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JW570 甲子が無い

【伊勢遷宮編】エピソード29 甲子が無い


第十一代天皇、垂仁すいにん天皇てんのう御世みよ

紀元前4年、皇紀こうき657年(垂仁天皇26)。

天照大神あまてらすおおみかみ御杖代みつえしろ倭姫やまとひめ(以下、ワッコ)一行と、忌部和謌富奴いんべ・の・わかとみぬたちは、伊勢いせ神宮じんぐうを建造した。

人物一覧表(倭姫の一行)
人物一覧表(五人の大夫)

物部八十友諸もののべの・やそとものおと呼ばれる職人たちの作業よって、ついに完成したのである。

そして、この年の10月の甲子きのえねの日、度会わたらい五十鈴川いすずがわ川上かわかみ遷座せんざされたのであった。 

地図(伊勢神宮:内宮)

おしん「これが、五十鈴宮いすずのみやだべ。」 

市主いちぬし「二千年後の伊勢いせ神宮じんぐうにござりまする。」

伊勢神宮:内宮

ねな「ちょっとちなさいよ!」 

ワッコ「ん? 如何いかがいたしたのじゃ?」 

ねな「甲子きのえねの日? 何を言ってるの? 頭が、おかしくなったの?」 

カット「どうしたのじゃ? 甲子きのえねの日が、おかしいともうすのか?」 

ねな「そうよ。」 

ワッコ「どこがおかしいのじゃ?」 

ねな「垂仁天皇26年は、西暦に直すと、紀元前4年になるんだけど、今年の10月を見たら、甲子きのえねが無いのよ。」 

ワクワク「甲子きのえねが無い?! どういうこと?!」 

ねな「やつかれに分かるわけないでしょ。」 

オーカ「もしや、本当は、違う年に建てられたのではあらしゃいませんか?」 

乙若おとわか「その可能性もいなめませぬが、もしかしたら、つきが違うのかもしれませぬな。」 

ちね「つきが違う?」 

乙若おとわか「もしかしたら、11月だったのでは? であれば、甲子きのえねの日が有りまするゆえ・・・。」 

カーケ「11月であった場合、甲子きのえねの日は、何時いつになるのかね?」 

乙若おとわか「11月18日が、甲子きのえねの日となりまする。」 

インカ「10月と11月を書き間違まちがえたということか?」 

乙若おとわか「書物の数字は、かん数字すうじで書かれておりまする。十月と十一月では、ぼうが一本、有るか無いかの違い・・・。」 

武日たけひ「一本、そこねたっちゅうコツか?」 

乙若おとわか「あくまで、可能性の話にござりまするが・・・。」 

ワッコ「何時いつであろうと、さわりない。この地に『アマ』様の宮が建てられたことが、重要なのじゃ。」 

カット「ロマンということですな?」 

ワッコ「そういうことじゃ。」 

アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」 

ワクワク「よぉぉし。これを記念して、僕は竹田国たけだ・のくにを神宮におさめちゃうよ!」 

くにお「そもそも、前回、竹田国たけだ・のくに神宮領じんぐうりょうとなり、改めて、神国造みわ・のくにのみやつことして任命されておるではないか。」 

ワクワク「えっ? 神国みわ・のくにって、竹田国たけだ・のくにだったの?」 

くにお「分からぬまま、拝命はいめいしておったのか?」 

ワクワク「僕は、領地が増えたと思ってたんだけど・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

するとそこに、垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊いくめいりひこいさち・のみこと(以下、イク)がやって来た。

大后おおきさき日葉酢媛ひばすひめ(以下、ひばり)と、その間に産まれた皇子みこたちも同伴どうはんしている。 

系図(イクとひばりと子供たち)

イク「ワッコ! ついに完成したんだね!」 

ワッコ「お・・・大王おおきみ・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

ひばり「ワッコ・・・。宿願しゅくがんたされ、本当に、おめでとう。」 

ワッコ「ははう・・・大后おおきさき・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

カーケ「これはどういうことかね? 大王おおきみ行幸みゆきしたなど、書かれてないんだぜ。」 

イク「伯父上おじうえ? 娘の姿すがたを見たくない親が、に存在すると思う?」 

ニッシー「ワッコ! よくやった!」 

シロ「なれが『ワッコ』か?」 

ダッコ「はじめまして。ワッコちゃん。」 

ワッコ「兄上様、姉上様・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

男の子「姉上! おめでとうござりまする。そして、お初にお目にかかりまする。」 

ワッコ「えっ? 誰じゃ?」 

イク「実は『ワッコ』が産まれたあと、もう一人、男の子が生まれているんだよ。」 

ひばり「稚城瓊入彦わかきにいりひここと『カキン』よ。」 

系図(カキン)

ワッコ「そ・・・そうだったのですか。私に、弟が・・・。」 

カキン「姉上、お会いしとうござりました。」 

こうして、一家がせいぞろいしたのであった。

つづく

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