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一言(ひとこと)の重み

 武士は、かりにも弱気のことを云ふまじ、すまじと、兼々かねがね心がくべき事なり。かりそめの事にて、心の奥見ゆるものなり。

葉隠 聞書第一 一四三

 だれしも自分が大変な状態にあればあるほどまわりの人々に理解して欲しいという願望を持っているものだ。しかしながら、あまりにも泣き事を並べ立てていては、いたわりの眼差まなざしもいつしかさげすみに変わり、ついには人格まで疑われることになるのである。
 「武士は食わねど高楊枝」という言葉があるが、これは武士の誇りある振る舞いを風刺したものであろうが、弱みをおくびにも出さず、悟られまいと努める武士の心意気が伝わってくる。


 悲観的な考えばかり巡らせていては好転は望み薄で、果敢な行動で事態の打開に取
り組むべきである。特にリーダーは「仮にも弱気のことを云ふまじ、すまじと、兼々心がくべき事」を忘れてはならない。リーダーの弱気はチームの士気にかかわるからである。

 猛将の下に弱卒なしと言うごとく、リーダーへの絶大な信頼で結束している集団は、常に猛々たけだけしいまでの生き生きとした活力をみなぎらせている。この勢があればこそ、目前の難問も突破できるのである。

 日々気力・胆力をることに精進することである。


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