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新著書がくる!⑦〜放置プレイと削り芸〜

こんにちは!勝浦です。
来る11月1日(水)に発刊する新著「ひと言でまとめる技術」
その完成までの軌跡をコラムで連載しています。
amzn.asia/d/g0dMOqO

今日のコラム内容をひと言でまとめると、
「編集者の芸風は千差万別」です。

これまでのコラムで、
「前著の担当編集者さんは、基本放置だった」
ということを書いてきました。

もちろん、これは悪い意味ではなく、
「納得のいくものが書けるまで待ちますよ、
できたら送ってください。楽しみにお待ちしております」

といった空気感で進行していったわけです。

また、「初稿を書き終えたあとは編集者さんがガッツリ文章を削るんだろーなー」と予想していたのですが、実はほとんど削られませんでした。
ここは、編集者として「書いたものを尊重してなるべくそのまま世に出す」
という意志があったようです。

さて、今回コンビを組むことになった、
アスコムの編集者さんはどうだったでしょうか?

結論からいうと、12万字近く書いた内容を3割程度削ることになりました。
しかも、当初予定していた目次の順番が変わりました。
そして、タイトルも決めていたものから変更になりました。

初稿が上がった後、膝をつきあわせて、
再校で削られた部分をひとつひとつ丁寧に説明していただきましたが、
実に納得のいくものでした。

その基準は「読者を迷わせない」というもの。
僕は、ふだんの発言からわかるとおり、脱線や回り道が大好きで、
何かを書くときもそれが良いことである、という前提で書いています。
心には、必要以上に「余白」が必要だと信じて。

が、今回の本は「ひと言でまとめる」というテーマの本。

本筋からズレた過度な回り道や脱線は、読者を混乱させるので、
著者の味は活かしつつ、すっと読者の心に入っていくものを目指す、
という考えかたのもと、編集者の「削り芸」が炸裂しました。

とはいえ、自分が書いた文章は、我が子のように可愛いもの。
え、この一節も?え、このギャグも?え、この付録も?なくすの?
とショックもありました。
が、独りよがりでいきたいなら本の制作という共同作業をやる意味がありません。どうしても残したいものは主張しつつ、内容をシャープにしていきました。

人間同士がやることですから、芸風は指紋のように各個人で違います。
編集者が変われば、たとえ同じ出版社であっても
まったくちがう書籍が出来上がるはずです。

このあたりは、広告のCDとコピーライター、プランナーの関係性に似ています。指示を出して見守るだけの編集者がいれば、
手を動かして内容や構造を提案をしてくれる編集者もいます。

どちらが正しいわけではなく、お互い色んな人と組みながら、
ちょうどいいやり方を編み出していくのが大事なのでしょう。

いま、あらためて最終原稿を読み返してみると、
「解決したいなにか」をぼんやりもっている読者を、迷わせることなく
「ある場所」へ連れていけるものになったと感じています。

ちなみに削除されたギャグは、セミナーやイベントで披露しますね。

え、要らない?もっと役に立つことを言え?
あなた、心の削り芸が得意ですね…。

つづく


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