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【金融政策💴】異次元金融緩和と非伝統的金融政策の出口戦略とは?

今回の日本経済新聞ニュース📢

現在、私が大学にて専攻している「マクロ経済学&計量経済学」において金融政策は非常に重要な意義を持ちます
管理通貨制度である以上、金融政策は絶対に実施されなければならないからです💴

しかし、この金融政策もとても複雑な経済政策であることも事実です
この政策の目的は「物価の安定化ならびに経済の活性化」にありますからこれらの政策目標が達成されたか、どうかが評価対象になるのです

利上げとETF放出、両立難しく 日銀、甘くない緩和出口 <編集委員 清水功哉>

 何と1兆1000億円――。日銀が先週公表した2022年度決算で目を引いたのは、保有する上場投資信託(ETF)からの分配金等(以下、分配金と表記)の大きさだ。21年度から約2600億円増えて、保有国債からの利息収入(約1兆3000億円)にさらに近づいてきた。

 そもそも中央銀行が事実上「株式」を買っている例は主要中銀で日銀だけだが、その分配金も膨張しているわけだ。「必ずしも正常な中銀のバランスシートの姿ではない」という植田和男総裁の指摘の通りだろう。

 そこで出てくるのがETF購入の出口政策。既にフロー面では政策の幕引きが進んでいるようにも見える。日銀は21年春、ETF買い入れは株価が大きく下落した時に限る方針に改めた。それまで年間4兆~7兆円程度買っていたが23年1~5月は約1400億円だ。

 問題はストック面。23年3月末時点の日銀保有ETFは簿価で約37兆円、時価にすると約53兆円であり、東証プライム市場の時価総額の7%程度に相当する。

 出口政策として、売却制限を付けた上で思い切った割引価格で国民に譲渡し、人々の資産形成に貢献すべきだという議論もある。岸田文雄政権が個人の資産所得増加を重視する中、「日銀が持つ含み益を有効活用してほしい」(ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏)との声も聞かれる。

 だが、有力日銀OBは保有ETFをすぐに手放すのは賢明でないかもしれないとの認識を示す。背景にあるのは、日銀が今後金利を上げる政策正常化を進める際、ETF分配金がないと財務面への負のインパクトが大きくなりかねないという判断だ。どういうことか。

 日銀が短期の政策金利引き上げを進める場合、金融機関が持つ日銀当座預金の大部分にかかる金利(付利)を上げる手法をとると見られる。問題は異次元金融緩和によって当座預金残高が膨れ上がっていること。23年3月時点で付利の対象部分は520兆円程度あったもようだ。

 仮に植田日銀がマイナス金利の幕引きからゼロ金利解除に進み、短期政策金利を0.25%ずつ上げるとする。あくまで粗い計算だが、今の付利部分の規模が続くことを前提にすると、日銀は0.25%の利上げごとに年約1.3兆円の金融機関への追加的支払いが必要になる(現行のマイナス金利政策下でもゼロ%やプラスの付利があり、差し引き若干のお金を払っていることになりうるがその額はゼロと見なす)。

 22年度の日銀決算で最終利益(当期剰余金)は現行日銀法の施行(1998年)以降で最高になったというが、それでも約2兆円。「過去最高益」でも、短期政策金利を0.5%に上げたときの追加的支出で消え、赤字転落しかねないのだ。

 日銀は引当金取り崩しといった手段で対処しそうだが、引当金などからなる「自己資本」は22年度末で12兆円程度しかない。仮に物価上昇圧力が強まり、0.5%を一定程度上回る水準へ利上げを進めていくなら、何年かで債務超過になる恐れも出てくる。重要なのは、仮にETF分配金が無ければ財務状況の悪化がより早まりかねない点だ。

 前出の有力日銀OBが当面ETF処分を急がない方が賢明と見るゆえんだ。時価で売るならともかく、含み益を個人投資家に還元するような割引価格での売却では日銀は利益も確保しにくい。

 以上はあくまで静態的な単純試算である。例えば、金利上昇局面では国債利息の収入も、新たに買った分からではあるが徐々に増えるだろう。中銀が短期的に赤字や債務超過になったところで、政策がしっかりしていれば大きな問題ではないという声も根強くある。ただし、市場は円売りなどの材料にするかもしれない。

 こう見てくると利上げと保有ETFの割引価格での処分という2つの出口政策の両立は簡単ではない。日銀の巨額ETF保有は株価形成や企業統治(ガバナンス)に問題を生んでいる懸念があるが、異次元緩和の解体作業は一気に進められるほど甘くはなさそうだ。

2023/06/05 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1608文字

ETF買い入れの功罪と出口戦略について

この記事に対するコメントは、以下の通りです📝
参考文献は『黒田日銀 超緩和の経済分析 日本経済新聞社[編]』をベースにまとめていきたいと思います!

