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ポリコレ時代の終わり?

「反ポリコレ」の動き


ポリコレ、言葉狩り、フーコー流文化左翼による抑圧が、終わりつつあるかもしれない。

21日、山形浩生氏が、NYTimesがポリコレ路線を転換したかも、とツイートしていた。

ニューヨークタイムズ、一時のポリコレ暴走路線を (反省してかどうかはさておき) 改革して、以前より多様性ある (つまり「社会正義」に偏向しない) 路線になってきたとのこと。さっきリンクした気候変動での記者どもの宗旨替えとともに、流れが変わってきたかな?


昨日(24日)は、堀茂樹氏が、自らが訳したポリコレ批判書『「傷つきました」戦争』の出版をツイッターで告知すると、たちまち1000を超える「いいね」を集めた。


ジェンダー、人種、肌の色―“属性”で正しさが決まるのか?人の立場や出自で行動をジャッジし、「傷つきました」の一言で問答無用…。文化を検閲し思想を統制する風潮の行き先は?フェミニストで反差別運動の旗手が、米国の議論に欠けている普遍主義の視点から、ポリコレの暴走を超える対話の道を説く。


このツイートを、「朝鮮学校スパイ」発言でMBSの番組をクビになったばかりの上念司氏がリツイートしているのも面白かった。


山形氏も堀氏も、ポリコレの「暴走」という同じ言葉を使っているのが面白い。

堀氏は、続けて、以下を訳書から引用している。

「かつて、検閲は、保守的で道徳主義的な右派のやることだった。今日では、左派のほうが検閲に走る。より厳密にいえば、道徳主義的でアイデンティティ至上主義的な特定の左派である。この一派は、自由に徹する精神を捨て、年がら年じゅう、破門や至上命令の言葉を発している」


2016年が起点?


「ポリコレの暴走」は、2016年の「トランプ大統領」出現によって始まった、と私は思う(そういう見方は多いと思う)。

日本から見れば、「トランプー安倍」時代の出現だった。

ポリコレ暴走は、この「トランプ時代」への左翼のリアクションだった。

トランプー安倍時代を、リベラルも歓迎したわけではなかったが、左翼にとっては「この世の終わり」同然であり、激烈な反応を引き起こす。

日本ではその2016年に先立ち、2014年に朝日が慰安婦問題の誤報を認め、社長が辞任するという事態があった。「リベラルの失墜」である。

そのあと、2015ー16年に安保法制問題があり、日本でも朝日をはじめ左翼が一気に巻き返しに出た。

青木理氏や望月衣塑子氏はもちろん、菅野完氏や前川喜平氏らの少々難アリの人物も使わざるを得ないほど、左派メディアは死に物狂いだった。

(一方、右派にはユーフォリアが起こり、浮かれすぎで、「桜を見る会」での揚げ足取りなどを招く。)


このように、日米で思想・政治状況が重なったため、日米で同じ「ポリコレ暴走」が起こる。

Me Too、BLM、LGBTQ、gender identity、Woke、キャンセルカルチャー・・これらの言葉や運動は、それ以前からあったとも言えるが、2016年以後に日米(と西欧諸国)で広まる。

そして、日本では、「ヘイトスピーチ」や、パワハラ、セクハラ、何とかハラの類の「『傷つきました』戦争」が猖獗を極める。

「人権」や「反差別」を旗印に、保守的思想や社会慣習、伝統的価値を根こそぎ、根絶やしにし、あわせて、人間の自由や思想の多様性を否定する、極端で非人間的な志向である。

そのすべてを「暴走」と片付けるわけにはいかないにせよ、流行に乗った「告発」や「破門」により、世界中で有能な人々が相次いで失脚したり信用を毀損されたりした。

日本でも、象徴的には、呉座勇一氏のオープンレター事件などがあった。そろそろ21世紀の「文化大革命」における「犠牲者リスト」が作られるべきだろう。


覚醒したリベラル


こうした「ポリコレ暴走」への反発も日米共通であり、イーロン・マスクのツイッター買収や、Colabo問題などもその一環だと思う。

重要なのは、山形氏や堀氏のようなリベラル派が声を上げ始めたことだ。

アメリカのスティーブン・ピンカーをはじめ、世界中のリベラルたちが、

「自分はwokeではない。wokeはリベラルではない」

と言い始めている。

Wokeが、リベラルまでも血祭りに上げ始めたからだ。

また、トランプが勢いを失い、安倍氏が殺されたなどの政治状況の変化もあるだろう。



堀氏が訳したのは2020年のフランス人ジャーナリストの本だが、日本でも、良心的なリベラルによる「反ポリコレ」本が書かれてほしい。

そして、この「反Woke」の流れが定着し、「ポリコレ暴走時代」が本当に終わることを祈る。

未来の歴史家は、20世紀の中国で起こったようなことが、2016年から2023年の間に西側の自由社会でも起こった、と記すだろう。



<3月27日追記>
反ポリコレ、ポリコレ考察本は、他に以下のものが出ています。

『社会正義はいつも正しい:人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて』(ヘレン・ブラックローズ他、早川書房 2022.10)

『キャンセルカルチャー:アメリカ、貶めあう社会』(前嶋和弘、小学館、2022.10)

『傷つきやすいアメリカの大学生たち:大学と若者をダメにする「善意」と「誤った信念」の正体』(ジョナサン・ハイト他、草思社、2022.11)

『大衆の狂気 ジェンダー・人種・アイデンティティ』(ダグラス・マレー、徳間書店、2022.3)

『ポリコレの正体 「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは』(福田ますみ、方丈社、2021.12)


<参考>


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