見出し画像

『インハンド』第4話 人は感情に振り回される生き物にして○○になれる唯一の存在

簡単なあらすじ(ネタバレ有り)

「人を自殺させる病原体をばらまく」という脅迫状が厚労省に届く。脅迫状を読み上げる田口トモロヲさんは、音声だけなら「プロフェッショナル」のようだった。
そこに書かれていた名前が、「水原舞」「菊池香織」「織田貴成」そして「源田恵奈」の4人だった。厚労省は取り合おうとはしないが、水原は飛び降り自殺をしており、菊池も服毒自殺未遂をし、織田は行方不明になっている。次のターゲットは、源田外務事務次官の娘、恵奈

牧野は例の如く、紐倉の元へ、そんな病原体があるかを尋ねに行く。実際に動物の中には、宿主をコントロールする寄生虫もいる。人を自殺させる病原体は聞いたことがないと言うが、関係者の書類を見ると、珍しく自分から協力することにする。

亡くなった水原舞の家に行き、死の真相を聞く。その後、菊池香織が入院している病院に行くと、飛び降り自殺しようとしているところだった。
「人を自殺させる病原体」の存在が現実味を帯びてくると、そこの次のターゲットである源田恵奈を保護する。名前があった3人は幼馴染で、最近また会うようになったことを聞き、水原舞が自殺し、菊池香織の自殺未遂の心当たりを聞くと、「セクメト」という製薬会社治験のバイトをしたことだった。

恵奈は、自殺の真相を知るために、セクメトを調べて欲しいとお願いする。その話を聞いて、紐倉は脅迫状を描いたのが恵奈だと見抜く。製薬会社を調べるのは困難だからだ。「セクメト」の名前を聞き怪しむ紐倉は、早速助手の高家を治験に応募させ、潜入させる。

物語は、事件を調べると共に、紐倉の謎にも迫っていく。紐倉の助手には「入谷」という、自殺した助手がいた。また、時折義手のある右腕が痛む機会も増え、謎は深まっていく。

治験に潜入した高家は、薬を飲むふりをして盗み出し、元医者を生かして、白衣を着て治験資料のデータを記録することに成功したが、治験の責任者に高家の正体がバレてしまう。そこで、紐倉は人殺しだと告げられる。治験データや薬を調べるが異常は見られなかった。

そんな時、恵奈は痛みに苦しむ紐倉を看病する。眼が覚めると、痛みの原因は脳にあり、腕がないと脳が認識していない為、痛みが引かないのだ。その会話から、紐倉はヒントが思い浮かぶ。異常なかった薬の成分と、とある論文を調べると、病原体が原因だと確信する。4人組が昔何をして遊んでいたかを聞き調べにいくと、馬小屋に行ったことを思い出す。そこには、一人で原因を突き止めに行った織田が倒れ込んでいた。

紐倉の仮説は正しく、セクメトに乗り込む。自殺の原因は、「脳症」だった。非ステロイド性鎮痛薬は、ウイルス感染時に服用すると脳症を引き起こすことがあり、異常行動や自殺を誘発する可能性を高める。インフルエンザでタミフルを飲んで自殺した事件があったのも「脳症」によるものだった。今回の事件は、馬から感染しやすい「ボルナ病ウイルス」通称スローウイルスと呼ばれているウイルスによるものだった。幼少時代に感染したウイルスに感染していて、治験によって発症し、一人は自殺するに至ってしまった。

セクメトはウイルスチェックをしていたが、チェックから漏れ、自殺があった時も、100億円もの開発費を掛けている薬だったことで、引くに引けなくなってしまい、事実を隠蔽したのだった。高家が送ったデータを突きつけると、鍋島は事実を認め、開き直る。一人死んだことは「たかだかこれくらいのことで」と。「たまたま」起きたことだと。紐倉に「人を見殺しにしたことには変わりない」と言われると、「お前に言われたくない。入谷はお前のせいで死んだんだろ!」と言い返す。

