太モモ(大腿四頭筋)のストレッチで腰痛が治まった。
大阪は梅の花が咲き始めました。暦の上では春ですが、寒さはまだしばらく残りそうです。余寒お見舞い申し上げます。
田中弥三郎です。鍼灸マッサージ師をしています。
年齢なのか、あちこちに痛みが出たりして。
10月には腰、12月には首を
10月にも腰痛が出て、記事を書きました。このときは結局、冷えが原因だったのです。
12月には首から背中にかけての痛みが出まして、これも記事にしました。決してネタ作りのために無茶をしてるわけではないのですが、、、
そしてこの2月、また腰痛が出てきて、ジワジワと悪化してきたのです。例のごとく、ストレッチしてみたりしても、今ひとつ改善せず。
四十を前に、身体の変化に手を焼いています。
やっていないストレッチがあった。
腰を伸ばしたり腹筋を伸ばしたり、臀筋(おしり)やハムストリング(太モモ裏)、ふくらはぎと一通りやってみても今ひとつスッキリしない。
どうしたものかと考えていて、ひとつ試していないストレッチを思い出しました。大腿四頭筋です。
もともと私自身、大腿四頭筋はラクにストレッチできていました。なのでストレッチする習慣がなくなっていました。大腿四頭筋は人体で最も大きな筋肉のひとつで、筋力も強いため、姿勢にも影響を及ぼします。
ということで試してみたところ、めちゃくちゃ痛い。スクワット大好きなので、疲労が溜まっていたのでしょう。この痛みは絶対に、悪さをしている証拠だと確信しました。
幸いにも、少しストレッチをしただけで、大腿四頭筋はずいぶんラクになりました。よくある、片足を正座のように折りたたんで上体を後ろに倒すストレッチです。静的ストレッチ、20秒ほどを左右交互に3セットか4セットしたくらいです。
すると、腰痛は治まりました。改善して3日経ちますが、腰痛は再発していません。
痛みの原因と、治った理由を考える
原因は大腿四頭筋の過緊張
大腿四頭筋の過緊張を疑う根拠として
日常のトレーニングとして、スクワットを習慣にしていること
原付バイクに乗る時間が長いため、股関節の屈曲位となることが多いこと
寒さの影響で筋肉が緊張を起こしやすいこと
適切なストレッチを怠っていたこと
大腿四頭筋のストレッチで痛みが改善したこと
これらの理由から、大腿四頭筋が過緊張を起こしていたと考えます。
大腿四頭筋について
大腿四頭筋は、太モモの前面にある筋肉で、人体で最大の筋肉のひとつです。四頭筋の名のとおり、4つの頭のある筋肉です。
4つの頭はそれぞれ、大腿直筋、外側広筋、中間広筋、内側広筋です。大腿直筋は腸骨(骨盤の骨)から、他の3つは大腿骨からスタートし、脛骨(すねの骨)に付着しています。
膝蓋骨(いわゆる膝の皿)は、大腿四頭筋の中に包まれていて、滑車の役割をしています。
大腿四頭筋の主な作用は膝関節の伸展です。スクワットで鍛えられるのは、大腿四頭筋ですね。
そしてもう1つ大事な作用が、股関節の屈曲です。分かりやすくいうと、太モモを上げる作用です。
大腿直筋は骨盤の骨の下部からスタートしていますので、太モモを持ち上げることができるのです。とくに太モモが水平くらいの高さまでは、主に大腿直筋の作用で持ち上げられ、水平より高く上げる際には腸骨筋や大腰筋(合わせて腸腰筋)が作用します。
大腿四頭筋と腰痛の関係
痛みがでていた箇所は腰の下のほうで
痛んでいた箇所は、下部腰椎周辺。第4から第5腰椎、仙骨にかけて。
痛みが出ていたのは、脊柱起立筋群。背骨を直立させる筋肉です。背骨を反らす際にもこの筋肉が作用します。
脊柱起立筋群のストレッチや、臀筋、ハムストリング、腸腰筋のストレッチなどを試したが、痛みは改善されませんでした。
