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【読書と人生】もしも私が太宰病になっていなかったなら?

人生を教えてくれた本、
あと、私を変えてくれた本は、
先日noteに書きましたが、
私を救ってくれた本、
私を助けてくれた本って
いうのは、あるだろうか?

反対に、私をダメにした本は
あるだろうか?

あ、ダメにした本は、
いくつか、浮かびました。
太宰の作品でしょう? 

もしも太宰を一度も読まずに
この歳(52)になっていたら、
もう今とは全然違う人間に
なっていたでしょう。

自意識過剰もなくなり、
人見知りもなくなり、
今よりもっと社交的で
明るい人間になってたかもしれない。

ならば、どんなに陽気な人生に
なってたでしょうか。
太宰作品は、出会ってしまったのが
運のツキかもしれない、涙。

でも、不思議なことに、
太宰治を憎んだり嫌う気持ちは
起こらないんです。
どうしてだろう?

死にたがり屋さんになったのは
明らかに太宰治の影響なのに。

太宰には、明るい作品もあります。
前向きな作品です。
短編なら
「きりぎりす」や「新樹の言葉」
「正義と微笑」や「富嶽百景」や
「満願」「I can speak」など。
長編なら『津軽』。
これらはどれも好き。

読めば、人間っていいなあ
となるからです。
太宰は暗いネガティブな面ばかり
描いていた訳ではない。

でも、太宰治より
私を助けてくれた本は
もっと他にある気がするなあ。

20代で、ブラックな出版社で
毎日つらかった時は、
漫画家・近藤ようこさんの
漫画を読んでました。
『アカシアの道』や
『見晴らしガ丘にて』は
どこか、向田邦子を思わせた。

ああ、そうだ、
向田邦子さんだ。
私をいちばん救ってくれたのは!

太宰や漱石や芥川ら
文豪の「猛毒」に当たってしまった、
私の心に水をまいてくれたのは
向田邦子のエッセイ群でした。

向田邦子に出会ってなければ、
私は今頃、文学、特に純文学を
ろくでもないものだと、 
軽蔑していたかもしれない。
荒廃した砂漠で、 
小さな花に出会えた気がしました。
まるで、天使?に思えました。 
出会い方って大事ですね。

文豪にかぶれた頭でっかちには、
向田さんは地に足がついた、
カラフルな世界に見えました。

江國香織の世界から
向田邦子に足を向けたら、
ずいぶん地味な世界に
見えたに違いない(笑)。

20代、他の作家では、
遠藤周作かなあ。
遠藤周作は『深い河』に
心を打たれました。
打たれる、というよりは、 
心をきれいに洗われた感触でした。
私は『沈黙』より『深い河』派です。

いやあ、今までは、
きっと、太宰や芥川の本のせいで、
人生、振り回されたなあ、
損をしたな、
出会わなければよかった、
と思い込んでましたが、
意外に、本は
私を救ってくれていたようです。
本よ、ありがとう。

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