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夫婦を修復する仕事

私がたくましく生き抜くシングルマザーということばかり強調すると、

妻たちに離婚をうながす人なのでは…

と思い込まれてしまいそうなので
誤解を避けるために話しますと

私は、実際のところ
夫婦間コミュニケーションを改善する仕事がとても多いです。


私自身は結婚生活を続けられなかった人であるのに、
家族セラピストとしての私は
次々と夫婦の問題を解消していくのです。


私が影響を受けている家族療法セラピストである
J・ヘイリーはこう言います。

「有能なセラピストが、私生活でバランスの取れた人格者である、とは限らない。
また、優れた人格者であるセラピストが、有能なセラピストだとは限らない。」


私は、セラピストとしての自分の能力にある程度自信がありますが、
自分が人格者であるとは全く思えない。

だからヘイリーの考えにホッとしますし、共感します。


私はなぜ、夫婦間葛藤を解決できるのか。


精神分析では、人が物事に対処する態度を
「防衛機制」
と言います。

防衛機制には、

成熟したもの
神経症的なもの
未熟なもの
精神病的なもの

という4つのレベル分けがあります。

もちろん、なるべくレベルの高い防衛機制を使って、物事に対処することが望ましいですね。


私は、夫婦間葛藤に対処する際、
「愛他主義」
という防衛機制を使っていると言えます。

「愛他主義」とは、
最も高度に成熟した防衛機制に属するもので

「自分がそうしたかったこと、
あるいはして欲しかったことを、相手に
させてあげる。または
してあげることで、自分の心を満たす」

ということです。

わかりやすい例えで言うと
例えば
年老いた親に親孝行が出来ないうちに亡くしてしまったと
悔いている人が、
赤の他人の老人に優しくすることで、自分の気持ちを満たす

といったような態度ですね。

どうも私には、
自分が出来ないことを人に実現させる能力があるようです。

私には、クライアントが自分の分身のように感じられ、
クライアントが(私の代わりに)
実現したことを
喜び、楽しみます。


この時、クライアントと私の双方に
「取り入れ」
という防衛機制が働いています。

クライアントは私を「取り入れ」、
私はクライアントを「取り入れ」ているのです。

クライアントを取り入れることで、
私のかつての「傷つき」は少しずつ癒されます。

クライアントは、
「自分にとってメリットになる存在」
として私を「取り入れ」ますが、
それによって
クライアントが治療者の傷を癒すという
逆転現象が、ここには生じるのです。


一方で夫婦関係を修復しながら、
私はシングルマザー・セラピストであることに自信と誇りを持ち続ける。

いつでも矛盾と逆説が、
この仕事には付き纏うのです。

私が修復してきた20代~60代の、さまざまな夫婦像を描いた著書はこちらです。↓


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