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ゲノム編集と医療への応用

NHKシリーズ「ヒューマニエンス」。名称のとおり、人類の謎を科学すべくタレントの織田裕二さんがMCを担当しています


そのシリーズ最新話で、「ゲノム編集」が取り上げられていました。
とても面白かったので、一部を感想も添えて紹介したいと思います。この領域に関心のある方は、視聴をお勧めします。(取り上げてない箇所もとても面白い内容が豊富にありました)

視聴したなかで興味深かったのが医療への応用で、がん細胞との闘いにゲノム編集を応用しています。

まず、がん細胞と戦うのは、人類が自然に持つ免疫細胞でいわゆる「T細胞」と呼ばれます。

そのT細胞の中にある受容体という一部の遺伝子配列を、編集技術で切断します。
理由の説明がなかったので、はじめ見たときは何をやってんだろう?と眉をひそめました。

次に、切断して除去した箇所に人体には無害なウイルスを仕込ませました。

ここまでくると何となく想像ついたと思いますが、弱毒性のものを組み込むことでよりがん細胞への攻撃力をUPさせているわけです。

番組内の情報だけでは攻撃力UPの原理まではわかりませんでしたが、時間があったらどこかで深堀したいです。
もしかしたらワクチンに挙動がにているので同じ発想なのかもしれないです。
ワクチンは、元々1800年ごろに、牛の天然痘予防として弱毒性の毒を能動的に仕込んで抵抗力、いわゆる免疫をつける、というのが発端でした。
今でこそ社会に受け入れられてますが、冷静に考えると、これをやろうと決断した人はとんでもない発想と勇気の持ち主ですね。

たとえワクチンの模倣アイデアだとしても、それをT細胞に持ち込むという発想はすごいと思います。

しかも、実際にそれを人間の患者へ投与して、120日後にがん細胞が半分にまで縮小した結果を診断結果を添えて紹介していました。(なお、すべてのがんでなく血液がんには有効だが固形がんはまだまだ、というコメントも添えられていました。ここはセンシティブな表現ですね)

さらに医療への応用は広がり、新薬開発の臨床実験に移ります。

通常の新薬開発のプロセスは、マウスなど動物実験を経て効果と安全性を評価し、次に人での臨床実験が許可されて改めて同じようなことを行います。
ある意味二度手間ともみられますが、だからといっていきなり人間で実験するのも抵抗はありますね。

そこで、このプロセスをゲノム編集を使ってコンパクトにしたわけです。

想像がついたでしょうか?

動物実験での該当臓器を、ヒトのそれに置き換えて実験するというアイデアです。ようは、動物の体内でヒトの実験を行うということです。

機能で見ると、元の動物の臓器をヒトのそれに移植するイメージですが、普通であれば違う種なので免疫、つまり異物を取り除こうとする拒絶反応が生じます。

その拒絶反応を起こす免疫性細胞を、ゲノム編集で切断することで機能不全にさせるのがポイントです。

番組内では肝臓の7割をヒトに置き換えて無事定着している様子が放映されていました。
これによってヒトにとって安全な薬の開発が効率的に行えるということです。

ちなみに、ここでいうヒトの臓器はiPS細胞などで再生・培養が可能なので、まさに最強の組み合わせです。

番組の最後は、ヒトの受精卵で遺伝子を改変した中国での事件を取り上げて、倫理面での問題を提起していました。

これは当時相当話題になったので知っている方多いと思います。いわゆる
「デザイナーベビー」と言われ、今でも警鐘が鳴らされています。

今のところ現実社会では、その後同じような事件は聞いてませんが、ミステリー小説ではそれをテーマにした作品が話題を呼んでいます。

内容はまだ読んでないですが、なかなかハードな設定です。

ただ、ふと思ったのですが、こういったフィクションからまずは想像力をたくましくするのは、有効な手段かもしれません。

NHKの番組はどれもこれも好きですが、今回の内容は特にいろいろと考えさせられることがあって楽しかったです。


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