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『池袋モンパルナス』 を読み解く〜総集編〜

池袋西口通信社は、「池袋モンパルナス」について情報を集めてきました。これまで宇佐美承が著した書籍『池袋モンパルナス』(集英社)を読み進めてきました。
先日公開した「『池袋モンパルナス』 を読み解く14」で本編は全て紹介したことになります。次の投稿で最後のエピローグをご紹介します。そこで今回はこれまでの投稿を振り返ります。独断と偏見でいくつかピックアップしていきます。

第三話 「落葉松とマロニエ」では池袋モンパルナスから少し離れ、激動の世界を股に掛けた二人の若い画家によるドラマが展 開されます。 主人公は鳥居と竹谷。 物語は彼らの故郷新潟県村 上の地から始まり、 池袋、 モスクワ、ベルリン、パリ、 へ移り 変わっていきます。 プロレタリア美術に深い影響を受けた二人 が、陰惨としたモスクワ、 ベルリンを超えてパリで安息を見出し始める様子はそれだけで一つの映画ができそうでした。

第五話では、冒頭から池袋駅の西口界隈がどのように賑わっていったのか描写しています。 初めて水商売のお店ができたのは大正一桁の頃だったことや、 昭和56年頃には喫茶店ブームが 到来したことなどさまざまな当時の風俗が紹介される中、 喫茶店の「コティ」と「セルパン」はモンパルナス界隈の芸術家た ちから愛されていたようです。 初めて知ったことですが、「セ ルパン」では沖縄の詩人山之口貘が熱心に執筆活動をしていたようです。

戦争が始まる前、魂の解放をうた うシュールレアリスムはなぜか反社会的運動として国家に認定され てしまい、抑圧されます。 どんな 流儀であれ、アートは魂を解放し ますが、それが許されない時代が 近づいていました。 池袋モンパル ナスの画家たちは決して危険思想 に染まったのではなく、フォービ スムに変わる新たな表現方法を模 索しただけであり、かつての自由な大正モダンを懐かしんでいただ
けのようです。 しかし福沢の逮捕によりモンパルナスに暗雲が漂い ます。モンパルナスはこれからどうなってしまうのでしょうか。

なぜシュールは弾圧されたのでしょうか。 当時の特高警察によ る言い掛かりに過ぎないという のが一つの事実です。 彼らは反 体制思想とのつながりを疑いましたが全く確証はありませんでした。 福沢は無実の罪で捕まっ たのです。 弾圧がなければ日本 の美術シーンはもっと異なっていたでしょう。若き日本のシュ ルレアリストたちの一部は転向せざるをなくなり、 戦争賛美の絵画を描きながら心に傷を負うのでした。

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