冬のある日の短歌(10首)


スマホから
顔上げ慌て
飛び降りた
そこは
最寄りの隣の駅さ


館内を
出た後も続く
ストーリー
映写機になった
僕の目が映す


雨道で
傘をステッキに
ステップを
踏みたくなるのは
映画のせいかな



ネオン街
曲がった
地下の小舞台
夢見る彼女は
命を燃やす



新しい
喫茶店探し
街歩き
それが密かな
冬の楽しみ


街を行く
体も心も
財布まで
寒い背中を
風が吹きゆく


大学の
昼すぎごろの
食堂で
コーヒー、
小説、
曽我部恵一


外灯が
照らした
団地跡の土が
何か言いたげに
僕を見ていた


「sunset town」と
夕方の景色が
マッチしたら
冬のおとずれ


千年の
「冬はつとめて」の
重みを
少し感じた
つもりになる朝



(あとがき)
短歌10首第2弾です。
とりあえず読んでください。
第1弾もあるのでよかったら見てください。

2019.11.23 検非違使忠明



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