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キャリアのWill・Can・Mustからマイパーパスを見つけよう!〜マネプロ#34

こんにちは!
DeNAでHRビジネスパートナーをしている坪井(@tsubot0905)です。

マネジメントの進化を探求するnote
『マネプロ』は今回が第34回目です。

このマネプロnoteのシリーズでは、5分で分かりやすく学べるシンプルな構成と、相手とのコミュニケーションで使えるようなシンクロしやすい問いを意識した内容を心がけています。

さて、今回のマネプロの
テーマは「キャリアのツボ」です。

前回のマネプロでキャリア編に突入し、「Will・Can・Must」にも触れましたが、今回はさらに専門家との対話から深掘りします。

告知通り、その道のプロに4つの切り口から聞いてみました!(聞いてみたシリーズの第3弾!)

世の中のプロフェッショナルな方々と対話をしながら、学びと刺激を得ていくこのシリーズ、毎回とても刺激的です。

今回の探求で用意した問い/テーマはこちら!

この4つのテーマについて対話させていただいたその道のプロは『図解 人材マネジメント入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ』の著者、坪谷邦生さんです。

坪谷さんについて紹介すると

株式会社壺中天 代表取締役、株式会社アカツキ 人材マネジメントパートナー、株式会社ウィル・シード 人事顧問、中小企業診断士、Certified ScrumMaster認定スクラムマスター。 20年間、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、人材マネジメント講座などによって、企業の人材マネジメントを支援している。 主な著作『人材マネジメントの壺 ARCHITECTURE』(2018)、『人材マネジメントの壺 DEVELOPMENT』(2018)など。

同じ「坪」から始まる苗字ということで、以前から勝手に親近感を持たせてもらっています(笑)

マネプロで100話連載を目指す私にとって、「マネジメント」「100のツボ」のシリーズで書籍を出されている坪谷さんにはいつも刺激をいただいてる坪先輩です!

では、対話の中身の話へと参りましょう!

目次はこちら!


<WillのMust化という矛盾>

さっそく、Willの話からお聞きしました。

様々な組織の話を聞いている限り、最近は、社員一人ひとりのやりたいことに注目する企業が増えてきていると感じます。

とはいえ、「やりたいことが何か?」の解像度は人によって異なります。リーダーはメンバーのWillの解像度をどう高めていけば良いのでしょうか?

坪谷さんにこの話題を振ったところ、

Willの解像度を高めなければならないという、
WillのMust化は最悪ですよね。

と鋭い指摘をしてくださいました。グサッ。

「やりたいことが見つかっていない」と思っている人に対しても、会社や上司が立派なWillを求めてしまう時があります。

結果、「Willを探さねばならない」とMust化して苦しむことになっている人がいる。坪谷さんは、これを“Willという化け物に襲われている”とユニークな表現していたのが印象的でした。

<Willは誰のためのものか?>

続けて、坪谷さんは答えてくれました。

「Willのないメンバーにはどうすればよいか?」と聞かれたら
「Willを求めようとするのをやめてください」
と答えます。

その姿勢こそがWillを殺してしまう可能性があるからです。

Willは出せと言われて出すものじゃないということですね。「いまの業務を頑張りたい」みたいな、ささやかなWillでも良いんです。

Willは自然に湧き出るもので、みんな必ずもっているんです。ただし、あなたが湧き出てほしいと思う場所から、ちょうど湧いてほしい状態で出てくるわけではない。

日常の中で、なんでもいい。「やってて楽しいことってなんですか?」そんな所から聞いていく。

最近何をしているときが楽しかったのか。
それのどこが彼や彼女を惹きつけたのか。

一人の人間として相手に興味を持つことです。

そういった会話を繰り返す中で、
自然とWillの解像度は上がるものだと言います。

メンバーのWillはあなたのためにあるわけじゃない。

もし「お前のWillをどう業務につなげてやろうか」という態度なのだとしたら、それは相手に失礼です。

一人の人間として敬意を払って相手に接するべし、ってことですね。答えを求めずに、メンバーに寄り添って、一緒にWillを探求する姿勢が大切なのだと思います。

<自分のCanをどう判定するか?>

続いて、Canの話です。

自分の「できること」を
自分で評価するのは難しいと思いませんか?

自信に満ちた人は、なんでもできると言う。自信がない人なら、できることなんてないと言う。さて、何をもって「自分のCan」はコレ!と断言して良いのだろうか?

