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社会科学系の学部を卒業→実用書出版社にて人文書などの書籍編集担当経験→制作会社で企業の広報戦略に関する企画・編集・ディレクション→広告関連企業のディレクター。歴史のことや仕事のことなど。歴史はただの趣味。関心が高いのは日本史、特に古代史

マガジン

  • 歴史の話② -諸説、考えてみる-

    様々な歴史のできごとを、教科書などでは書ききれなかったのであろう背景や視点を調べてみたり、“趣味”であることをいいことに勝手に解釈したりしながら、「ふーん、そんな考え方もありか」と思えるヒントになれればと思っています。

  • 歴史の話

最近の記事

コミュ力がお化けすぎる?中臣鎌足

※有料で見られる情報は記事のまとめになります。実質すべての内容を無料で見ることができますので、資料の費用だとか応援だとか、そんな支援をしていただける酔狂な人がいれば、購入をお願いしたく思います。 大化改新の英雄にして、藤原氏の始祖中臣鎌足を一言でいえば、まさにこの小見出しのイメージだと思います。 彼は神事・祭祀を司る氏族・中臣氏の生まれです。 中臣氏は「連」の姓を有する有力豪族のひとつ。仏教公伝時には、当時の長である中臣鎌子は同じ連である物部尾輿(彼は大連なので格上で

    • 物部氏が嫌がったのは仏教なのか?

      ※有料で見られる情報は記事のまとめになります。実質すべての内容を無料で見ることができますので、資料の費用だとか応援だとか、そんな支援をしていただける酔狂な人がいれば、購入をお願いしたく思います。 物部氏の成長の背景=渡来人の製鉄技術百済から仏像が送られたとき、蘇我氏は大陸の最新の価値観として仏教を受容し、物部氏らは自国の神が怒るのではとして崇拝を拒否したと言われています。一方で物部氏が大きな力を持った背景は、百済や加耶からやってきた渡来人の製鉄・鍛治技術をほぼ独占的に抱え込

      • “武力に強くて保守”の物部氏 -その力の背景は渡来人から得た技術?-

        ※有料で見られる情報は記事のおまけになります。実質すべての内容を無料で見ることができますので、資料の費用だとか応援だとか、そんな支援をしていただける酔狂な人がいれば、購入をお願いしたく思います。 “日本古来の伝統を好む物部氏”は本当か?物部氏といえば、伝統的に軍事の専門と言われ、神武天皇の頃から仕えたといわれる由緒ある豪族。そして、仏教公伝をめぐって蘇我氏と対立した廃仏派で、日本古来の伝統を好んだ豪族とも評されています。 「神武天皇の頃から〜」という点はさておき、彼ら

        • 「正倉院=シルクロードの終着駅」は、四次元的な意味?

          ※有料で見られる情報は記事のおまけになります。実質すべての内容を無料で見ることができますので、資料の費用だとか応援だとか、そんな支援をしていただける酔狂な人がいれば、購入をお願いしたく思います。 シルクロードの終着駅とは?天平文化といえば正倉院。定番中の定番ですね。 東大寺大仏殿の先にあるこの高床式の建物からは、奈良時代(8世紀)の美術工芸品や文書が多数残され、その中には唐や中東、ヨーロッパ、エジプトなどから渡ってきた貴重なものも数多くあります。また国産の美術工芸品にも、

        コミュ力がお化けすぎる?中臣鎌足

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        • 歴史の話② -諸説、考えてみる-
          6本
        • 歴史の話
          26本

        記事

          邪馬台国がどこかより興味深いこと

          ※有料で見られる情報は記事のまとめになります。実質すべての内容を無料で見ることができます。 論争することが目的になっている?日本古代史が好きだということが周りにバレると、だいたい以下の2つを聞かれがちです。 古代の何が面白いのかよく分からない(若干こちらを警戒する目で) (ちょっとしたり顔で)邪馬台国はどこにあったと思いますか? もちろん、聞かれたときの回答も用意しています。 よく分からないから面白いのだし、史料が乏しいからいろんな解釈ができるのが面白い どっち

