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スコアを5打縮める為のフットゴルフマネジメント~石川遼もやっている、4方向からのパッティング練習~

~前回の記事はこちら~

~ゴルフ場にあって、サッカーグラウンドにはないもの~

フットゴルファーの皆さんは、パッティング練習をする際、どんなトレーニングメニューを行っていますか?
最近はgoalholeという便利な練習器具も発売されている為、天然芝の広場があればそれなりにクオリティの高い練習ができるようになってきました。ただ、グラウンドとゴルフ場とでは決定的な違いがある為、できるのであれば、ゴルフ場に行って練習することをオススメします。

では、その決定的な違いとは何でしょうか。皆さんは、ゴルフ場とグラウンドの決定的な違いはなんだかわかりますか?答えはズバリ、傾斜があるかないかです。

以下の二つの写真をご覧ください。

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一枚目は、ご覧の通り、とある人工芝のグラウンドですが、一目で、整地されている平らなグラウンドになっているというのがわかると思います。

そして二枚目は、とあるフットゴルフ場のカップ回りを写した写真ですが、こちらも写真で見てもわかるように、カップ周りは大きく傾いているのがわかりますよね。この二枚を見比べて頂ければ一目瞭然ですが、このカップ回りの傾きこそが、グラウンドにはなくてゴルフ場にはある、いわゆる傾斜です。そして、この傾斜こそが、フットゴルフを面白くも難しくもしている一つの大きな要因なのです。


それでは次の質問です。皆さんは、この傾斜だとどれくらいボールが曲がるかわかりますか?

以前の記事でも述べましたが、ゴルフ場は目の錯覚により、見た目の傾斜と実際の傾斜が違って見えるということが頻繁に起こり得る為、この写真の傾斜も、見た目の傾斜と実際の傾斜が違う可能性は捨てきれません。この他にも、芝の向きや長さ、種類によっても、転がり方は変わってくるでしょう。また、プレーしたことのない芝だった場合には、どう転がるかはそもそも蹴ってみないと予測ができないはずです。だから私は、現時点では、「蹴ってみないとどれくらい曲がるかはわからない」と答えるべきだと思っています。

そもそも、フットゴルフはゴルフ場でプレーしたスコアを競う競技なので、ゴルフ場での練習こそが試合に活かせるプレーの練習になるはずですし、できる限りいろんなシチュエーションでの練習を行い、「やったことのないシチュエーション」をできるだけ排除した状態で試合に臨むことが、試合でベストを出す為に必要な準備だと思うのです。これが、可能であるならば、練習はできる限りゴルフ場でやるべきだとお薦めしている理由です。

最近のサッカー界では、サッカーのプレーモデルなる言葉が浸透していますが、この”ゴルフ場で練習すること”というのは、フットゴルフのプレーモデルを練習するという意味と限りなく同義であり、絶対に必要ですので、ゴルフ場に行って練習ができるのであれば、是非ともコースに出て欲しいと思います。

では、具体的な練習メニューとして、どんな方法が考えられるでしょうか。私のマネジメント理論は、主にゴルフ界で知られている基本的な考え方を元にしていますので、ゴルフの世界では一般的な練習方法の中で、フットゴルフ界でも参考になりそうなものを順次紹介していこうと思います。今回は、石川遼もやっている、4方向からのパッティング練習をご紹介させて頂きます。


~石川遼もやっている、4方向からのパッティング練習~

先ほどの写真に、カップを中心とした十字のラインを引いてみてください。すると、どうなるでしょうか。わかりやすくなるように、写真に矢印を書いてみましたが、カップ回りの十字のラインは、片方が下りであれば、反対側は上りになり、片方がフックであれば、反対側はスライスになるということがわかると思います。これは、カップが一つの大きな傾斜の中に切られている為に起こります。

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基本的に、ゴルフ場にある傾斜は、全体を形成する大きな傾斜と、その傾斜の中にある小さな傾斜(これをアンジュレーションと呼ぶ)とに分けることができるのですが、ラインを読む際は、まず初めに大きな傾斜を確認してから細かい傾斜を読んでいくというのが正しいラインの読み方になります。なぜなら、細かい傾斜よりも大きな傾斜のほうが、圧倒的に影響力が大きい為です。