これに坪谷さんが
鮮やかに答えてくださいました。

実務の遂行レベルを考えるなら、
Canは確かに判定する必要があります。

経理の仕事をするなら、簿記の前提知識がないと、エクセルは使えないと、みたいなもの。

その上で、

我々が今話題にしているのは、キャリアを考える上でのCanですよね。それなら、Canは、“どうやらこんなことが得意な性質が自分にはあるらしい”くらいでいい。

という捉え方の話をしてくれました。
Canのハードルが少し下がった感覚がしますね。

また、自分への向き合い方は、自分だけでなく他者の視点もいれると客観視しやすいとのこと。

その際に、CanだけでなくCan notにも向き合うと、弱みの裏返しが強みとして見えてくると教えてくれました。

自他の目から見て「字が綺麗」「気配りがうまい」「説明がうまい」みたいな粒感でいいので、たくさん出していくことが大事なんだそうです。

そうすると、だんだん自分の「らしさ」が浮かび上がってくる。同じような仕事をしている人でも、Can/Can notの組み合わせは、ぜんぜん異なります。

シャッシャッとたくさん線を重ねて輪郭を浮かび上がらせる、デッサンみたいな感じかもしれませんね。

<Canは根拠よりも自覚が必要>

Canについて、
坪谷さんが興味深いことを教えてくれました。

自分で「私はここが強みなんだ」
って思えたらそれでいい。

根拠はむしろない方がいいくらいです。

Canの判定という話題だったのですが、
そもそも判定しなくていいし、根拠もいらないと言うのです。

どういうことなのでしょうか。

自信に根拠がある場合、例えば、「サッカーの試合でずっと勝っているから僕は強い」と捉えていれば、一度の負け試合で自信をへし折られてしまいます。

反対に、根拠もないのに「俺はサッカーが上手い」と思っている人は、そうそう折れません。

たしかにその通りです。やったことはないけど、やれる気がする。
そんな自信の方がめげずに立ち続ける力を与えてくれそう。

しかし、根拠のない自信を持つってなかなか難しいものです。
だからこそ、周りからCanを教えてもらうことが大事なのでしょうか。

明らかに人より沢山褒められることがあれば、
これが強みなんだと認めざるを得ませんよね。

あと、Canは根拠よりも自覚が大事。
自分が覚えているCanを持つことですよ。

「自覚」というキーワードは刺さりました。

自分がCanと思えているからこそ、
Canの発揮どころを意識して、自分のCanを活かすことができます。

Canは「活かすも殺すも自分次第」
と、自覚した瞬間でした。

<Mustに込められた2つの意味>

続いて、Mustの話題へ。

個人的に「Will / Can / Must」の中で、一番扱いにくいのがMustでした。「せねばならない」って印象がよくないなぁと。

Mustは、いったいどう考えたら良いのでしょう?

坪谷さんは、2つあると言います。

1つ目は、自分で決めていることです。やりたいとかではなく、そうすることになっていると運命を感じるようなこと。それが「家業を継ぐ」とか「起業をする」って人もいますよね。

なるほど。
1つ目は、自分の中でやると決めているMust。

ちなみに、懐かしい英語の参考書を開いてみると、mustの用法の一つに「強い希望」がありました。「そうしないことが許されないほどの強い力が働いている」といったニュアンスです。

2つ目は、他者からの期待です。「こういうことを他者から求められているんじゃないか」と想像していること。

2つ目の他者からの期待は、その想像(仮説)が正しいかを確認することが大事なんだそうです。

「僕にはわかります。部長は僕がリーダーになることを熱烈に期待している」と告げたら「いや、そんなこと期待してないよ」と言われるケースも当然あるわけで笑。

坪谷さんいわく、

「せねばならない」はだいたい思い込みです。
検証してみたほうが良いでしょう。

坪谷さんが働いていたアカツキ社では、想像が空想だったりするのを「エアーお上」と呼んでいたそうです。ネーミングが分かりやすくて面白い!

勝手な思い込みではなく、
ちゃんとした期待を知ることで
その期待に応えたくなるMust。

素敵なMustの捉え方でした。


<Mustを考えられる幸福を味わう>

話をしながら改めて
どうしてMustはネガティブに映るんでしょうね?
と坪谷に質問してみました。

それに対して、逆質問が。

鳥のように飛べないことに不満でヤキモキしますか?

