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小さな店舗ほど難しい。奥深きテーブル案内のはなし

マガジン購読者のunさんからこんなリクエストをいただきました。

「お店の人がお客の座る席を指定することについて」の記事を書いてください!

なんでも、飲食店で働いている人たちは一体どこまで考えてテーブル案内をしてるのかが気になるとのこと。1組ずつ丁寧に案内してくれるお店もありますが、みんなそんなに深く考えてないんじゃないの?と疑問に思われているそうです。

(ちなみにunさんは小売店のオーナーさんです。他業種に興味を持ってくださって感謝)


テーブル案内、じつは飲食店従事者でも難しいと感じている人は多いです。

とくに個人店だと、たとえアルバイトを雇っていたとしても、どこにどのお客さまを案内するかだけは店主が決めるっていうお店もあります。小さな店舗になればなるほど判断が難しいんですよね。

そんなわけで今日は、私が普段どんなことを考えながらテーブル案内をしているのかについてお話ししてみたいと思います。これけっこう奥が深いんですよね。いつもより少し長くなってしまいました。

ちょっとマニアックなお話になりますがお付き合いください。

いちばんやってはいけないこと

私が普段なにを考えてテーブル案内をしているのかについてお話しする前に、まずはいちばんやってはいけないことについてお伝えしておかなければいけません。

それは何かというと、お客さまが来られた順に奥から詰め込んでいくやり方です。よほど特殊な事情でもない限り、このやり方はおすすめしません。

えっ、なんで?と思う方は、自分が客の立場として同じような案内をされても気にしない方なんだと思います。でも多くの人は、弁当箱におかずを詰めるかのように奥から順番に詰めて座らされるのを良く思いません。なんだか機械的で、まるで物として扱われているような気分になるからです。

あるいは隣のテーブルとの距離が近くなるのが嫌だから、という理由もあります。もちろん混み合ってきたら仕方ないんですけど、席がたくさん空いているのにいきなり隣のテーブルと密着するのは抵抗を感じる人も多いです。

なのでこの方法は本当にやめておいた方がいいです。お客さまからもよく「あの店に行くと奥から詰められるから嫌だ」という話をよく耳にします。とても不評です。


なぜ頭を使ってテーブル案内しないといけないのか

では本題に入りたいと思います。

質問者のunさんが言うように、一見すると飲食店のスタッフはお客さまを適当に案内しているように見えるかもしれません。もちろんそういうお店もありますが、すごくもったいないことですし、お店にとって良くないことが起きる可能性も孕んでいるので要注意です。

私は普段、5つの目的を持ってテーブル案内をしています。以下に挙げてみます。

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