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衆院選出馬:飯山陽は「オルタナ右翼」か 日本の保守革命の可能性

(タイトル画像はYouTube「いかりチャンネル」より)



きのうは天気が悪かったので、家でぼーっとスマホを見て過ごしていたんですが、「大ニュース」が次々と飛び込んできました。

周庭さんが3年ぶりに日本語のツイッター(X)を再開、というニュースに「オオっ」となり。


KADOKAWAで「焚書」になった『あの子もトランスジェンダーになった』が産経新聞出版から出る、というニュースに「ほう」となり。


そのあと、飯山陽が日本保守党から東京15区で出るというニュースに「マジか」となった。


わたしはリベラルだけど、以前からこのnoteで書いているように、日本保守党や飯山陽に期待している。

敵は同じ「左翼」だからね。(以下も以上も敬称略)


出版界が起こす「保守革命」


産経出版「あの子もトランスジェンダー」発刊のニュースと、飯山陽出馬のニュースを、わたしがつづけて見たので、

「出版界が、日本の『保守革命』をリードしている」

という印象を、まず持ちました。


これは、「ほんこん」もYouTubeで言っていたけど、日本保守党の百田尚樹も、飯山陽も、「ベストセラー作家」であるところに特徴がある。主な活動場所は「出版界」なんですね。

かれらは、著書と、「HANADA」「WILL」のような雑誌、あとはネットでの人気にささえられている。

というのも、テレビや新聞といったメインストリームのメディアからパージされた人たち、だからですね。

飯山については、大学からもパージされている。

KADOKAWAで出せなかった本が、産経出版から出ることも含めて、出版界が「言論の自由」の最後のとりでとなり、かれらの活動を可能にしているということですね。


これは、もと出版人として、基本的に誇らしいことです。


そして、ますますはっきりしたのは、現代において、人や言論をパージし、言論を「焚書」するのは、メインストリームメディアに盤踞する「左翼」だということ。

悔しいのは、同じくメインストリームから排除されている「まともなリベラル」は、出版界でも元気がないことです。

それでも、こうした形で保守勢力が、メインストリームの「弾圧」をはね返して進む姿は、励ましになります。


中途半端に終わった日本の保守革命


こうした勢いある保守層は、日本に「革命」を起こせるでしょうか。


「保守革命 conservative revolution」という言葉は、歴史用語としてはワイマール期ドイツの思想運動につかわれますが、冷戦終了前後には、アメリカの保守運動でもつかわれました。

リー・エドワーズの「アメリカを作り直す保守革命」(2002)が有名ですね。

リー・エドワーズの「The Conservative Revolution : The Movement That Remade America」


冷戦が終わったあと、わたしは日本の出版界が信用できなくなり、アメリカの本ばかり読んでいました。

リー・エドワーズの本も、出てすぐ読みましたが、もう中身は忘れてしまった・・(このあたりの専門が、亡くなった中山俊宏だったのですが)


アメリカは、冷戦でソ連に勝利したわけですが、「勝って兜の緒をしめよ」的な運動があったんですね。

保守政党が、自動的に「保守主義」という思想をもつわけではない。それはアメリカの共和党も、日本の自民党も同じです。

平時には、魂が抜けたような状態になる。いまの自民党がそうですね。


保守主義といっても、アメリカにもいろいろあって、それらをまとめる大きな器のようなものがないと、思想的な運動にもならない。

反共主義者、伝統主義者、リバータリアン。少なくともそれら3つを、たばねないといけない。

日本では、安倍晋三が、属人的にそれらをまとめていたといえるでしょう。安倍が亡くなって、またバラバラになっています。


アメリカでリー・エドワーズの本が出たころ、脚光をあびていたのが「ネオコン」でした。

エドワーズは、アメリカの保守革命の担い手として「タフト-(バリー)ゴールドウォーター-レーガン-(ニュート)ギングリッチ(下院議長)」という流れを書いていたのですが。

