JW222 伊香津臣の神社
【開化天皇編】エピソード7 伊香津臣の神社
第九代天皇、開化天皇(かいかてんのう)の御世。
前回は、中臣梨迹臣(なかとみ・の・なしとみ)(以下、トミー)を祀(まつ)った神社を紹介させてもらった。
その解説の中で、トミーの父、中臣伊香津臣(なかとみ・の・いかつおみ)(以下、イカ)が、天女と結婚したという伝承が語られた。
驚愕する、開化天皇こと、稚日本根子彦大日日尊(わかやまとねこひこおおひひ・のみこと)(以下、ピッピ)。
そして、大臣(おおおみ)の物部鬱色雄(もののべ・の・うつしこお)(以下、コー)。
そんな彼らに、中臣神聞勝(なかとみ・の・かみききかつ)(以下、ミッキー)は、更なる告白をするのであった。
ミッキー「我(われ)のおじいちゃんを祀った神社も有るんだよ。」
ピッピ「トミーだけでなく、イカを祀った神社も有ると申すか?」
ミッキー「そうなんだよ! ハハッ!」
コー「ほ・・・ほんで、何て言う神社なんや?」
ミッキー「伊香具神社(いかぐじんじゃ)だよ! ハハッ!」
ピッピ「し・・・して、どこに鎮座(ちんざ)しておるのじゃ?」
ミッキー「二千年後の地名で言うと、滋賀県長浜市(ながはまし)の木之本町大音(きのもとちょう・おおと)になるよ!」
ピッピ「前回紹介された、余呉湖(よごのうみ)の南方に鎮座しておるのじゃな・・・。」
ミッキー「その通り! 賤ケ岳(しずがたけ)の南に鎮座してるんだよ!」
コー「賤ケ岳と言ったら、わしらの時代は、伊香山(いかごやま)と呼んでたような・・・。」
ミッキー「その通り! きっと、神社の名前が由来になったんだと思うよ!」
ピッピ「伊香具神社から伊香山になったというわけか・・・。されど、読み方が、少し違うのではないか?」
ミッキー「その辺は、時の流れで、訛(なま)っちゃったんじゃないかなぁ。」
コー「せやけど、なんで『イカ』が祀られてんねん?」
ミッキー「沼地だったところを開拓したことが由来みたいだね。ちなみに、神社の後ろにある山は『かぐ山』と呼ばれてるよ!」
コー「賤ケ岳が『いかご山』・・・。ほんで、神社の裏山は『かぐ山』・・・。どうなってんねん!?」
ミッキー「こっちも訛っちゃったのかな? まあ、そういうわけで『かぐ』という言葉から、連想される神様も祀られてるよ!」
ピッピ「かぐ・・・。かぐ? カグツチ?」
ミッキー「正解! 火の神様、軻遇突智神(かぐつちのかみ)だよ! そういうことで、摂社(せっしゃ)の意太神社(おふとじんじゃ)が鎮座してるんだ!」
コー「言葉遊びやないかいっ!」
ミッキー「ま・・・まあ、そういうわけで、伊香具神社は、火伏せの神、防火の神として崇(あが)められているんだよ!」
ピッピ「そうか・・・。して、イカは、この地で、天女と共に暮らしておったのか?」
ミッキー「と・・・当初は・・・。」
コー「ん? なんや? どっかに引っ越したんかいな?」
ミッキー「わ・・・我(われ)のおばあちゃんである、天女なんだけど・・・。」
ピッピ「勿体(もったい)ぶらずに申せっ!」
ミッキー「ある日、羽衣(はごろも)を見つけちゃって・・・。」
コー「えっ!? イカが盗んだ羽衣を見つけたんかいなっ!?」
ミッキー「そ・・・それで、怒って帰っちゃった・・・。」
ピッピ「子を残して帰るほどの・・・凄まじい怒りであったと申すか?」
ミッキー「そ・・・そういうことで、おじいちゃん(イカのこと)は、天を見上げて溜息を吐くばかりだったって・・・。ハハッ!」
ピッピ「す・・・すまぬ。まさか、そのような仕儀(しぎ)であったとは、露知らず・・・。」
ミッキー「だ・・・大丈夫だよ! おかげで、我(われ)が生まれたんだしっ! ハハッ!」
コー「ご・・・ごめんやで・・・。悪気は無かったんやで・・・。」
とにもかくにも、こうして伊香具神社の解説は、無事に終了したのであった。
そんなこんなで、年が明け、紀元前152年、皇紀509年(開化天皇6)となった。
1月上旬のある日、ミッキーの屋敷には、ある豪族たちが集まっていた。
すなわち、大伴角日(おおとも・の・つぬひ)(以下、ツン)。
久米五十真手(くめ・の・いまて)(以下、マッテ)。
大倭御物(やまと・の・みもの)。
ピッピの同母兄、大彦(おおひこ)。
ピッピの異母兄、彦太忍信(ひこふつおしのまこと)(以下、まこと)である。
ミッキー「みんな! 聞いた!?」
ツン「聞いたじ! ついに大后(おおきさき)を発表されるそうやな?」
マッテ「1月14日に発表するって言ってましたよ。」
御物「さてさて、誰になるんやろ?」
大彦「き・・・気になるんだな。」
まこと「誰になるか、皆で、予想するで!」
ミッキー「それはやっぱり、大王(おおきみ)の幼馴染(おさななじみ)でもある、包媛(かねひめ)こと、カネ様じゃないかなぁ。」
ツン「それは、この物語のオリジナル設定やじ! やっぱりここは、有力豪族である、和珥氏(わに・し)から出て来るのが、当然の流れやじ。・・・ということで、姥津媛(ははつひめ)こと『はつ』様やろ!」
マッテ「お二人とも、ダメダメっすね。やっぱり、物部氏(ものべ・し)とも縁戚関係にある、尾張氏(おわり・し)から出て来るっしょ! ・・・ということで、丹波竹野媛(たにわのたかのひめ)こと『たかの』様で、間違いないっすよ!」
大彦「それがしも、そう思うんだな。丹波(たにわ)と誼(よしみ)を結ぶ、大事な時だと思うんだな。」
御物「うちは、そう思わないっちゃ。まだ登場してない、葛城氏(かずらき・し)出身の鸇比売(わしひめ)様だと思うんやに!」
まこと「我(われ)も、そう思うんやで。登場してないところが、怪しいんやで!」
こうして、運命の1月14日を迎えるのであった。
つづく
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