いさむ

アロマンティック・アセクシャルなオタク。

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最近の記事

ジェンダー幻想

2023年になってから文庫版の発売、ドラマ放送ととっつきやすくなったナオミ・オルダーマン著「パワー」。女性特異的な発電器官が発達し、電流を自在に操れることで肉体的な弱さを克服したら世界はどうなるのか?というSF小説。 ”女らしさ”という言葉から連想されるものは「優しい・かわいい…」といったもの、”男らしさ”では「たくましい・強い…」などが挙げられるだろう。先史時代に男性は狩りをし、女性は採集と育児を、近代まで男は仕事、女は家庭と言った性別役割分担が当然という認識に基づいたイ

    • "フェミ"という侮蔑用語

      楽しみにしていた2巻が発売された。霧、閉鎖的な学園、自分そっくりの人間、ほくろが2つある多数の登場人物と散りばめられた謎が今後どういう形を取るのだろうかと期待して次巻を待つ。舞台は近未来っぽいのでSFなんだろうが、僕個人としてはミステリ味強めな感じがしている…。面白ければ何でも読みます。 巻末収載されているインタビューからも明白だが、本作はフェミニズムの要素を強めに押し出している作風であると思う。女性として生まれ、女性として生きることは多大な労力を払い日々摩耗することだ、と

      • 小説版 恋せぬふたり

        表紙のかわいらしさ◎、読みさすさ◎、ドラマの補完描写◎ 活字派にもおすすめできる媒体になってくれて嬉しい限り。映像派にもディスクが発売されるので至れり尽くせり。 ドラマと小説それぞれで印象が違うのでどちらも手に取るとより楽しめると思う。

        • 恋せぬふたり 3/21放送分

          人は誰かに恋をするものだし、それは異性だし、好きな相手なら性的欲求を抱くし、好きどうしなら結婚するし、そのうち子どもを作るものだし、家族は一緒にいるべきだし、自分の理想より安定を選択しなきゃいけない。それが普通の人生で、普通の幸せなんだから。 「恋せぬふたり」はたくさんの「普通は」「みんなは」の枠を外してくれたと思う。それも予想以上にたくさん、予想以上に大きく。アロマンティック・アセクシャル以外の人にだって、この作品のメッセージは届いたはずだと思う。 日本において40代の

        ジェンダー幻想

        マガジン

        • 恋せぬふたり
          10本
        • 40歳からは食べてはいけない 病気になる食べもの
          1本

        記事

          恋せぬふたり 3/14放送分

          個人的にキツかった前話から一週おいてお別れフラグがチラついた7話。 咲子の妹は「普通」を他人にまで求めてくるのがしんどすぎる。そもそも家族になれば子どもをという価値観を僕は嫌悪しているので、あれだけ図々しく無神経なことを言われるとうるせ〜なお前に迷惑がかかってんのかと思ってしまう。現代において子孫を作るということに一体どういう意義を見出しているのか逆に教えてほしいくらいである。子どもを持たないという選択は今のとろエゴと捉えられがちだと感じているが、僕からすれば子どもをこんな社

          恋せぬふたり 3/14放送分

          恋せぬふたり 2/28放送分

          個人的に相当地雷に寄ってる回なので具体的な感想は省略。 僕は家父長制=現行の婚姻制度に反対しているし、反出生寄りのチャイルドフリーでもあるので家族と生殖について賛美される展開になるとかなりきついな、と思った。

          恋せぬふたり 2/28放送分

          恋せぬふたり 2/21放送分

          3週間ぶりの放送は思った以上にパンチが強い話だった。30分でこれだけ詰め込めるんだから、世のドラマは基本的に30分枠にしても良いと思う。 修学旅行in小田原咲子にラブだった親友の千鶴だが、カズくんに比べて出番が少ない上に報われないというのはちょっと居たたまれないなと思ってしまった。アロマンティック・アセクシャルを主軸に置くと異性愛だろうが同性愛だろうが「恋愛する人」というマジョリティに括られるが、女性の同性愛者は社会的に見ればやはりマイノリティなのでそこの扱いは難しいものが

          恋せぬふたり 2/21放送分

          恋せぬふたり 1/31放送分

          強制対話(feat.カズくん)休む間もないジェットコースター展開のため、勢いに押されてカズくんを含めた三人で生活をすることになった高橋さん。怒涛のハラスメント質問や価値観のギャップにも一応きちんと対応していて人格者すぎる。 →恋人みがエグいvs誰にでも同じように対応します →家事は恋人にやってもらいたいvs自分のことは自分でしたらいい →好きでしょ?vs恋愛関係じゃないです →ムラっとしませんか?vs失礼な質問はやめてください 「普通は」「みんなは」という接頭語がつくと大概「

          恋せぬふたり 1/31放送分

          恋せぬふたり 1/24放送分

          ※性的な話題に触れるのでご注意。 高橋さんはダーリン兼セラピスト渡されたアンケートをもとに咲子が自己と向き合い、恋愛的指向と性的指向について掘り下げる回だった。高橋さんはブログを書くことが好きなように見受けられるので文章で表した方が意見を伝えやすいタイプ、咲子は面と向かって対話した方が伝えやすいタイプなのかなと思った。 咲子が訥々と過去の経験やその時の感情・気持ちを高橋に打ち明け、それを高橋が傾聴・受容・共感するという図式はなんだかもう心理カウンセリングのような光景だなと思

