福岡から新千歳に向かう飛行機のなかで、ヘミングウェイの『老人と海』を読み返した。 アウトローだったこの作家に、ノーベル文学賞という最高の栄誉をもたらした作品。 も…
死人の顔は、おでこのところがこう、山なりに固く、冷たくなって、私は自分の手のひらを卵を抱くようにすぼめて、そっとその上に置いてみたい気持ちがしました。 「お父さ…
ある日、とっさの一瞬に自殺を思い立った主人公の羽仁男はワクワクと浮き立った気持ちのまま本当に決行する。 ところが近所にいた人間に助けられ、思いを遂げる事は出来な…
第109回文學界新人賞最終候補作 本作は、筆者が19歳の時、夢中で書きました。 文學界新人賞史上はじめて5人の選考委員が×をつけた作品です(うわさベース)。 水上紫…
じゅんペい
2022年7月27日 13:20
福岡から新千歳に向かう飛行機のなかで、ヘミングウェイの『老人と海』を読み返した。アウトローだったこの作家に、ノーベル文学賞という最高の栄誉をもたらした作品。もともとヘミングウェイの文章が大好きで、この小説も「いいなぁ」くらいには思っていたのですが、32歳になって読み返してみると桁違いに沁みたので、雑感とあわせて感想を書きます。(みんなも読んで。短いよ。表紙が可愛い!)めっちゃ太ったからヘミ
2019年7月15日 22:58
死人の顔は、おでこのところがこう、山なりに固く、冷たくなって、私は自分の手のひらを卵を抱くようにすぼめて、そっとその上に置いてみたい気持ちがしました。「お父さん、しょうくんが来てくれましたよう」おばさんがそう言ってはぐった白い布の下のおじさんの顔は、おでこと、息を吸うように少しだけ開いた口と、つむった目とが、何というか、「死者が生きている人を驚かさないように見せる表情」とでも言いたくなるよ
2016年4月15日 00:07
ある日、とっさの一瞬に自殺を思い立った主人公の羽仁男はワクワクと浮き立った気持ちのまま本当に決行する。ところが近所にいた人間に助けられ、思いを遂げる事は出来なかった。生き残った羽仁男は新聞の広告欄に『命売ります』と短い広告を出し、自宅の扉にも『ライフ・フォア・セイル』と洒落た看板をさげる。しばらくは訪ねて来る客もなかったが、愛人に復讐を試みる老人、母のために乗り込んでくる少年、自分の事を気ち
2016年2月29日 21:22
第109回文學界新人賞最終候補作本作は、筆者が19歳の時、夢中で書きました。文學界新人賞史上はじめて5人の選考委員が×をつけた作品です(うわさベース)。水上紫明Life is there to be lived rather than written about. <William S. Maugham> 歳が行けば知識は大海の如くなり代わりに若い頃旺盛であった興味や好奇の気持