあった時、
自分の命を分け与えることで、
病気や怪我が治ったり進行を止めたり
長生きすることができたらいいのにな、とか。

私以外にも、そんなことを考えたことがある方は
沢山いるのではないかな、と思います。

そこで今日紹介したい本のお話。

朱川湊人さんは私の大好きな作家の1人です。
好きな作品は沢山ありますが
確か初めて読んだのは8〜9年ほど前になりますが、
「あした咲く蕾」
という短編集があるのですが
これも特に大好きな作品のひとつです。

その短編集の中に入っている表題作に、
まさに、自分の命の時間を分け与えることができる
ひとりの女性が登場するのです。

初めて読んだ時は、驚き、そして感動しました。
自分が10代や20代の時にできたらいいのにと
考えていた事が出来る登場人物が出てきて、
物語になっている、と。

物語とその力の設定を簡潔にまとめると、

主人公は小学生の男の子で
その男の子のおばさんが、特別な力の持ち主だった。
関西弁の陽気で優しすぎるおばさん、だったはずが
命を分け与えられるという特殊な力があった。
けれどその能力にはもちろん限界がある、
なぜならその能力の源となっているのは
命そのものだから。
命を分け与えた分、自分の命が減るということだ。
そしてその残量までは、分からない。
自分の残りの寿命を知ることは不可能だから。
コップに入っている水があと半分なのか
それともあと一滴なのかは、分からない…

小さな力の使い方としては
枯れてしまった朝顔を甦らせて
あした咲く蕾を作ってくれる、
捨てられた子猫を助けてしまう、
というようなものだったのですが、
それも本来であれば、
コップの水の最後の一滴だったかもしれない
朝顔を甦らせて死んでしまっていたかもしれない
そんな諸刃の剣どころではない力。
その後、そのおばさんはどうなったのか…

といったお話になります。

これを読んで、
「あした咲く蕾」
という本を読んでみたいと思ってくださった方が
いるかもしれない、ということを考慮し、
より詳しい内容や結末を書くことは控えます。
少しでも興味を持ってくださったら
ぜひぜひ、読んでみてくださいね。

オススメです!



それでは今日はこの辺で。


最後まで読んでくださってありがとう。

また気が向いたら、来てくださいね。


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