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風景のメモ

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地域の魅力、風景の魅力を伝えるためのメモ
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#コラム

復興のなかの復興事業

この文章は長い年月のかかる事業に向かう人たちに向けて、書いています。話のきっかけは、先日携わっていた堤防の一部が完成したためです。2018年5月に竣工したので、東日本大震災からは7年と2ヶ月ほど経過しています。 この堤防に関して四つの話題です。 ・ まとめ;基本方針は大切にしよう ・ 計画の前提としての堤防方針(基本方針) ・ 新しくつくられた堤防空間(基本計画・実施設計) ・ 土木の時間と建築の時間(雑感) ー 大切なのは基本方針 今回、出来上がった空間は官民

トレイルランの魅力

トレイルランの素人が、なぜトレイルランをやるのか書いていきたいと思います。きっかけは、だいたい参加後に「なにが良いの?」と聞かれるからです。先日参加した両神山麓トレイルランを通して考えていたことを書いていきます。 1.煩悩を捨てる 2.行ったことのない場所を訪れることができる 3.あるコミュニティを感じる 1.煩悩を捨てる この間参加した両神山麓は約40000歩、21kmの距離で高低差が約1500mの大会でした。一緒に参加した友人たちも含めて終わった後は、満身創痍になって

土地の風景を可視化する

小田原にある杉本博司が構想から20年かけて開館したといわれている江乃浦測候所(以下、測候所)に行ってきました。風景と計画論的に素敵だなと思ったことを書いていきます。 訪れたことのない方はカーサブルータスの記事をご覧になって頂いてからみた方が良いかもしれません。 https://casabrutus.com/special/hiroshi-sugimoto - 目次 -土地の風景を可視化する1.周辺に広がる風景2.予約制の美術館 - イサム・ノグチ庭園美術館の回想も含め

自転車って良いねっ。地域を楽しむツール。

今日は自転車のツーリズムや、自転車による自然、地域との関わり方を書いていきます。文章は、自転車好きはもちろん、ロードバイク・クロスバイクに乗っている人、地域づくりや観光で自転車というツールを考えている人を意識しています。 サイクリング事業を始めたモニターとして参加して感じた記録です。モニターの主催は、そらうみサイクリングさんです。今季から、宮城県石巻市、女川町、牡鹿半島でのサイクリング事業を立ち上げようとしている団体です。メンバーは自転車店を経営されている方や、ツールド東北

風景を見つめる 365days

一日、一枚をイメージして、その写真の背景にあった行為や考えを書いています。風景の循環(日常の持続性)と美しさ、を考える時に必要なことはどういうことなのか、内省的な記述を通してことば探しをしています。365からカウントダウン方式で進んでいきます。 - 目次 - 362.生きている 〜人の手と自然の強さ〜 363.チューリップ 〜ゆらゆら揺れる〜 364.名前もわからない花 〜季節の色〜 365.紅白梅 〜東北に桜はまだこない〜 ------------------------

風景を考える 100の言葉

--------------------------------------------------------------------------- 設計・デザイン、地域づくり、まちづくり、空間づくり、ものづくりなどの風景(持続性のある日常生活)の循環と美、に携わる人と一緒に考えたい大切な言葉探し。 #キーワード探し #見つけること #つくること #そだてること #しくみづくること #変わり続けるなかで変わらないこと #変わり続けること #風景屋 #fuukeiya  

モニュメント、慰霊碑をどう考えるか

「その眺望は多方向的である。それは奥行きとして知覚される。動く人間がこのなかに入れば、どの場所にたってもそこが中心となる。ここと決められた眺めの場所はなく、どの眺望も全て対等であり、移動し続ければ限りなく変化していく。想像力はこれを無限の大きさに変貌せしめる」イサム・ノグチ,ある彫刻家の世界,p169,1969 Isamu Noguchi「Black Sun」1969, Seattle これは1904-1988年、日米のハーフとして生まれ戦時から戦後を彫刻家という職能に

備前焼きの魅力

岡山の星さんの備前焼きの工房へ。 備前焼きは登窯で釉薬を一切使わず「酸化焔焼成」によって堅く締められた赤みの強い味わいや、「窯変」によって生まれる偶然の美学により生まれます。 全然知りませんでした。 写真は焼成の際に二つの器を重ねた下にあった器です。簡単に説明します。それぞれの器がくっつかないように器の間には藁をしきます。藁は炊き上げする赤松よりも高音で溶け出し、それが器にうつります。 そこで生まれるのが火襷と呼ばれる赤い文様です。 写真は内側から、火襷の後、器がおいてあ

Impression of Portland’s field trip of Ishinomaki City

二日間、ポートランドの人の受け入れに同行させてもらった。みんな優しく、いろんな専門家がそれぞれの立場から日常的に話をする雰囲気で、いい時間だった。ツアーに参加していた人たち自身も今回の旅で互いに出会うのが3回目だったらしいが、出会ったばっかりと思えないほど仲が良かった。 感想 Impression 1|Any profession is so important for creating comfortable city 2|Discuss(argue) on a da

記録をとること

#記録 #伝承 #聞きがたり #文化 #ヒアリング #感んじること 時間を感じて、言葉にして伝えること。 記録して、伝えることはすごく難しいと感じている。 昔の史実を調べようとすると、津波被災地では今まで集めた記録や古文書が流されてしまっていて、再生不可能な部分が存在する。今、聞きがたりをしないと情報が消えていくと感じている。 (余談だけど、自分が携わっているところは少しづつまとめていきたい。) 一般論で言えば、古い記録は古文書的な資料を見つけ丹念に調べる必要があり、現代で

余白・余暇空間の価値 文章を描く(6)

今日の言葉 片蔭や滅びし寺の名の町の 茶店が並び、宿屋があり、寺があり、往来する人々は一息、一休みして、これからの旅を祈念してお寺に参拝する。 古びた建物、少し曲がりのある街路、お寺、どこにも人がおらず閑散とし、哀愁が漂う。そんな夏の終わり、ジージーと蝉の声がなくもののどこか弱々しく秋に近づいてきたかなと感じるそんな日に、片蔭のつくりだす陰影がさらなる哀愁の影を町に落とす。 [片かげり 日蔭]真上から照りつけていた夏の日が、午後になって家並みや塀の片側に蔭を生むこと。

PDCAよりもADCA

ADCA A(Awareness 気づき)→D(dialog 話す)→C(common sense planning 方針に基づく計画)→ A(Acition 活動する) Awaraness:気づき|素体験であり、日々の暮らしのなかから見つけ、発見する、日常に潜む幸せ Dialog:話す|話し、伝え、共感する Common Sense Planning:計画|共感から生まれる共創へのビジョン Action:活動する|共創を実現する 大切な風景を構成する素体験を探し、集めて