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母を脱ぎ着する【デクリネゾン:金原ひとみ】

金原ひとみさんの本はオートフィクションというジャンルが多く、まるで自伝のように語りながらフィクションの小説を展開してる。金原さんの実際の環境や世の中の情勢がそのまま書かれていることが多く自分も少しだけ引っ張られてしまい読んでて頭が混乱する、その感じも好きで。

今回もそう。子供が少し成長してからの女性の、自分は母であるけど恋愛する女でもあり仕事する自立した人でも居たい。そこの切れ目や切り替えの難しさ、周りの人を振り回す様子、それによってまた悩む。
私も仕事をずっと続けながら結婚し子供を産んだから尚更なのか。この本に限っては読み続けることが出来ず毎日少しずつ読み進めた。いちいち、整理する時間が必要だった。自分を納得させながら読む。なので読んだ後に本に対して強く思うというよりも『そうだよね、これで良かったんだから』とか『でも毎日なんだかんだ楽しいし』など何かに言い訳でもする様な。

結婚出産といういわゆる人間として大きなイベントを通過してみて。とにかく思ったのは、今まではちゃんと自分が1番思った様にしたい様に行動していたということ。そんな生きてく上で当たり前だと思ってたことを、自分の母やその母はおそらく途中から半分くらいは諦めて生きてきてるんだろうということ。そして今は時代としてそれをぶち壊そうとしてる人が多くそれすら選べるということ。
選ぶって、難しくて。お試し期間というのはなかなか作れず人生は進んでしまうけど。この本の主人公はまさにそれでも、そのお試し期間を設けながら全力に生き、どの立場に自分が経っても自分を主体にしてこうと果敢に戦ってるんじゃないかな。そんな自分に辟易してる様子にこっちまで疲れる、読み応えのある物語。

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