がん勉強中の独り言

今まで避けてきたけど…抗がん剤について勉強したく、書き留めます!

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最近の記事

irAEアトラス(総論)メモ帳

オプジーボの非小細胞肺がんにおける副作用としては、間質性肺疾患、甲状腺機能異常、肝機能障害、infusion reaction、大腸炎•重度の下痢が多い。 また発現時期の中央値は2ヶ月付近で多いが、バラツキも多く、癌種によっても異なっている。 重篤化を防ぐためには、なるべく早期に発見することが必要であり、患者さんや家族への教育が大切。 irAE発現時は適正使用ガイドの「有害事象の対処法アルゴリズム」を参考にする。 投与中止基準は関連する有害事象により異なるが、肺関連ではGra

    • フチバチニブ

      フチバチニブ(商品名:リトゴビ錠) FGFR阻害薬に分類される薬剤としては国内2剤目。 1剤目は2021年6月に発売されたペマジール錠(ペミガチニブ)である。 FGFRは、血管新生、創傷治癒および胚発生に関与する受容体型チロシンキナーゼファミリーに属している。 フチバチニブはFGFR1、2、3、4のすべてと共有結合しFGFRを介するシグナル伝達経路を阻害するが、今回承認されているのはFGFR2陽性の胆道癌である。 空腹時が指定されているのは、食後投与では吸収量が低下するた

      • デフェラシロクス

        デフェラシロクス(商品名:ジャドニュ顆粒) 初期の骨髄異形成症候群(MDS)では多くの場合、貧血がある。 疲労感等を軽減させるため、定期的な輸血が勧められるが、数年以上、または20回以上の輸血が継続されると、鉄過剰症を引き起こすことがある。鉄過剰は肝臓や心臓などの臓器に障害を引き起こす。 生活上の注意として、鉄過剰症患者が気を付けなければならないのは二枚貝の生食である。腸炎ビブリオは生存するために鉄を必要とする。鉄剤による治療中の患者、鉄過剰症の患者、肝疾患患者では原発性

        • テポチニブ、カプマチニブ

          METは浸潤性増殖(invasive growth)として知られる複雑な過程を媒介する。 MET 遺伝子エクソン 14 スキッピング変異とは  MET遺伝子エクソン14領域にはCBLを介したユビキチン化とMETタンパクの分解に重要な部分を含んでいる。(チロシン1003)  肺腺がんの3%に認められるそう。また他のドライバー変異とは相互排他的な関係にあるが、MET 遺伝子増幅は高頻度に伴う。 遺伝子増幅とはどのような状態なのか  通常、ヒトなどの高等生物では、全ての遺伝

        irAEアトラス(総論)メモ帳

          イブルチニブ

          イブルチニブ(商品名:イムブルビカ カプセル) 【2023.2効能追加】 マントル細胞リンパ腫において「再発・難治性」の記載が削除された。 未治療例ではベンダムスチン、リツキシマブと併用される。 マントル細胞リンパ腫とは マントル細胞リンパ腫は、中等悪性度非ホジキンリンパ腫に分類され、cyclin D1 の発現が特徴的な腫瘍。cyclin D1 が過剰発現するということは、細胞周期が過剰に回転するということになる。  CHOPやR-CHOPには反応するものの再発が多か

          ダロルタミド

          【2023.2】適応追加 遠隔転移を有する前立腺癌に使用できるようになった。 ドセタキセルとの併用が前提となる。 食後服用 「空腹時服用では薬の吸収が減り、効果がしっかり発揮されないので、食後に服用するように心がけましょう」 相互作用 有機アニオントランスポーター(OATP)は肝細胞に特異的に発現するトランスポーターである。 OATPファミリーには、OATP1B1、OATP1B3などがある。

          ジヌツキシマブ

          ジヌツキシマブ(商品名:ユニツキシン点滴静注) NHKの番組「チョイス」で小児がんがテーマの回に出てきた薬剤。 馴染みがない名前であったが、小児がんでは白血病、脳腫瘍、リンパ腫に次いで多い疾患のようだ。 効能効果 特徴としては、 大量化学療法後に使用すること。 G-CSF製剤とIL-2製剤を併用すること。 オピオイド、抗ヒスタミン剤、解熱剤の前投薬が必要であること。 薬理作用 ジヌキシマブは神経芽腫細胞に発現しているGD2抗原を標的として、CDC(補体依存性細

          ラパチニブ

          ラパチニブ(商品名:タイケルブ錠) 乳癌診療ガイドライン2022への記載も少ない薬剤。 主にトラスツズマブ使用後の進行例に使用され、カペシタビンやアロマターゼ阻害薬と併用する。 用法用量 カペシタビン、レトロゾールの併用が前提となっており、用量が異なる。 カペシタビン併用時はAUCが高くなり、レトロゾール併用時はAUCが低くなるようだが、レトロゾール以外のアロマターゼ阻害薬については記載なし。 「食事の1時間以上前又は食後1時間以降に経口投与」と特殊な用法にも注意が必要