筋肉の痛みは、重いものを持ったなどのオーバーワーク(使いすぎ)による痛みが多く、その場合は痛む筋肉を直接ケアしてあげれば治まることがほとんどです。(注:痛みのある際のケアは、専門家の指導を受けてください。痛みを悪化させる危険性があります。)
併せて臀筋(おしりの筋肉群)や腸腰筋(背骨の前面にある筋肉)といった周辺の筋肉にもアプローチをしてみましたが、改善はみられませんでした。
周辺の筋肉にアプローチするのは、患部にかかる負荷を分散させてあげることが狙いです。また場合によっては、周辺部分に原因があり、患部周辺に負荷が集中して痛みが出ていることもあります。
ですが症状の改善は見られませんでした。
大腿四頭筋が腰痛を起こすメカニズム
痛みが出ていたのは腰の下のほう。対して大腿四頭筋は太モモの前面にあり、膝を伸ばす作用と、直立から膝を持ち上げる作用です。
あまり関係なさそうに思えますが、事実私もすぐには考えが及びませんでしたが、実は関係しています。
大腿四頭筋と下部脊柱起立筋は、身体の前面と後面で、拮抗する作用を持つ筋肉なのです。
拮抗する筋肉とはどういうことかというと、手を握る筋肉と指を伸ばす筋肉というように、相反する方向に作用し合う筋肉ということです。
関節を動かそうとして片方が縮むとき、もう片方は伸ばされる形になる関係です。
それぞれの筋肉がスムーズに伸び縮みできていれば問題ないのですが、いずれかが過緊張だったり弛緩していたりすると、バランスが崩れてしまいます。
すると痛みが出たり、可動域が狭くなったりといった症状が出てきます。
大腿四頭筋と下部脊柱起立筋に話を戻します。
今回、原因となっていたのは大腿四頭筋の過緊張です。大腿四頭筋が過緊張となったことで、股関節が軽度屈曲状態になってしまっていたようです。
まっすぐ立った姿勢において、ごく僅かに骨盤が前に倒れた前傾姿勢になっていたのです。
骨盤が前傾しているので、自然と背骨全体が前傾してしまいます。骨盤は背骨の土台になる骨なので、土台が傾けばその上の柱も傾いてしまう、ということです。
背骨が前傾していては立っていて不自然ですから、無意識に上半身をまっすぐ直立させようとします。しかし、土台が傾いていますから、いつものようにはまっすぐ直立させられません。そのため無理をして背骨を直立させることになり、脊柱起立筋群に無理な力がかかって痛みを起こしていたのです。
これが大腿四頭筋が原因で腰痛が起きた経緯です。
チャート形式にまとめると
大腿四頭筋(大腿直筋)が過緊張を起こし短縮する
↓
股関節がわずかに屈曲状態になる
↓
骨盤が前傾する
↓
背骨が土台から前傾する
↓
前傾した上半身を、無意識に直立させる
↓
脊柱起立筋(背骨を直立させる筋肉)
に負荷がかかる
↓
負荷が蓄積し、脊柱起立筋に痛みがでる
今回の経験と、これからの課題
今回は慢性化しつつある痛みに対して、簡単なストレッチを行うことで改善が見られ、大きな収穫となりました。しかし改善に至るまではおよそ1週間ほど、手立てを模索し効果のでないまま試行錯誤をしました。
結果的に改善できたものの、1週間をこえて長引くようであれば医師の診察を受けるべきであったと考えています。もちろん、日常生活に支障を来すような危険性がある場合は、なるべく早く受診すべきです。
今後も身体のケアを怠ると、それが痛みや不調という形になって浮き上がってくると自戒します。
人は往々にして、自分自身のことは分かっているようで見落としているものですね。不調や痛みを軽視することなく、自身の身体について見つめ直すきっかけにしたいところです。
痛みは本来、身体からのアラート(警告音)です。適切に対処することで、症状の改善が目指せます。火事を消すならボヤのうちに。燃え広がって手が付けられなくなるまえに、大事にしていけたらと思うのです。
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