記事一覧
Fair Enough (20首)
短歌20首連作です。
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Fair Enough 丸田洋渡
刺したあと貫くためのひと押しで爪楊枝の先端は曲がった
声が磁石になって四月の教室に仲良しグループのできあがり
先生の言うとおりに列に並んだ モルモットに二回出てくるモ
これもまた何かの暗示 新しい歩道橋が積乱雲の下
振った手のその手のひらが見えたなら占い師は占ってしまうよ
夏の雲
PYRMD/CRYSTL(100首)
短歌の100首連作です。2024年2月11日にネットプリントとして発行したものと同じ内容です。
チッ またか……「光による救済はもう二度と行いませんので!」ガチャ
PYRMD/CRYSTL 丸田洋渡
長すぎる日記2024.5.1-3
思ったことや思い出したことを、書きたい分量つぎつぎに書いているので、読者へのサービスが存在しないことだけは先に書いておきます。
見せることを前提としながら、読まれることは前提としていないので、読まずに、眺めるくらいが良いと思います。
5月1日 中学一年のころ、国語の先生によく思われたくて、「『破戒』の、ですか?」って言ったことを思い出した。あのことを今も後悔している。島崎藤村の名前が一瞬出た
そのときどきのメモ(日記)
蓚酸が体液を酸性化してしまうので、たけのこを毎日食べたい とかだと、アルカリ性のわかめと一緒に煮たりして、中性にするのがよい。
一年前くらいに、室井綽・岡村はた『竹とささ その生態と利用』(保育社、昭和46年)を読んだときの、自分が書いていたメモ。たけのこを毎日食べたい場合のすすめが載っていて、確かにそういう人もいるかもな、と適当に思った後、自分もそういう人になる可能性は0ではないのだから
Unlucky(抄・30首)
ある賞に応募して落選した50首連作より、抄出して再構成したものです。完全版はまたどこかで形にする予定です。
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Unlucky 丸田洋渡
遠雷がもっと遠くへ逃げていく嘘つきがいる新生児室
捻挫した子どもを囲む子どもたち柏葉あじさいの陰の奥に
行かないでその木陰には平成のバスガイドが三人もいるから
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夏の雲は自動的に流れて行ったすみれ色の果物籠の上
野薊が揺れる 未
日記ならずのための儀式
日記にしようとしてメモしていたものを、昇華しなかったとき、そのメモは日記にならなかったもの、すなわち「日記ならず」になる(未成年、と同じ言い方で、未成日記と呼んでもいいが、語呂が悪い)。
ただの書き残しなら破棄すればいいものの、「日記にしようとして」書き残したものは、未来に何かになる気配を残していて、冬の花芽を剪り落とすようで気が引ける。いつか成就しそうな呪いの人形みたいで、ただ捨てるだけで
落選作より48首+思い出
お世話になっております。丸田洋渡です。過去に短歌の新人賞に応募して、落選した作品のうち、まだ公開していなかったものの中から、それぞれ数首ずつ抄出しております。
連作の流れが分からないままになるので読みづらいかもしれませんが、一首単体でも面白がれるようなもののみ引いております(全て載せられたらいいんですが、今改めて見ると表現の甘い部分が多くて全て公開するにはやや難がありました)。
本記事後
いい人・タイムカプセル(掌編)
掌編小説です。
いい人・タイムカプセル 丸田洋渡
いい人 って思われつづけるのも難しいって感じ。
一度も開いたところを見たことがない教室があの学校にあったことを覚えている。
タクシーに乗ると必ず、運転手に、怖い話ありませんかって聞くようにしてるんですよ。
招待状にタイムカプセルの七文字が手書きで書かれている。
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誰かを助けたい、ってもう思わなくなったっていうか、/
Float/Fluorite(50首)
短歌50首連作
Float/Fluorite 丸田洋渡
三十円多く払ったのはメロンソーダにアイスがフロートするから
天秤がうすくらやみに傾いてあなたの半覚醒の寝返り
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恋のふりして洗脳はよくないな雨雲が雨落とさず通る
心は遥か上に浮かんでコンビニの監視カメラに当たって砕ける
わくわく眠りどろどろ覚める 妖怪は町中にいるような気がする
花札が踊って話しかけてくる
Ephemerality(100首)
短歌の連作です。2022年3月5日に発行したネットプリント「第三滑走路」13号に掲載した、100首連作になります。発行時と内容は同じです。
Ephemerality 丸田洋渡
思わず撮っていた写真(日記)
いつの間にか、思わず撮っていた写真を貼って、その時思っていたことを振り返るという日記です。
伝票で担当名が「細工藤」とあり、二度見して撮った。もしかして、「細(ほそ)工藤」と「太(ふと)工藤」がいて、細(ほそ)の方なのか。
もしかして、自分が知らないだけで、全ての苗字で「細」と「太」があったりする? と思って、そのときは日本全国の名字が頭の中で単純に3倍に増えていって、ぶわっと(ドローンみ