          ルキソリチニブ

          ルキソリチニブ(商品名:ジャカビ錠)効能効果 骨髄線維症、真性多血症について 骨髄増殖性疾患(MPN)に分類されているが、それぞれ予後なども異なるため別の疾患として扱われる。それぞれが移行することがあり、さらには急性骨髄性白血病(AML)へ移行することもある。そのほか特発性好酸球増多症候群(HES)や慢性好酸球白血病(CEL)などもMPNに含まれる。また、慢性骨髄性白血病(CML)はMPNに含まれているが、フィラデルフィア染色体陽性MPNとして別扱いとされている。 JA

          抗がん剤の歴史

          最初の抗がん剤の誕生 マスタードガスは第一次世界大戦で使用された毒ガス兵器である。 毒ガスによる死者は暴露後すぐの直接死亡と、8-9日後の白血球減少による感染症による死亡が多かった。 マスタードガスは硫黄の匂いがし、毒性も強すぎたことから改良され、硫黄原子を窒素原子に置き換えたナイトロジェンマスタードが開発された。また、細胞毒性に着目し血液がん治療にも使用された初めての抗がん剤である。 1949年にはナイトロジェンマスタードの誘導体であるナイトロジェンマスタードN-オキシ

          セルペルカチニブ

          セルペルカチニブ(商品名:レットビモカプセル) 効能効果 進行再発の非小細胞肺癌、甲状腺癌などに使用される。 甲状腺髄様癌とは乳頭癌や濾胞癌とは違い特殊なタイプで、甲状腺癌の1-2%に見られる。 「RET融合遺伝子陽性」と「RET遺伝子変異」の表記の違いについては、少し調べてみたが分からず…。後日の課題としたい。 副作用 肝機能障害(30.8%)、QT延長(14.5%)、高血圧(31.8%)、過敏症(5.3%)などが高頻度であるが、口腔内乾燥、下痢、浮腫も20%を超

          セルペルカチニブ

          肺癌薬物療法(Ⅳ期)-ALK陽性

          ALK-TKIの種類 各TKI比較試験において、クリゾチニブ単剤療法は現在推奨されていない。 一次治療において、PS 0-1ではアレクチニブ、ロルラチニブ、ブリグチニブが推奨されているが、特に強く推奨されているのはアレクチニブである。 PS 2-4ではアレクチニブが推奨されている。 ALK-TKIの主な副作用 共通事項としては頻度は異なるが間質性肺炎には注意が必要である。 服用時点の食事との関係が記載されているのはセリチニブのみである。 また、ブリグチニブの特徴的な有害

          肺癌薬物療法(Ⅳ期)-ALK陽性

          肺癌薬物療法(Ⅳ期)ーEGFR陽性

          肺癌薬物療法(Ⅳ期)ーEGFR陽性一次治療【common mutationの場合】 (エクソン19欠失またはL858R変異陽性)PS0-1 単剤ではオシメルチニブが推奨 その他以下 ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメドレキセド エルロチニブ+VEGF阻害薬 ダコミチニブ単剤 ゲフィチニブ、アルロチニブ、エルロチニブ PS2 ゲフィチニブ、エルロチニブのいずれかを推奨 ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメドレキセドは推奨度不明 PS3-4 ゲフィチニブ単剤を推奨 一次

          肺癌薬物療法(Ⅳ期)ーEGFR陽性

          肺癌薬物療法(〜Ⅲ期)

          切除可能 I-IIの術前プラチナ併用しない ⅢA術前ケモラジ弱く推奨 I-IIA完全切除腺癌に対しUFT推奨 I-IIA完全切除非腺癌に対しUFT弱く推奨(腺癌に比べるとHR高い) Ⅱ-ⅢA完全切除例に対しCDDP+VNR、CDDP+PEMが推奨 Ⅲ期 Ⅲ期の切除不能非小細胞癌ではケモラジ推奨、ただしPS0-1 →プラチナと第三世代以降の細胞障害性抗癌薬の併用が推奨 レジメンはCP(カルボ、パクリ)、CD(シスプラ、ドセ)が推奨(日本人でのデータ多い) PP(シスプラ、

          肺癌薬物療法(〜Ⅲ期)

          アビラテロン

          アビラテロン(商品名:ザイティガ) 去勢抵抗性前立腺癌、内分泌療法未治療ハイリスク前立腺癌に使用される。 食後服用ではAUCが5-10倍となるため、空腹時に服用しなければならない。 プレドニゾロンの併用が前提であり、副作用として高血圧や低カリウム血症がある。以下図の作用機序からみても納得できる。 CYP17阻害剤

          セツキシマブ

          【2022/9適応追加】2週回し 今までの週1回投与に追加して、2週間隔での投与が可能となった。 FOLFIRI、FOLFOX、CPT-11との併用では、患者さんの投与も2週間間隔に揃うため、メリットも多そうだ。 RAS遺伝子変異について