レーガンからジョージ・W・ブッシュの時代を、思想的にささえていたのが「ネオコン」たちですね。


ネオコン(新保守主義者)は、典型的には、もと左翼や、もとリベラルで、民主党支持から共和党支持に転向した人たちでした。

かれらは、自由や民主主義の価値を世界に広める「革命」をこころざしていた。いわば「前に出る」保守主義ですね。

それで、クリントン政権とかとバチバチやっていたのですが、イラク戦争、アフガニスタン戦争をへて、信用と人気を失いました。


それでも、冷戦後のネオコン時代に、アメリカの保守主義が「再興」したのは事実だと思います。

たいして、日本の保守主義には、冷戦が終わったあと、同じような「再興」が見られなかった。


一時「日本のネオコン」といわれたのが、読売新聞の渡辺恒雄でしたが、かれは思想的な中身に乏しかったですね。

それは安倍晋三も同様で、「器」ではあったけど、それほど思想的な内実があったわけではない。

それでも、安倍が、「改憲」にもっとも近づいた保守政治家だったのは間違いない。世論も改憲に傾き、辻元清美が選挙に落ちた2021年ころまで「保守革命」の可能性はあった。

が、そのあと殺されてしまった。

いずれにせよ、安倍を除けば、保守に「スター」が生まれていないのが現状です。


トランプと「オルタナ右翼」


そこに現れたのが日本保守党と飯山陽ですが。

それは、やはりトランプを支えている「オルタナ右翼」の日本版と見るべきでしょうか。

ネオコンが「前に出る保守主義」だったとすれば、こちらは、「後ろに下がって線を引く」保守ですね。


Wikipedia「オルタナ右翼」によれば、その特徴は以下のとおり。


反フェミニズム、反多文化主義、反ポリティカル・コレクトネス、白人の罪悪感と特権、レイシズム、ミソジニー、そしてヒラリー・クリントンへの嫌悪と憎悪


いわゆる「極右」「ネオナチ」とも重なるわけですが、日本保守党はいまのところ、レイシズム的な特徴はあまり出していない。

その点では、トランプだって、「オルタナ右翼」の支援を公式には認めていない。「関係はない」と言っている。

でも、現実には、「勝手に応援」させることで、人気の下支えにしているわけです。

だから、重要なのは、「オルタナ右翼」まで含めて、若い保守層をとりこむ器に、日本保守党がなりうるかどうかでしょう。


百田尚樹は思想的内実が乏しく、かなり平凡な反共主義者、中国嫌い、だと思います。

伝統主義者に尊敬されるほど伝統に詳しくなく、リバータリアンに信用されるほど経済外交政策に明るくない。

でも、著書やネットをつうじて、一般の人気はそれなりにある。


だから日本保守党は、現在アメリカでトランプを支えているような新しい保守層は、たばねられるかもしれない。

日本でも、「日本は古代から世界一素晴らしい」といった言説がネットでふえている。

それが、移民排斥主義とむすびつけば、「オルタナ右翼」的になる。


飯山陽は、少なくとも百田よりは、思想的な中身があるしね。

「選挙で勝てる」となれば、既成右翼層も相乗りしてくる。


わたし自身はもちろん「極右」まで行ってほしくないし、国政をねらうなら、トランプ同様、そこは線を引く必要がある。

有本香は、「自分たちは極右ではない」と、さっそく防衛線を張っていた。

そして、産経新聞などの既成保守層を取り込みつつあるようには見える。


もっとも、飯山陽が「トランプ」になれないのも明らかだと思う。

飯山にくわえて、テレビに出ているようなタレント・芸能人が、日本保守党から出馬すれば、かなーりの「台風の目」になりそうっスよね。


リベラルもがんばれ


と、うだうだと書いてきたけれど。

最初にいったとおり、わたし自身は、元気のいい保守に刺激されて、新しいリベラルが台頭してほしいんですけどね。


ふたたび出版界の思い出に戻るなら、冷戦が終わって、出版界は変わるかと思っていたら、変わらなかったわけですね。

いまから振り返れば、「朝日ジャーナル」が廃刊になったのが、いちばん大きな変化だったでしょうか。

しかし、その代わりに「週刊金曜日」が出来て、同じようにつづいているわけです。

むしろ、「諸君!」のような保守雑誌が廃刊して、文春まで左傾している。

冷戦時代の社会党を引きずる辻元清美が、あいかわらず国会に席を占めている、のに象徴されるように、日本は驚くほど冷戦中と変わっていない。

出版界は「最後のとりで」と言ったけど、ここでもメインストリームはあいかわらずなんです。


昨日、産経出版や、飯山陽のニュースとともに流れてきた、岩波書店のポストを見て、ちょっとため息が出ました。象徴的な意味で。



左翼がメインストリームを支配している現状を、まず変えなければならない。

そこを変えないと、日本はなにも変わらない。

日本保守党に、リベラルであるわたしが期待するゆえんです。




<参考>




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