気がつくと、そこに恵奈がいなくなっており、屋上で飛び降りようとしていた。慌てて止める高家達。

「私が治験なんか誘っちゃったから・・・。舞があんなことに・・・。私が死ねばよかった・・・。」

責任を感じ、自分を責める恵奈に、二人の慰めは届かない。紐倉は

「感情の奴隷にはなるな。人間は感情に振舞わされる生き物なんだよ。悲しみや苦しみに翻弄され、命を絶つこともある。でも、感情があるから人間なんだ。」

と言い、タイムカプセルに入れてあった皆の夢を書いたカードと写真を渡し、

「前を向いて生きていくんだ。人間は、笑顔になれる唯一の生物だ。だからもっと笑えばいい。」
「まぁ、お互い頑張ろうってことだな。」

そう言って、恵奈を見送ると、肝心なことを思い出す。外務次官の娘のコネを使って、パスポートを発行してもらおうとしていたことに。慌てて追う紐倉だった。

人を自殺させる病原体とは

今回は、「ボルナ病ウイルス」というウイルスと非ステロイド鎮痛剤がかけ合わさることで、「脳症」を引き起こし、突発性衝動を起こすことが描かれましたが、インフルエンザでタミフルを飲み、飛び降りしたことなどもありました。自然界には、閲覧注意な寄生虫ロイコクロリディウムがおり、繁殖の為にカタツムリに寄生し、鳥に食べられるように、角をイモムシのように変形させ、鳥に捕食されるように行動をさせるということがあります。

今回のエピソードを聞いて、まずこの話を思い出しましたが、寄生虫は自分の繁栄の為の行動ですが、意図的に自殺させるようなことがあったら恐ろしいですよね。結果的に、治験によって「脳症」を引き起こしてしまいましたが、気付いても、100億円もかけたことで、引くに引けなくなりました。ここが怖い所ですよね。

人は感情に振り回される生き物

以前、女子テニスの大阪なおみちゃんが全米・全豪優勝した時に人間はつくづく感情の生き物というコラムを配信しましたが、感情とは、時に厄介でもあるし、使い方によってはいつも以上のエネルギーにすることもできます。悩んで落ち込んで、自分を殺そうというエネルギーにもなり得るし、なおみちゃんのように、全米優勝に繋げることもできます。

感情とは、人を動かすエネルギーになります。感動の裏には、まず「感情」があります。強い感情は、良くも悪くも心を揺さぶります。時には感情に任せることもいいかもしれませんが、負の感情に任せるのは、危険なことかもしれません。だから、なおみちゃんは負の感情に振り回されそうになった時、敢えて感情をオフにしたことで優勝できました。負の感情に振り回されて判断したことは、大抵良いことはありません。そういう時は、時間を置くことが大事ですね。
ただ、感情は悪いだけではないので、良くも悪くも感情をエネルギーに変えていける術を身に付けたいですね。

人は唯一笑顔になれる生き物

人間は、生き物の中で唯一笑顔になれる生き物だそうです。動物特集などで、犬が笑っている動画などがあったりしましが、専門家によると、あれは犬が笑顔になっているのではなく、この顔をするとご主人様が喜ぶから、笑顔のような表情をするだけだそうです。夢がない話だと言われそうですが、動物は笑顔になることはなく、笑顔と認識できるのも人間だけのようです。

紐倉の言葉が響くのは、上からのように見えて上からではない、説教臭くないところです。生物学という見地から、客観的に言っています。特に今回の「まぁ、お互い頑張ろうってことだな。」というセリフは、自分に向けても言っています。

人は、何かを教える時には上から言いがちです。高家や牧野は恵奈を慰めますが、「慰める」という行為も、ある意味上からの物言いです。紐倉だけ唯一、同じ目線で話をします。それは、紐倉が恵奈と同じような経験をし、気持ちがわかるからです。紐倉は、慰めることはしません。なぜなら、どんなことも受け入れなければ進めないことを知っているからです。どんなに辛くても、それを否定し受け入れられなければ、何の意味もありません。安易な慰めよりも、事実を受け入れる励ましの方が、よっぽど価値があり、必要なことなのかもしれません。

物語は、これから紐倉の謎を紐解きながら進んでいくことと思います。生物学から人間を見ることで、人間に対して新たな認識を示してくれることが楽しみですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?