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WAKIMIZU

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散文詩など
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2018年6月の記事一覧

人魚姫慟哭す

クチナシの薫る雨が降ってきたらどうしましょう
私はもう目を背けることしかできなくて
いつの間にこんなものを得たのですか
少しも欲しくなかった
海水を求めてしまうのは
どうしても私の性であるので
海水をいつでも下さい
どうしても私に必要なので
体からどうしても鱗が取れない
そんな夢ばかり見るのです
海からどうしても上がって往けない
そんな夢ばかり見るのです
砕けている波を手で拾って
片口鰯の群れも豹

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梅雨入りの心を降らせろこの世界中に

雨の空に魚を泳がせたい そう言った君の横顔に
傘から落ちた雫が光る 泣いているのは僕の方

五月雨の 音は優しく 低気圧

濡れた手に レインコートは へばりつき

紫陽花の 色をした心 スケルトン

雨粒と同じ数だけ君想い

紫陽花ゼリーを懐かしんでもお昼は自分で考えなくっちゃ

私が想いを空に託して 雨と一緒にあなたの上空へ あり得ないようでできるかもしれない そんなことを考える6月

雲の上

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