現代を生きる私たちは、変われること・成長できることを最上の幸せだと思っている節があります。だから、「しなくてはならない」と聞くとそれを侵害されたように思うのかもしれません。

しかし、人は、変えられないことについて不満になったりはしません。職業が自由に選べない時代の人を、かわいそうにと思うかもしれませんが、はじめから「変えられない」と信じきっていれば、案外幸せに生きられるもの。

むしろ私たちは、“こうなれる可能性もあったのになれなかった”ということに後悔するんじゃないでしょうか。

話は幸福学の領域に広がります。

幸せは、「充足の幸福」と「上昇の幸福」の2種類あるんです。

前者は、ただ足るを知る。今の状況に感謝することで生まれ、後者は、もっと上へ、成長したいというところから来ます。

と坪谷さんは言います。

そして、
2つの幸福がちょうどよく織り混ざって、
人は満たされるし、社会はもっと発展すると。

現代を生きる私たちは、ついつい上昇の幸福に偏りすぎるのかもしれませんね。選択肢から選べる豊かな社会になっているがゆえに。

Mustは選択肢の中から決められる。
Mustと思える期待を人から感じられる。
それ自体が幸せなことなのかもしれません。


<あなたを表すキーワードは?>

残るは
「Will・Can・Must」のど真ん中の話です。

ここまでの話でたくさん浮かび上がってきた、自分のWill・Can・Must。これらをベン図に書き込んでみて、「真ん中にあるものはなんだ?」と問いかけてみよう、と坪谷さんは言います。

Will・Can・Mustの統合ですが、完璧な統合というのはありません。難しく考えすぎず、直感的に自分の中でしっくり来るキーワードを置いてみたらいいんです。

「そんな言葉でいいの?」と自分で思うかもしれませんが、少々納得できないものであったとしても、何も置かないよりはマシです。

5分でエイヤッと決めてみる、でいいんです。
ないものはブラッシュアップできませんから。

本当に統合できたか、というより、決めた一言が自分のキャリアのコアを考えるとっかかりになればいいんです。

メンバーと共有するときも、その一言によって深い対話をするきっかけがつかめたりします。

ちなみに、私の場合は
「人を通じて事を成す」
というキーワードが浮かびました。

自分ならではの「マイパーパス」
普段から意識している言葉でした。

あなたには、どんなキーワード
マイパーパスが浮かびあがりましたか?

<プロフェッショナルの道を歩む>

最後に、Will・Can・Mustからキーワードを定めた先、そこからの進化に話題が広がって学びがあったので、その話で締めようと思います。

坪谷さんが「Mustがなければプロとは呼ばない」とおっしゃったので、詳しく聞いてみました。

「プロフェショナル」という言葉の語源は、ラテン語のprofessus。「神に対して宣誓する」という意味です。プロとは、何か大きな存在や流れから託された使命としてそれをすること。Mustの領域の話ですよね。

たしかに、根拠なく不屈の意志を発揮して何かをやり通す、みたいなとき、もちろんそこにはWillもあるんでしょうけど、何かもっと使命みたいなものを感じますよね。

プロはMustを置いてからが始まりです。宣誓してから、Willが社会性の高い倫理的なもの(「社会から差別をなくしたい」とか)になったり、宣誓していてるからにはもっとCanを磨いて高い専門性をつけよう、となる。

この話を聞いて、序盤からの話が
スルスルっと綺麗につながった感じがしました。

ささやかなWill、自覚したCanをたくさん積み重ねて育む。それが、どこかの時点でMustという使命感を抱いたとき、Willは倫理観を伴ったものに、Canは高い専門性を帯びたものへと進化する。

つまり、
あなたが真のMustを見つけたとき
プロフェッショナルへの扉は開かれます。

私にとって、1番の鬼門としていたMustが
実はプロフェッショナルになる登竜門なんだな
と気づけた瞬間でした。

坪谷さんのように、この境地にまで至って初めて、人は本物のプロフェッショナルとして歩み始められるのかもしれませんね。

<今回のQuestions>

以上が34回目のマネプロでお届けしたかったコンテンツでした!
いかがでしたでしょうか?

ということでマネプロ恒例、最後の問いです。

今回のテーマを通じて、リーダーやマネージャーの方々に問いかけたい4つの質問を選びました。忙しい皆さんの思考の整理と、新たな行動の後押しになれますように!


<次回にむけて>

今回は、マネジメントのプロフェッショナルである坪谷さんと「Will・Can・ Must」の対話を通じてマイパーパスやプロ論の探求ができました。

さて、次回のテーマは
「キャリアポジショニング」です。

次回は2週間後の水曜日。お楽しみに!
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最後まで読んでもらえて嬉しいです。
ありがとうございました!

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@tsubot0905

2022年から「変化をリードするコーチ」として社外のリーダーへのコーチ業も取り組んでいます。HR経験者限定のコーチコミュニティも運営中です。ご興味ある方がいたら連絡くださいね!

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