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ミームミームミーム。今、人はミームの乗り物となった

ミーム
模倣によって人から人へと伝達し、増殖していく文化情報。文化の遺伝子。

デジタル大辞泉

 現代におけるミームの爆発的増加はすごい。あまりにもそれは早すぎて、それを増やしているはずの人ですら追いつけないほどである。言ってみれば今、人はミームの乗り物でしかなく、それはかつての「流行」とか「常識」とか「時代」というものすら超えた、時空的な大嵐である。

 いくらインターネットが存在していたからといって、ミームはまだ「流行り」くらいと同等の時代もあった。確かにそれは爆発的に人々を伝って1つの価値観を共有させていたが、それでも依然として流行りではあった。
 けれども現代を見てみると、ミームとは本当に「ミーム」でしかない。それには3つの要因がある。

①ミームがミーム化しつつあるということ
②定着ではなく増殖に特化し始めていること
③作り出すことが容易になっていること

爆発的ミームの要因

 1つ目は、ミームという言葉の身近さである。それはインターネット用語であり、ミームと言って通じないことは、そのデジタルな場においてはない。つまりミームは「こういうもの」というイメージがミーム化し、しかも、それを楽しんだり、面白がろうという遊び方が当たり前になっている。だからミームは拒否されないし、むしろそれを拡散することに、人は賛成する。
 2つ目に、今、ほとんどのものは「一過性」である。あらゆる世代、人種、性別、思想にとって、流行り廃りのサイクルが早く早く早く、加速している。むしろ人は、どんどんと忘れようとしているくらいに物事の移り変わりは早く、興味はすぐに加熱し、盛り下がる。そういった浮き沈みの激しさがむしろ、ミームの増殖性を大いに手伝い、高めてしまう。
 そして3つ目は、現代のクリエイティビティの高さだ。本当に高い。そして素早い。しかも手軽である。人の満足感という基準もそこまで高くなっているわけでもなく、その時の感情や納得感が優先される。だから、増殖したミームを面白がる風潮に適応した現代のクリエイティブは、まさに、ミームを増やしまくることにピッタリだ。盛り上がったその瞬間を逃さずにレスポンスできるクリエイティブの手軽さは、ミームの天下を下支えするのにもってこいである。

 ミームのミーム化、増殖に特化したこと、創作の手軽さ。これらによって、世は、人は、ミームに夢中である。それは常識になることを望まない。歴史や文化になることも。しかしただ簡単に、盛り上がりの中で、面白おかしく増殖することを良しとする。
 だから強い。人はミームに抗えない。その手足そして乗り物になったとしても、というよりそうでなければミームは存在できないのだから、人は一過性の大盛り上がりの礎となることを、自ら選んでいる。
 ミームの爆発的増加は、私達の熱狂を分かち合おうとする抑えきれない心によって為されている。

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