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人気のない?室町時代

小説で現在、須賀川・岩瀬地方における「室町時代」の騒乱を扱っております。
それにしても、「レキジョ」の私ですら室町時代は影が薄いと感じるのは、気のせいでしょうか^^;

そこで、「カクヨム」で「歴史」をテーマにした作品がどれくらいあるか、時代ごとに調べてみました。

近代

まずはトップクラスより。

大河ドラマでも、概ね「戦国」か「幕末」を扱うというのが、定石ですよね。来年は大河史上久しぶりに、本格的な「平安時代」を扱うということで、密かに楽しみにしていますが……。
そんなわけで、「戦国時代」をテーマにした小説は、816作。

拙作「直違の紋に誓って」も、カテゴリーとしては「幕末~明治」でしょうか。
これも、533作と多いですよね。

次に、「江戸時代」。

717作と、結構な数があります。
上記の「幕末」も江戸時代に含まれるので、タグが重複している人も多いのかもしれません。

古代~中世

さて、ここからは古代~中世。

まずは、平安時代。
割と古典の授業では「平安時代」の作品が扱われることが多いのですが(枕草子、源氏物語、伊勢物語など)、小説にするには、題材となる資料が乏しいのかもしれません。タイトルを拝見する限りでは、陰陽師などの世界観を反映させた作品が目立つ印象があります。

次に鎌倉時代。
「鎌倉殿の13人」が話題になっていたにも関わらず、ぐっと数が減ります^^;
88作品。

そして、問題の「室町時代」。
結構生臭い時代にも関わらず、49作品しかありません……。
人気がないですね~(苦笑)。
実際、泪橋(須賀川二階堂氏の騒乱)を書く上で、資料が乏しいという実感はありますが、何でこんなにも資料が少ないのかが、疑問です。
須賀川二階堂氏の場合、

  • 最終的に伊達政宗に亡ぼされた

  • 幕末に焼き討ちに遭った

という二点が、資料が乏しい原因だろうと感じていますが、それにしてもよく分からない点が多すぎます……。

現代

明治以降は、近代ということで資料が豊富・かつ想像が膨らませやすいからでしょうか。578作と、結構数があります。

それにしても、何でこんなに室町時代は人気がないのか。
あくまでも私見になりますが、以下のような理由があったのではないでしょうか。

地方分権の時代だった室町時代

一所懸命という言葉があります。「一生懸命」の誤りではなく、これはこれで、れっきとした日本語の一つ。

「武士」の生態を考察する上で、キーワードとなる言葉なのですが、文字通り、「土地が財産・経済基盤の全てであり、それに命を掛けていた」のが、中世武士の生態の一つ。
地方でもそれは同じで、室町時代は足利一門を中心とした「守護大名」が権力を握った時代でした。

……が、守護大名があちこちに「領地」を持ち、将軍の影が霞んだ時代とも言えます。

地方の豪族からすると、「自分らの土地を命がけで守ること」で精一杯。
視点を変えれば、中央集権的な「カリスマ的な指導力を持った人物」が登場しにくかった時代とも、言えるのではないでしょうか。
室町時代の文学作品なども、地域を越えた「共通体験」を語れるような、そんな作品が少ないように感じるのは、気のせいでしょうか。

そう考えると、室町時代の文化というのは、将軍のいた京都すら「一地方」としての扱いでしかありません。
京都独自の公家文化は残っていたのでしょうが、戦国時代に突入し、信長が「朝廷の権威」に再び注目するまで、足利将軍家の威光はさほど気にしなかった時代とも言えます。

魅力のある人物がいないと、小説を書く側も、作品の世界観を設定しにくいんですよね^^;
戦国時代や幕末のように、綺麗な「勧善懲悪」の世界ではないですから、心情としても理解できない部分も多い。
どうも、この辺りが「室町時代が舞台の文芸作品」が少ない理由ではないかと思います。


#エッセイ
#室町時代
#歴史考察
#歴史小説

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