この書籍は非常に丁寧かつ詳しく内容が整理されているので、知識習得にはもってこいの本かもしれません✨

①日銀の株式買入れの経緯について

日本銀行が掲げる2%の物価上昇の目標は未達ですが国内景気指標は軒並み改善をみせていたように思います
※あくまで新型コロナウイルス感染前の経済状勢を分析します

非伝統的な金融政策とは「量的緩和:QE」を中心に、マイナス金利政策政策やイールドカーブコントロール、そしてETFの大量買入れなどが挙げられます

詳しくは先日公開したこちらのシリーズを
ご一読くださいね📚

海外の中央銀行(FRB,ECB)などと比較しても日本は非伝統的な金融政策の終焉としての「出口戦略」が遅れていることも事実です

年間の国債増加額についても、80兆円から60兆円に「忍び足」で縮小させるなど、テーパリング(買入れ減額)の動きも2016年以降に見受けられたのです

しかし、その一方で、今回の議論の中心である「資産買い入れ」の動きがあるのです

これは、国債買い入れ減額の穴を補完するかのように、ETFを通じて日本銀行の株式買い入れが膨張しているのです💦
ちなみにETFとは、上場投資信託(Exchange Traded Funds)の意味ですが・・・

これは、異次元金融緩和政策の継続というインプリケーションがあると思われますね
※これは2016~2018年あたりの情報整理かと思います🙏🏻

日銀の「株式買い取り行為」は、日本銀行法43条において、具体的に「定められた業務以外の業務を行ってはならない」という規定があります
すなわち、「株式買い取り」は原則認められていないのです💦

しかしながら、日本経済が停滞の危機に晒されるという「非常事態」のもとで、「株式買い付け」はやむなき緊急事態措置のような対応であると言えるでしょう😂

ここで、なぜこのような施策が実行されたのか
日銀のETF買い入れの狙いならびに買い入れによって期待される効果について理解する必要があると思います

結論からお伝えすると【ボラティリティの抑制】が主な目的であると考えられています
金融用語におけるボラティリティとは、資産の収益率の標準偏差として考えられることが多く、つまりその資産のリスクを表していると捉えてください

また経済理論で解説したい議題ですが、資産ポートフォリオ(株式市場ポートフォリオ)におけるリスクプレミアムの低下により、経済に刺激を与えるということが波及効果として期待されているのです

株式リスクプレミアムや市場&最適ポートフォリオ選択などについては、後日経済理論で解説できるように努めます🔥

日銀の巨額買い入れの中長期的な問題について

以下では、今回のメインテーマである「懸念点」について言及していきます

①株価形成に歪みをも可能性

日銀によるETFの巨額買い入れを通じた株式市場への介入は、投資家行動や市場構造の変化をもたらすことで、中長期的に価格形成面での歪みに繋がるという可能性が懸念されているとのことです

すなわち、長期間持続的に巨額な介入が繰り返されることによって、市場参加者の期待形成が修正され、投資の判断や行動にも慢性的な歪みを与えるとうことになります

②コーポレートガバナンスなどに与える影響

株価形成に与える弊害はとても懸念されるところですが、中長期的な視点からするとより深刻なのは株価形成以外の点にあるというのです

特に、是正が進んでいたはずの「安定株主構造」という保守主義の復活
それによる企業の規律付け機能の低下が注目されると言われています

GRITや代替的なエントレンチメントの再構築といった点は私もまだ知識不足であるので、詳細の言及は控えたいと思います🙏
もしご興味のある方は、ご自身で研究していただけると幸いです🥰

③忘れてはならない根本的な問題??

中長期的な視点から、日銀買い入れが影響を与える弊害として、株価形成ならびにコーポレートガバナンスについて言及しましたが
もっと忘れてはならない根本的な問題があると考えられています

それは、ETF市場を
本来育成すべき立場にある当局(日本銀行)が
株価対策目的で、この育成を妨害し
ETF市場の機能を形骸化させてしまっている
という点になります

このように政策当局が介入することによって、市場に非効率が発生してしまうことを「市場の失敗」ならびに「政府の失敗」と呼ぶことが多いです
ETF市場が本来果たすべき機能が形骸化してしまうことで、本来、市場間裁定による価格発見の場である機能が弱くなります🥺


また、小口投資家に分散化された運用対象を直接提供する商品として、その存在意義があったと考えられていますが、この存在意義も希薄になってしまっているのです💦

出口局面における最大の懸念

やはり、最大の心配は、出口問題であります
これは、株式市場の状態が悪くなることです

買い入れに株価上昇・維持効果があるとしたら、売却には株価下落効果も伴うはずです
すなわち、売却時のほうが
買い入れ時よりもマーケットに対する影響は
大きいということが過去の研究や検証でも示されているのです📝

要するに、今後、出口局面に転換した際に
ディーラーたちが落胆・動揺して、株価暴落や低迷を招きかねないということが懸念されているのです・・・

一体全体、これからの金融政策ならびに日本経済はどうなってしまうのでしょうか?
現在、日本の株価はバブル期以来の高値を記録しているそうですね(2023/06/05の記録より)

このような株価高騰の背景に、非伝統的な金融政策と異次元金融緩和の弊害によってこのようなリスクが潜在していることを私たちは心得なくてはならないのかもしれません📝

最後までご覧いただきありがとうございます💗

※あくまで学部レベルの浅はかな解説で申し訳ございません
これはあくまで私個人の見解であります

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