          邪馬台国がどこかより興味深いこと

          “何が起こったか”より“どう考えるか”を大事にしたい

          さて、改めて自己紹介になりますが…。 もうすぐ40代に差しかかる人間です。 8歳か9歳ぐらいのときに読んだいわゆる教育系の歴史マンガと、その頃少年誌に連載していた戦国時代系のマンガ。その2つに出てくる織田信長のキャラクターと出来事の解釈のあまりの違いっぷりに困惑して、「結局どっちが本当なの?」と思ったことが、歴史に興味を持ちはじめたきっかけだと思います。 で、いろんな本を読んだり調べたりした結果、「あ、何が本当かなんか誰も分かっていないんだ」と気づいたことで、自分の人

          “何が起こったか”より“どう考えるか”を大事にしたい

          タイトルがかぶった話

          『歴史メンタリスト』なるマンガが連載開始された。 「歴史で人生を生きやすくしよう」というコンセプトで歴史メンタリティという謎ワードを記したのは今年の2月(半年前)。一応、誰か既に言葉を使っていないかをネットで検索してから出しはしたが、早くも半年後に大手出版社の新連載とかぶった。 まあ別に誰でも思いつくような名前だし、中身もまったく違うのだが。でも中身がまったく違うからこそ、高いブランドバリューを持つコンテンツと言葉がかぶるというのはそちらにイメージが引っ張られる。つま

          タイトルがかぶった話

          征服と植民地化で進む多様性④-メスティーソ:独立運動につながる分断と混血-

          前回までで、先住民、征服者、奴隷というルーツの違う3つの集団がラテンアメリカに混在することになりました。 混血が進んだシンプルな理由基本的に植民地時代のラテンアメリカの統治構造は、人種・ルーツをベースにしています。 最上層は、スペイン国王から統治を移譲されている副王。これは主にスペイン本国の貴族。スペインからやってきた人です。 その次はクリオーリョ。ラテンアメリカ生まれのスペイン人。銀山や大農園を統治している大地主(ラティフンディスタ)。 その下は、形式上は先住

          征服と植民地化で進む多様性④-メスティーソ:独立運動につながる分断と混血-

          余談:石見銀山は、富岡製糸場につながるらしい

          ラテンアメリカの奴隷構造を調べていたときに気づいたこと。 16世紀はスペインの植民地だったラテンアメリカで銀山開発が進み、ヨーロッパは「銀の時代」になった。一方で、この頃ポルトガルはアジアに進出していて、そこでラテンアメリカに引けを取らない“銀の国”日本を知る。(そして当時の日本の銀は、そのほとんどが石見銀山で算出されていた。) ポルトガルは南蛮貿易によって日本の銀を確保し、それがヨーロッパに流れ、ヨーロッパは銀の時代をさらに加速。その他の社会要因なども絡み合って価格

          余談:石見銀山は、富岡製糸場につながるらしい

          征服と植民地化で進む多様性③-黒人奴隷:奴隷ありきでつくられる社会-

          大農園と銀山の開発でスペインとポルトガルはこの世の春を謳歌し、ヨーロッパはその恩恵を受けて豊かになっていきます。その一方でラテンアメリカの労働環境はひどく、労働力不足を補う切り札として奴隷貿易が加速していきます。 世界を変えた「Made inラテンアメリカ」元々、航海者たちが狙っていたのは、インドの香辛料とジパングの黄金でした。新大陸はインドでもジパングでもありませんが、代わりに未知の食材が豊富にあることが分かります。 一例として。 ジャガイモ、トマト、トウモロコシ

          征服と植民地化で進む多様性③-黒人奴隷:奴隷ありきでつくられる社会-

          征服と植民地化で進む多様性②-聖職者:ストイックな布教の背景と功罪?-

          新大陸発見でにわかに活気づく大航海時代は、数多くの宣教師が世界中に布教活動を展開する時代でもありました。彼らがなぜ世界へ飛び出したのか。それにはいくつかの背景があるようで…。 ストイックな入植聖職者たちそもそも当時のスペイン人は、征服者も聖職者も信仰心の篤いカトリック信者なのは、以前に書いた通りです。そのためかなり早い段階から、聖職者は新たな地での布教活動を目的として、征服者に同行しています。 本格的に布教活動が始まるのは1520年代の後半あたりからで、初期の布教活動

