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顧客視点からマーケティングを考える、SNS時代に求められる新たな4C〜マネプロ#13

こんにちは! DeNAでHRビジネスパートナーをしている坪井(@tsubot0905)です。

マネジメントの進化を探求するnote
『マネプロ』は今回が第13回目です。

このマネプロnoteのシリーズでは、5分で分かりやすく学べるシンプルな構成と、相手とのコミュニケーションで使えるようなシンクロしやすい問いを意識した内容を心がけています。

さて、マネプロ#11より3C分析のCustomer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)を順にテーマとしてお送りしております。

今回のテーマは前回に引き続き、
「顧客に向き合う」の後編です。

前回のマネプロでは顧客の欲求や行動を理解する視点と方法を書きました。

では、顧客を理解した上で企業や事業として何をしていけば良いのか?

私はマーケティング活動がその1つだと考えます。

今回の「顧客と向き合う」の後編は
マーケティングの変化と進化をテーマに探求します。

目次はこちら!

<マーケティングの意味>

マーケティングの神様と呼ばれるフィリップ・コトラーは

マーケティングとは、
本物の顧客価値を生み出すための活動である。

マーケティングの役割とは、
たえず変化する人々のニーズを
収益機会に転化することである。

と述べています。

企業は顧客が「真に」求める、顧客にとっての本物の価値を提供すること。その意味を体現するマーケティングが大事なのだと思います。

また、マネジメントの大御所であるドラッカーは

マーケティングの理想は、
セリング(販売)を不要にすることである

と説明していました。

プロモーションのような狭義のマーケティングではなく、売れる仕組みをつくることが広義のマーケティング、という考え方に近いですね。

「顧客が何を求めているか」「顧客は何を買いたいか」を突き詰めれば自然に売れると。(なかなかハードルが高い・・・)

これもまた、顧客が「真に」求める、顧客にとっての本物の価値を提供できた時の理想の姿なのかもしれません。

前回、顧客視点の話をしましたが、企業が顧客の視点を持つことはマーケティングの視点を持つことと捉えても良いのではないでしょうか。

<企業視点から顧客視点への転換点>

顧客が期待する価値を得られるように、顧客志向な経営が必要だと言われ始めたのは、前回のマネプロに登場したセオドア・レピットの「マーケティング近視眼」が発表された1960年のこと。

1967年にはフィリップ・コトラーによってSTP理論の概念が生まれ、1970年代からマーケティング1.0が2.0へと変化を遂げた時期と言われています。

この時期がマーケティングの転換点。
企業視点から顧客視点への変化です。

代表例のSTP理論を簡単にみてみましょう!

STP理論の「STP」とは、それぞれ

Segmentation:セグメンテーション
Targeting:ターゲティング
Positioning:ポジショニング

の頭文字をとっています。

まず、セグメンテーション

市場を年齢、性別、地域、心理、行動などさまざまな切り口で分類します。この時、同じようなニーズを持っている層に切り分けることが大切です。

たとえば、化粧品の市場を考えると、性別や年代ごとにニーズが異なるので、市場を細分化して考える必要があります。

続いて、ターゲティング

細分化した市場の中からターゲットを決めます。ターゲティングでは市場というよりも顧客を絞りこむイメージです。

分かりやすくいえば、30代になって肌トラブルや臭いが気になり出している男性のための化粧品をつくろう、といった具合です。マネプロ#12のバリュープロポジションキャンパスで記載した顧客のプロフィールの部分ですね。

最後に、ポジショニング

セグメント内の競合商品やサービスを見て自社の立ち位置を決定するステップです。ターゲットにどのような利点を提供し、どう役に立ちたいのかを検討します。ここが商品やサービスのバリュープロポジションのお話です。

そして、顧客だけでなく競合に対して何のアドバンテージを持つのかも明確にします。(競合の話は次回からのマネプロのテーマです。お楽しみに!)

現在では理論と呼ぶほどではない、当たり前にできている思考プロセスかもしれません。ですが、当時は顧客視点へ変化する、大きな転換点となった考え方でした。

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<マーケティングの進化の歴史>

STPでポジショニングが定まったら、次にやるのはマーケティングの4つの要素を組み合わせターゲットに働きかけることです。

その4要素の頭文字をとったのが4Pや4C。

この2つ、視点が異なっていて
マーケティングの進化の歴史を感じます。

・4Pはプロダクトアウト
    企業発想 / 売る側視点
・4Cはマーケットイン
    顧客発想 / 買う側視点

それぞれを詳しく見てみましょう。

4Pは、アメリカのマーケティング学者ジェローム・マッカーシーがマーケティング戦略のフレームワークとして1960年に提唱したもの。

Product(製品)
Price(価格)
Promotion(宣伝/販促/広報 etc)
Place(流通チャネル)

の頭文字をとって4Pです。

どれも企業側で決めるものが中心の視点になっているのをお分りいただけるかと思います。

大量生産・大量消費の社会という時代背景のなかで提唱された概念であったこともあり、企業発想/売る側視点が強い「プロダクトアウト」のプッシュ型マーケティングと言えます。

一方の4C

こちらは1993年に「今日のように市場が成熟している状況下では、4Pよりもまず、買い手側の視点(マーケットイン)に立って発想することが大切」ということで、アメリカの経済学者ロバート・ラウターボーンが提唱しました。

