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2022年6月の記事一覧

異変/凛(20+30句)

異変/凛(20+30句)

 第六回円錐新鋭作品賞落選作と、第十回俳句四季新人賞応募落選作です。
 円錐は新作20句「異変」(2022年2月頃制作)、俳句四季の方は既発表作(「帚」にて)の再構成30句「凛」です。

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 異変   丸田洋渡

木含めた風の模写から目を離す

チェス中断手を動かして蜜柑風呂

風花の降ると見えたが空の上

北窓開く鉄道模型に鉄の匂い

隅の隅まで見渡せる交叉点

朧夜や水の機嫌

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Acceleration(30首)

Acceleration(30首)

 第65回短歌研究新人賞 落選作です。噴水とAIの歌の二首が本誌で引かれていました。
 現在、個人のネプリ「Eternity」80首を公開中です。ぜひそちらの方を印刷よろしくお願いします。

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 Acceleration  丸田洋渡

何もかも変わりつつある地下鉄は順調に混迷を極めた

〈都会から〉と〈都会へと〉とが入れ替わる蜻蛉の背中みたいなホーム

新幹線 この乗り物は宇宙へ

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Blue, Blue, Diamond (50首)

Blue, Blue, Diamond (50首)

 新作の短歌連作です。
 何卒よろしくお願いします。────────────

 Blue, Blue, Diamond  丸田洋渡

殺す夢 殺される夢 生き返る 殺される夢 殺す 殺す夢

 ○

起きたてのひとさし指で眼球を目蓋ごと擦った十五分

奥二重〈水辺を発った水鳥の〈逆光〉群れが崩れていった〉

睡魔さえ眠りに落ちる夜が来る港に咀嚼音ひびかせて

 ○

記憶から夜がさっぱり抜け落

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三十首(30首)

三十首(30首)

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 短歌の連作です。

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 三十首   丸田洋渡

三十の首が置かれている宿に三十一として泊まりたい

  ○

仮に詩があなたにとって不必要だったとしても 季節は四つ

似ている人を百人聞けば本人を見なくても(窃視趣味まで)分かる

似ている人を百人言えばまぼろしが実体を持ちはじめる 「来たよー

良い詩だね ストローを氷に当ててあなたは自分自身に言

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Underneath the Letters (詩)

Underneath the Letters (詩)

 Underneath the Letters  丸田洋渡

  鍵は開いていたから勝手に入った。入って内側から鍵をかけた。
  彼/彼女の部屋は大量の紙で埋まっていて、その全ての紙に文字が書いてある。私は足許の一枚を適当に手に取って、声に出して読み上げた。

妙に懐くカラス。SF小説は今日でようやく佳境に入った。

  彼/彼女は微動だにしなかった。彼/彼女は壁に向かって置いてある机に、壁に向か

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