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JW421 怪しい煙に御用心

【東国鎮定編】エピソード12 怪しい煙に御用心


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

ここは、日高見国(ひたかみ・のくに:現在の茨城県)。

地図(日高見国→常陸国→茨城県)

崇神天皇の伯父、大彦(おおひこ)と多建借間(おお・の・たけかしま)(以下、カシマ)は、賊の鎮定(ちんてい)に赴いていた。

賊の名は、夜尺斯(やさかし)(以下、さかし)と夜筑斯(やつくし)(以下、ヤック)。

そして、二人が率いるヤマトの兵は、葦浦(あしうら:現在の霞ヶ浦)を渡り、ある島に到着したのであった。

地図(葦浦→霞ヶ浦)

カシマ「では、この島に陣を敷(し)きましょうぞ。」

大彦「そうするんだな。ちなみに、この島は、安婆(あば)の島なんだな。」

カシマ「二千年後の地名で言うと、茨城県稲敷市(いなしきし)の浮島(うきしま)にござりまするな? 浮島は、それがしたちの時代は、完全に島だったのですぞ。」

大彦「二千年後は、埋め立てられ、陸とつながっているんだな。」

地図(安婆の島→浮島)
地図(昔の霞ヶ浦)

するとそこに、ある兵士が駆け込んで来た。

ある兵士「皇子(みこ)! 『カシマ』様!」

カシマ「如何(いかが)致した?」

ある兵士「ひ・・・東の方角より、煙が・・・。皆、賊軍ではないかと疑っておりまする。」

カシマ「なるほど・・・。では、誓約(うけい)をおこなおうぞ。」

こうして「カシマ」は誓約をおこなった。

カシマ「もし天神の煙ならば、立ち来たって、我(われ)らの上を覆(おお)え、もし荒ぶる賊の煙ならば、遠ざかって海へ靡(なび)け・・・。」

ある兵士「あっ! 煙が、海に向かって流れ始めましたぞ!」

カシマ「賊軍ということか・・・。よし! 対岸に渡るぞ!」

大彦「ちなみに、浮島には、九つの社(やしろ)が有って、人々は言動を慎(つつし)み、禁忌(きんき)に触れないように暮らしていたそうなんだな。」

カシマ「こ・・・ここで、解説にござりまするか?」

大彦「ちなみに、九つの社が、何処(どこ)なのか、二千年後は、よく分からないんだな。でも『常陸国風土記(ひたち・のくに・ふどき)』に、そう書かれているんだな。」

こうして、一行は対岸に渡ったのであったが・・・。

カシマ「なんじゃ? あれは? 砦(とりで)ではないか! それに、穴を掘っておるぞ。」

大彦「彼らは、国栖(くず)と呼ばれる、穴の中で暮らす人たちなんだな。」

するとそこに、日高見国の賊、「さかし」と「ヤック」が現れた。

さかし「わしらが賊長じゃ! 夜麻登人(やまと・びと)め! 勝手なことはさせぬぞ!」

ヤック「ヤマトの諸君・・・。ここが、君たちの死場所(しにばしょ)なのだよ。」

さかし「そういうことじゃ! 野郎共! やっちまいな!」

賊の兵たち「おお!」×多数

カシマ「こちらも受けて立とうぞ! 皆の者! 攻めかかれぇ!」

ヤマトの兵たち「おお!」×多数

ついに激突した両軍。

戦いの勝敗や如何に? 

次回につづく

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