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「なでしこW杯優勝の陰にあった、友情とデフサッカーの存在」

難聴の天才

なでしこジャパンのエースにして、2011年W杯優勝の立役者・川澄奈穂美選手には、小学期、同じ学校でサッカー部だった尊敬する天才GKがいました。その方は佐藤愛香さんという方で、関東大会での優秀選手にも選ばれる天才でした。高校では、川澄選手とともにフットサル大会の日本一に輝くなど、約10年間一緒にプレーしたそうです。

佐藤さんが天才GKと言われた所以は、彼女は耳が聴こえない、聴覚障害を持っていたのでした。音が全く聞こえず、高校までは、口唇術などで、口を大きく動かせばコミュニケーションが取れたそうですが、それも高校までが限界で、大学やプロ、なでしこジャパンなどで活躍するのは、不可能と言えるほどでした。

そもそも佐藤さんは、小学校の頃から耳が聞こえなかったのですが、サッカー大好きだった川澄選手が、私がちゃんと教えるから、一緒にサッカーをやろう!とサッカー部に誘ったことから始まり、当時の映像でも、川澄選手が口を大きくして、身振り手振りを交えて話す姿が残されていました。

そんな、難聴でまともにコミュニケーションが取れないにも関わらず、GKとして大活躍し、川澄選手も尊敬していました。佐藤さんにとっても、川澄選手が誘っていなかったら、サッカーをやっていなかった。自分にとってサッカーは全てだったから、本当に感謝しているそうです。

しかし、高校卒業後は別の道を進み、川澄選手とは違い、佐藤さんもサッカーを続けたものの、同期がいない中で、コミュニケーションを築くのは難しく、続けられなかった佐藤さんは、途方にくれていました。しかし、そこで出会ったのが「デフサッカー」というものです。

「デフサッカー」との出会いがなでしこジャパン優勝に貢献する

「デフサッカー」をご存知でしょうか?私も初めて知ったのですが、障害者サッカーは、目が見えない人用のサッカーがあり、アイマスクをして、音のなるボールを使用したものなのですが、「デフサッカー」とは、一切声を出さず、手話のみでプレーをし、ルールは通常のサッカーと同じというものです。
「デフサッカー」は、日本ではあまり普及していなかったのですが、高校を卒業してから1年後、日本でも発足したことを知り、川澄選手のようにデフサッカーを広めたい。難聴というハンディキャップがあっても活躍して勇気を与えたい、そう思ってデフサッカーを始めました。

デフサッカーを始めてから2年後、4年に一度開催され、2009年に開催された、聴覚障害者のオリンピックである「デフリンピック」に参加することになります。「デフリンピック」も初めて聞いたのですが、1924年から開催されていて、77の国と地域が参加する歴史ある大会です。24歳になった佐藤選手はGKとして出場し、世界の舞台に立ちました。
その活躍は、川澄選手も刺激を受け、もっと頑張ろうと思えたそうです。自分よりも先に世界の舞台に立ち、活躍する姿があったからこそ、2011年女子W杯での優勝に繋がったのかもしれません。

佐藤さんは、自分がデフサッカーをやっていることを伝えておらず、知らないと思っていた中で、川澄選手のその思いを知り、何か影響を与えれたように感じ、嬉しかったそうです。そして、佐藤さんはデフサッカーを通じて知り合った方と結婚したそうです。

出合いは人生を変える

佐藤さんにとって、川澄選手は、自分の人生を変えた存在です。川澄選手と出会い、サッカーに誘ってくれたことで、難聴で塞ぎ込んでいた少女時代を楽しく過ごすことができ、デフサッカーにも出会って、世界の舞台に立つことができました。更には、デフサッカーを通じて夫になる人とも出会うことができました。佐藤さんも、川澄選手には感謝しかないそうです。

道はどこにどう繋がっているかはわからない

人生とは道のようなもので、通ったことのない道は、どこにつながっているかはわからないものです。アントニオ猪木で有名な「道」という詩にも、

「この道を征けばどうなるものか。
 〜中略〜
 踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる。
 迷わず行けよ 行けばわかるさ」

とありますが、進んでいくからこそ、先に何があるのかわかります。何があるかわかるから、その道を進むのも当然ですが、人生として考えれば、何があるかわかっていて進んだって、面白くもなんともありません。それに、生まれてきた意味もないと思います。

色んな人との出会いがあり、色んなきっかけによって様々な経験をしますが、その道を一歩一歩進んで行けば、思いも寄らないものが待ち受けています。
「道」とは、目の前にあるものではなく、歩んできた足元に続いてきたものなのかもしれません。誰の前にも道はなく、進んできたものが「道」なのかもしれませんね。

「柔道」や「剣道」など、「道」が付くスポーツはたくさんありますが、サッカーだって、「道」になるし、野球だって「道」になります。最近であれば、eスポーツだって「道」だし、このnoteも「道」だと言えるかもしれません。

きっと、長くなければ「道」だと認識されないのでしょう。私は、noteを続けて300日以上経ちましたが、少なくとも300日分の道にはなっていると思います。まだまだ「国道」には程遠い「私道」でしかありませんが、いずれ、MAXが歩んだ「道」として、誰かの糧になるような人生という「道」を歩んでいきたいなと思います。

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