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考える葦

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7月のある日の記録

7月のある日の記録

7月の梅雨の晴れ間にしては、風が部屋をよく吹き抜ける。窓からは、白く細い砂利道がゆるやかに続き、赤い色褪せた屋根の、1階が鼻のように突き出た出窓のある家の前で消えているのが見えた。さらにその道の方角のさきに、ハリボテのような杉の森が見え、眺めはそこで行き止まりになった。

今は午後3時。太陽がぎらぎらと地面を照らしている。蟻の行列が子供のいたずら書きのように、うねうねと黒い曲線を描き、先頭の蟻は死

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脱線  -ソローを目指す若者たちへ-

脱線  -ソローを目指す若者たちへ-

 
 あなたは暖かい幸せな家に生まれた。母親の乳房を吸って、父親の固い腕に抱かれてふかふかのベッドに運ばれた。十数年の幸福な時間を過ごしたのちあなたは、外に一歩踏み出して、明るい空気を鼻から大きく吸った。あなたは感じた。希望、未来、光を。
周りを見渡せば沢山の人がみな楽しそうに話している。ベンチに腰掛け本を読み耽っている人もいれば、恋人と手を繋ぎショッピングを楽しんでいる。あなたにも誰もが羨む恋人

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怒った顔
悲しそうな顔
歓喜の顔
恍惚とした顔
曖昧な顔

感情は崇高である
感情は顔に現れる

我々は他人の顔の中に人以上の何か――
歴史上神と呼ばれるもの――を
顔という形象を媒介にして
日々見ているのであろうか。

夜更けに思う

努力する〈べき〉だ
成功する〈べき〉だ
親切にする〈べき〉だ
寛容である〈べき〉だ
優しくある〈べき〉だ

俺はこの〈べき〉にナイフを突き立てた
するとそいつは白い小さなカタツムリみたいに成り果てた――

まるで十字軍のようだ
十字軍が行進している
赤い国旗を高らかに振りながら見送っている婆さんらがいる
子供らは小高い丘から行進の人だかりを眺めている

だが、十字軍の行進はこれが最後だ
なぜって俺

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NHK〈迷惑客への宿泊拒否が可能に 歓迎と不安 それぞれの思い〉と題された記事への意見文

 2023年10月26日 21時15分NHKは以上のタイトルの記事をXにて配信したので、その意見文を書こうと思う。これを書いた理由は、別垢でこのニュースにコメントを書いたら不当にアカウントを凍結されたからだ。
このニュースでは宿泊業を取り巻くカスハラと障害者の状況を取り上げている。ここではカスハラの部分だけを扱う。

カスハラとは何か。
厚生労働省は、ホームページ上で公表しているパンフレットにおい

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