          征服と植民地化で進む多様性②-聖職者:ストイックな布教の背景と功罪?-

          征服と植民地化で進む多様性①-征服者:複数要因が絡んだ早期の制圧-

          本格的に征服を始める征服者たち。その中には以前にも記載したように、レコンキスタを戦った兵士、受刑者、坑夫、農民など、 “スペインでは将来を期待できなそうな人たち”も多くいました。 そんな征服者たちは、現地の社会情勢をうまく使ったり、先住民側の疫病の蔓延という想定外の事態も作用し、征服を進めていきます。 征服の要因①:インディアス・アミーゴ前回書いた通り、征服者を支えたのは、彼らが武力で臣従させた辺境の民族や帝国への不満分子などです。 征服者にとってみれば、彼らの存

          征服と植民地化で進む多様性①-征服者:複数要因が絡んだ早期の制圧-

          征服前の背景について③アメリカ大陸-先住民は恐怖の対象?-

          多民族化の話をしたいのに前段が長すぎるので、ちょっと駆け足にします! コロンブスの航海以降、スペインの征服者たちが入植していくことになるラテンアメリカ。彼らを待ち受ける先住民社会は、こちらが思っているような“弱者”ではなかったようで…。 「強者ヨーロッパによる一方的な征服」ではない前提として、ラテンアメリカの先住民は決して弱者ではありませんでした。確かに彼らは古代から踏襲された宗教観念を持ち、ヨーロッパと比べて洗練された武器も持っておりませんが、彼らが優れた学問・技術

          征服前の背景について③アメリカ大陸-先住民は恐怖の対象?-

          征服前の背景について②スペイン-海に出るぐらいしかやることなかった?-

          レコンキスタ中に、隣国が力をつけ始めるスペイン(カスティーリャ、アラゴン)は、それぞれポルトガル、フランスと国境を接しています。スペインがレコンキスタを推し進めている一方で、隣の2国は国力を大きく高めていきました。 フランス:長い戦争を終えて中央集権の強国へ イベリア半島の隣にある大国・フランスは、1339年から1453年までイギリスと百年戦争を戦っていましたが、なんとかイギリスに奪われた領土も取り返し、辛勝します。 戦争終結後、イギリスで王位継承をめぐってバラ戦争

          征服前の背景について②スペイン-海に出るぐらいしかやることなかった?-

          征服前の背景について①スペイン-レコンキスタと複雑な西ヨーロッパ-

          ラテンアメリカの征服は、そのほとんどがスペインによるものでした。きっかけとなるコロンブス(コロンもしくはコロンボとも)の西インド諸島到達の前、スペインや西ヨーロッパがどんな状況に置かれていたのかをまとめたいと思います。 ※長めです。 イスラム勢力と700年以上も戦争中のスペインまず、スペインと隣国のポルトガルがあるイベリア半島です。 ここは西ゴート王国というキリスト教国がありましたが、711年にイスラム勢力のウマイヤ朝によって実質滅ぼされます。(日本では藤原不比等と長屋

          征服前の背景について①スペイン-レコンキスタと複雑な西ヨーロッパ-

          ラテンアメリカ -体感しにくい価値観を、歴史で感じる-

          ラテンアメリカとは、南北アメリカ大陸とカリブ海の島々の国のうち、アメリカ合衆国とカナダ、除いた国のことを総称しています(ガイアナ、スリナムの2国も除くという説もあります)。もっとも、この「ラテンアメリカ」という呼称自体も、果たして彼らの総意の概念なのかというと、議論の余地が結構あります。 超多民族圏・ラテンアメリカ国名に「多民族」と明記したボリビア 南米の中央やや西よりにあるボリビアは、2009年に「ボリビア共和国」から「ボリビア多民族国」に国名を変更しました。時の大統領

          ラテンアメリカ -体感しにくい価値観を、歴史で感じる-