下の図をご覧ください。上の絵と下の絵は、実は角度を変えただけで、こぶの大きさは同じです。ただ、平らなところにある小さな傾斜と、大きな傾斜の上にある小さな傾斜とでは、影響度合いには大きな差がありそうですよね。平らなところにある小さな傾斜は、小さいながらにボールの転がりに影響を及ぼしますが、大きな傾斜があるときには、小さな傾斜を超えた後に再び大きな傾斜に影響されることになる為、小さな傾斜はほとんど影響を及ぼさないということが直観的にわかると思います。

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なお、ライン上にある傾斜の上をボールが通ることにより、ボールのラインが変わってしまう場合もありますが、その場合はそのズレもきちんと考慮してください。但し、この場合でも、まずは大きな傾斜からラインを読み、その後に小さな傾斜のズレを微調整して、蹴るラインを決めていくのがセオリーになります。

さて、話は戻りますが、実はこの大きな傾斜を読む為には、十字のラインを引いてみるのが非常に効果的なのです。ラインを引く前と後の2枚の写真を見比べてみるとわかると思いますが、ラインを引いたほうが、大きな傾斜が見えやすいと思いませんでしたか?また、片方がフックかスライスかがわかることによって、カップの反対側がどちらに転がるかもすぐわかったのではないでしょうか。実はこの感覚はすごい大事で、実際のコースでは、芝目などによってのぼりなのかくだりなのかがわかりにくいことも多々あるのですが、大きな傾斜がどちらに向いているかを考えることによって、見た目に騙されない正しい認識ができるようになるのです。

また、十字のラインを引くことにより、一つのカップで、”上り、下り、フック、スライスの4つのラインを意識することができる”ようになります。そして、この4方向それぞれから同じ距離でパッティングを繰り返すことによって、この日のこのコースの芝での転がり具合や曲がり具合等が比べ安くなる”パッティング練習”が可能になります。これが、4方向からパッティング練習をする一番のメリットです。

ちなみに石川遼は、この4方向からのパット練習を2mの距離で繰り返し練習し、3周分、全12球のボールを連続でカップインしたらその日のパット練習を終了するというドリルをやっているのですが、フットゴルフの場合は、5mくらいの距離でやるのが効果的だと思います。


~効果的なトレーニングの考え方~

実はこの、”4方向からのパッティング練習”は、トレーニングメニューとしてもとても効率的な練習だということがわかっています。

少し話が難解になるので相当端折って説明しますが、モウリーニョが実践し、サッカー界を席巻しているあの”戦術的ピリオダイゼーション”の産みの親でもあるビトール・フラーデがアドバイザーを務めるポルト大学で、学生たちに戦術的ピリオダイゼーションを指導しているオリベイラ教授が、戦術的ピリオダイゼーションを説明する為にある実験を行いました。

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この実験で、オリベイラ教授は、同じ場所から10回フリースローの練習をさせたAグループと、5か所の違う場所から各2球ずつフリースローの練習をさせたBグループとで、練習したあとに全く同じ場所から同じ回数フリースローをさせたときに、どちらがたくさん決められるかということを繰り返しテストしたのですが、Aグループよりも、Bグループのほうが、明らかにシュートの入る確率が高かったそうです。これはどういうことかと言うと、同じ場所から繰り返し練習するよりも、違う位置からのシュートを複数回練習したほうが、技術向上には繋がりやすいということになります。

この現象には様々な理由が考えられるのですが、わかりやすく言えば、”同じ状況、同じシチュエーションでシュートを打つことは有り得ない”ので、”できる限り状況を変えて打つことにより、きちんとした技術が身に着く”ということです。

例えばですが、同じ場所から繰り返し練習する際には、「さっきは強かったから今度は弱く打とう」などと、ある基準を基に微調整を行いながら練習することになると思います。しかし、この微調整は、試合中には絶対にできないことなので、本来であれば技術練習の拠り所にするのは間違っているわけです。試合中にできるようになるのが練習の本質なのに、試合中にできないことを練習していてはなかなかうまくなりませんよね。だから、場所を変えて、正しい距離感や力加減などという別の尺度や技術を身に付けることが重要だというわけです。

以上の原理を理解してもらえれば、同じ個所から4つのボールを繰り返しパッティングするのではなく、4方向からそれぞれ1球ずつ練習するほうが、パッティングも上達するということが理解できたのではないでしょうか。

パッティングがうまくなりたいという方は、是非今回の”石川遼もやっている4方向からのパッティング練習”を実践してみてください。


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