          恋せぬふたり 1/24放送分

          映画もやもや:さがす

          おかえりモネで内田くんを演じていた清水尋也が殺人鬼役でやばい面構えをしているのを知り、久しぶりに劇場へ邦画を見に行った。 はぁ…これだから邦画は嫌なんだよ…(舌打ち)という気分を久々に存分味わうことができた。何が言いたいのかよくわからない上に上演時間も長いし、随所に不快な性的シーンを入れてくるし、上映一時間あたりから飽き始め眠くなってしまう様で貴重な休日を全くドブに捨てた気分になった。 サイコパスの描き方が雑SNSで自殺志願者を誘き出し、殺害のち解体・頭部をクーラーボックス

          映画もやもや:さがす

          恋せぬふたり 1/17放送分

          邦ドラとはいえ30分×8回スケジュールだとさすがに展開が早くて助かる…2話目にして家族へ怒りのカミングアウト、高橋さんの生い立ちチラ見せ、同僚の唐突な咲子狂いという盛り沢山な内容だった。まぁまぁ、自認に至って自己理解が進むと状況が変化に転じるということは僕にもなんとなくあった気がする。 やっぱり高橋さんはスーパーダーリン「なめてます?」発言をしたとはいえ、メリットとデメリットを天秤にかけ咲子の同居提案を受け入れてくれる高橋さん。荷物は持ってくれるし、プライバシーに配慮してく

          恋せぬふたり 1/17放送分

          恋せぬふたり 1/10放送分

          まず最初に明文化しておかなければならないが、アロマンティックやアセクシャルについてメディアが情報発信をすることを僕は心から喜ばしいと思う。 マイノリティの憂鬱というものは少数派という数の論理によってもたらされているところが多分にあると感じている。少数派だから認知されない、理解も得られない、共感されない、否定・拒絶され嘲られる。マジョリティの発する「普通は」「みんなは」という言葉にたった一人じゃ太刀打ちできない。だから拡散力の大きいマスメディアの存在はマイノリティにとってとても

          恋せぬふたり 1/10放送分

          書籍もやもや:40歳からは食べてはいけない 病気になる食べもの(1、2章)

          僕の友人が某YouTuberの動画を見たらしく、そこそこ参考にしている様子だったので話を聞いてみたら「うさんくせぇな〜」という印象を受けたので読んでみた。案の定こういう類の本らしく科学的根拠に乏しい出来になっており、それだけならまだしも妄信している様子の人も少なくないなぁと感じた。今日も今日とて日本の教育の敗北をまざまざと見せつけられるもんだから、この国はもう終わりだとか思ってしまう。 趣味の一環として書いたが色々と内容を論う記事にしている。どの立場から書いてるんだと訝しがら

          書籍もやもや:40歳からは食べてはいけない 病気になる食べもの(1、2章)

          Aro/Aceの教科書

          一時期、アロマンティック/アセクシャルを題材にした作品を重点的にチェックしていた。ヘテロセクシャル至上主義にもロマンティックラブイデオロギーの礼賛にもうんざりしきっていたのである。Aro/Aceが恋愛もせずセックスもせず、結婚もせず子どもも作らず一人で生きていく姿を探していた。 今はもう僕の中で肯定感を育むことができたので外的に表現物を求めることも無くなったが、とりあえず迷える同士はこれを見とけば良いんじゃないという作品を挙げておく。 アセクシャルってつまり何なの?というレ

          Aro/Aceの教科書

          恋せぬふたり

          1/10から放送が始まるドラマだが、SNSでちょっと話題になっていたりもした。 アロマンティック・アセクシャルを題材にしているので、最近邦ドラをめっきり見ていない僕も視聴予定。常々思っているのだが、アロマンティック・アセクシャルは恋愛性愛が人生において最大のドラマになりづらいにも関わらず、ロマンス中心の物語に持ってきたって話にならないのじゃないかという疑問である。ロマンティックラブイデオロギーに縛られ、苦悩し、自分なりの人生を歩む…といったプロセスを辿るしか描き様がないよなぁ

          恋せぬふたり

          漫画もやもや:マイ・ブロークン・マリコ

          「シスターフッド」とか「ロマンシス」とか「ウーマンス」系のワードとともにちらほら紹介・レビューされていたりする。感想なんて人それぞれなわけだし、僕個人としてはどうもその方向性からの感情体験はできなかったのでその記録。 内容を要約すると「主人公が友人の自死を知り、彼女を虐待していた親元からお骨を強奪し海に行って骨壷を破壊し骨を撒き散らして帰ってくる話」である。 先週遊んだばかりの幼馴染の突然の訃報で混乱するのはわかる。思い出を噛み締めながら友人の死を悼むというのもわかる。ただ

          漫画もやもや:マイ・ブロークン・マリコ