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日本で東アジア最古の天文図がみつかる

「日本で最古の天文図が見つかった」、という興味深いニュースを見つけました。

ようは、
日本の古墳で天文図含めた新しい壁画を発見した、
という話です。

今回見つかったのは、元々国内最古の壁画としては有名な奈良の「キトラ古墳」です。(タイトル画像はWikipediaより)

有名だったはずなのに、40年ぶりの調査で見つかったのは、最新の科学技術によるものです。

考古学にも最新計測技術を使った発見がある話は以前にもしたので引用しておきます。

上記記事では、LiDARという反射を使ってますが、今回は透過する技術です。
実は最近も、同じように透過する放射線を使って超有名なピラミッドに数百年ぶりに空洞を発見した、というニュースも流れています。

今回の調査で導入したのは、(上記のミューオンと異なる)「蛍光エックス線分析」と言われる方法です。

X線なので分かりやすく言えば「レントゲン」と同じですね。透過度合いによって内部構造をスキャンする仕組みです。

蛍光とあるとおり、特定の元素に反応するように出来ており、それによって顔料、つまり色を識別することまでできます。

細かく言えば、3年前からこの手法を導入し、そのデータを範囲を狭めたり(最小幅は0.3ミリだそう!)広げたりと試行錯誤して今回の発見につながったようです。
最新技術とはいえ、結構地道な作業の積み重ねだったのだろうなぁと想像しました。

結果として、十二支を使った方角を色を使って塗り分けていたことがわかったようです。

ただ、そもそもこのキトラ壁画って何?というところが気になったのでそこから巻き戻します。

まず、「キトラ」という日本らしくない名前が気になると思います。一般的には複数の動物が合成された生物を指しますね。

実は近場に、結構有名な「高松塚古墳」があり、その付近で見つかったという経緯です。

キトラ古墳の公式サイトによると諸説あるようです。

上記から箇条書きで整理しておきます。
1.中を覗くと亀と虎の壁画が見えたから(亀虎(キトラ))
2.南にある「小字北浦」がなまった
3.中央集落から見て北西方向にあり、四神のうち北をつかさどる亀(玄武)と西をつかさどる虎(白虎) から「亀虎」と呼ばれていた

大体7世紀から8世紀の奈良時代に造られた、古墳時代で言えば末期です。(比較的コンパクトかつ多様な形状)

上記の「四神」(玄武・白虎・青龍・朱雀)で推測できる方もいるかもしれませんが、中国の神話が取り入れられたものです。

ただ、これはあくまで「古墳」なので、そもそも誰のお墓で、なんで(イメージで言えば日本っぽいお墓に)外来の風習をとりいれたの?が気になると思います。

これも諸説あるようですが、その1つが「天武天皇の皇子である高市皇子」です。いずれにせよ天武天皇に関連する位の高い人のようですね。

日本に天文学の形跡が認められるのは、日本最古の歴史書の1つ「日本書紀」です。

特に、天武時代になってその天文に関する記載が急増したそうです。

このあたりの背景はどこかで触れてみたいですが、最新の科学技術で最古の想いを巡らすのは楽しいものです☺

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