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再読に次ぐ再読【星へ落ちる:金原ひとみ】

金原ひとみさんは私が1番好きな作家で、この人の小説は全部読んでる。
その中でも、1番回数を読んでるのがこの星へ落ちるで、少なくとも20回は読んだ。しばらく読まないこともあるし3回くらい続けて読んだりすることもある。今回は妹と住んでた家に置いてあって数年ぶりに読んだから、また違った気持ちに落ち着いているところだ。

主人公の女の子と、彼氏の話。その彼氏には一緒に住んでいる彼氏がいる。主人公には彼氏と付き合うために捨ててきた元彼がいる。そんな4人の話。
章によって彼氏以外の3人それぞれの視点で描かれている。彼氏の視点だけがない。1番知りたい彼氏の気持ち。関わる他3人の気持ちの移り変わり。気持ちが制御出来ないが故の行動。それによる周りからの見られ方の変化や心理。

内容だけ言えば少し特殊なだけの他人の恋愛の話。でも多分、読んだら全員共感するんじゃないかな。誰かのどこかに。当たり前だけど恋愛って、他者との関係で、ひとりで頑張ってもどうにもならない。
自分の仕事やプライベートとのバランスなんかもあるし、受け入れることが難しい内容やタイミングがあったり。
そうなった時の、自分の気持ちや行動なんて先回りして決められないし自分でもどうなるかわからないんだよなーって。初めて読んだ時はなんか恋愛してるひとの本能的なところに引いてしまった。

その頃は20歳で今は35歳。内容も知ってるし読み方自体も違うんだけど。ていうか、この何度も同じ本を読むって言うのはこの本から始まった習慣だったような。
それまでの本は、1回読んだらそれきりだったしそのあとの本の行方なんかも分からずってくらいだったけど。
金原さんの本は必ずハードカバーで買うことにしてて(その後に文庫や電子で買い足したりもするけどとりあえず)なんでって、毎回カバーが抜群に好み。絶対に。だからなのか、家のどこにあるかが把握できてて。
初めて読むときって、話の展開にびっくりするし反応してしまうから、間を置いて読んだ時の本当に同じ本かこれ?ってくらいに気になるところが違うのにびっくりした。細部の言い回しとかその場面の人の性格によるリアクションの違いとか。
あとは金原さんの、文章に本来必要のない言葉や意味のない文章の羅列がすごく好きです。必要のないとか意味のないとか失礼なんだけど、これって誰がどう使うかで変わるものなんだなぁって。
その言葉や文章だけ『』にして取ると必要なかったり意味はない、でもそこにあるから変な気持ちになる、私は読みながら心臓がぐにゃあってなる。

結局そうやって、20歳でも35歳でも与えられる気持ちが読むたびに違うから、ずっと手元に置いておきたくて。誰かに勧めることは滅多にない。読んだ感想がこんな風にまとまらないし毎回違うから。

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