Customer Value  顧客にとっての価値
Customer Cost   顧客が負担するコスト
Communication  顧客へのコミュニケーション
Convenience      顧客の利便性

の頭文字をとって4Cと呼ばれています。
こちらは顧客中心の視点になっていますよね。

今までの話の流れからすると、企業視点の4Pではなく顧客視点の4Cであるべし!と伝えているように感じるかもしれませんが違います。

個人の価値観が多様化していて、個人の豊かさの水準が上がっている現代。顧客の欲求や渇きが明確にない世の中だからこそ、企業視点でコレは顧客に価値があるんだ!という意志が込められたプッシュ型マーケティングも必要です。

<2020年代の新4Cを考えてみる>

4Pの提唱から約30年が経過して4Cが唱えられましたが、そこからさらに30年が経過しようとしています。

おっ、これはちょうどいい!
新4Cを考えてみよう、という気分です。笑

SNSが当たり前の時代となった今にふさわしい
新4Cを私なりに考えてみたので紹介したいと思います。

Customer Experience  顧客の体験価値
Customer Context  顧客との感情的な文脈
Community  顧客との双方向のつながり
Comfort  顧客にとっての快適性

4Cから進化した新4Cを考える上で意識したのは、企業も顧客も積極的で自由に発信できるようになったことです。インターネット/SNSによって情報が溢れる社会の中で企業も顧客もストーリー性を意識する時代になりました。

品質の担保された商品やサービスを選ぶのは前提として、さらに商品やサービスに込められたストーリーに共感できるか、どう自分らしい体験や発信につながるのか、までマーケティングで考える領域になったのではないでしょうか。

4つの項目についての捉え方を説明すると

カスタマーエクスペリエンス

顧客価値の中でも体験価値が重要な割合をしめるようになっていると感じます。インスタ映えするから行列に並ぶとしても買ってしまう、多少高いと思っても買ってしまう。ギフトは物ではなく体験型のサービスを送る。SNS時代ならではの様々な行動が生まれていますよね。記憶や記録に残る自分だけの体験、自分らしいプライスレスなものに価値を感じやすくなっています。

カスタマーコンテキスト

お金・時間・労力といったコストだけではなく、商品やサービスの背景や物語に惹きつけられたかどうか、感情的な文脈に共感できたかどうかが顧客の判断軸に加わりました。クラウドファンディングでの支援を通じて物やサービスを生み出されるのは分かりやすい例です。(私も先日、新しい学校づくりのプロジェクトに共感して応援しました。)

コミュニティ

今まで顧客へのコミュニケーションと指すものは、購入後のサポートのような継続的な付加価値を意識したアフターサービスが中心でした。ですが、今はSNSを使ったりイベントを開催して、顧客との関係性を深めるコミュニケーションによってファンづくりを意識する時代になっていると思います。

コンフォート

物理的な利便性はコンビニやAmazonといった存在によって満たされているのではないでしょうか。現代は心理的な快適性をより求めている時代です。SNSによって「イイね」「スキ」といった反応をもらいやすくなり、承認欲求を満たせる場がリアルの世界だけでなくネットの世界でも広がりました。また、情報も人のつながりも増えた結果、身近な信頼できる人からの情報やネットワークを重視するサービスも増えています。これらの変化から利便性ではなく快適性のある関わりを求めている時代になったことを感じます。

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この新4Cを通して伝えたかったのは、これからは売る側のコンテクストと買う側のエクスペリエンスがつながることを意識したマーケティング活動が必要になることです。

売る側の想いのこもった物語、買う側の気持ちが豊かになる体験。企業と顧客がつながり、共創発想になれるストーリーアウトが実現できれば、顧客に選ばれて支持される、本物の顧客価値が生まれているのではないでしょうか。

<今回のQuestions>

以上が13回目のマネプロでお届けしたかったコンテンツでした!
いかがでしたでしょうか?

ということでマネプロ恒例、最後の問いです。

今回のテーマを通じて、リーダーやマネージャーの方々に問いかけたい4つの質問を選びました。忙しい皆さんの思考の整理と、新たな行動の後押しになれますように!


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※「自分はこう考える」「自分ならこれを問いかける」という考えはぜひTwitterで「#マネプロ」を付けてつぶやいていただけたら嬉しいです!

<次回にむけて>

今回のマネプロでは前回に引き続き、「顧客に向き合う」をテーマにお伝えしてきました。

次回は3C分析の2つ目のC。
Competitor(競合)のテーマへ進みます。

シルク・ド・ソレイユの事例を取り上げながら
競合に向き合うための考え方を紹介します。


それでは、
2週間後の水曜日にまたお会いしましょう。


良かったらぜひnoteのフォローやシェアをお願いします。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

読者のみなさんと共にマネジメントの進化を探求できれば何よりです。Twitterのフォロリツ大歓迎です!DMでの感想も是非!(@tsubot0905)

noteで取り上げた内容について、みなさんの持論や新たな問いかけの視点をもらうことでマネジメントの探求がもっと楽しくなるはず。ですので、みなさんからのリアクションを心待ちにしております。よろしくお願いします!

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