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第二の奇跡?インスリンの遺伝子が解明

「人類の健康に最も貢献した薬は?」と聞かれると、人によっては「インスリン(またはインシュリン)」というかもしれません。

おなじみの糖尿病を抑える薬として普及しましたが、発見は今から100年前にさかのぼります。

臨床効果も出たので採用されているわけですが、その効用プロセスが分かってきたのは近年のようです。1つだけ引用します。

ようは、インスリンが(糖を吸収させる)細胞の門をどのように開けるのかを3D画像で明らかにした、
という話です。

ただ、これも突っ込みを入れると、ではその結合を本質的に担っている遺伝子は?というとまだ未解明でした。

丸めて書くと、
「そもそもこのインスリンという物質がどのように作られるのか?」
がいまだに謎だったわけです。

それをDNAレベルまで突き止めた研究成果がついに先日発表されました。

本題の前に、基礎情報としてインスリン、そしてそれが効果をもたらす糖尿病について、分かりやすい解説サイトを引用しておきます。

糖尿病は、エネルギーとして重要な糖が身体に十分に行き届かない症状で、その細胞への鍵を握るのがインスリンというわけです。

出所:上記サイト内の図

糖尿病の尺度を表す血糖値(ようは細胞に糖が吸収されていない度合い)を人工的に下げる物質として、カナダのトロント大学の研究者たちが見つけたのが「インスリン」というわけです。(「トロントの奇跡」と呼ばれます)

調べていて知ったのですが、どうも日本の研究グループもほぼ近い時期に同じ発見をしていたようです。1つサイトを紹介します。

他にも血液の病気やインフルエンザの治療法を確立するなど、免疫学に大きな影響を与えた熊谷岱蔵(たいぞう)という研究者がその立役者とのことです。
偉大な発見はなぜか同じ時期に起こる(シンクロニティ)と言われますが、これもその1つかもしれません。

さて、彼らが発見したインスリンは、人体の膵臓(すいぞう)にあることが突き止められましたが、肝臓の後ろにあり、なかなか生きた被験者から抽出が難しい場所のようです。

それで冒頭の話につながります。(ちょっと長くなりました・・・)

ショウジョウバエのインスリン細胞は、脳内でニューロン(神経細胞)のようなふるまいをしていることが分かりました。

そこから遺伝子を解析して、インスリン特有の遺伝子部位(タグ)を突き止めたのが今回の研究成果です。

やり方は、当たり付けをした遺伝子をCRISPRという編集技術で機能不全(ノックアウト)にしてインスリン生成比較をする、という作業です。

発表した研究グループは、今回の遺伝子特定化によって、インスリン分泌能力が低い患者への治療に期待を寄せています。

糖尿病患者の数は下記の記事では、世界で5億人超、成人の10人の1人ともいわれています。

今回の研究を発表したのは米国ミシガン州です。
後世にこの解明が「ミシガンの奇跡」と呼ばれる日が来るかもしれません。

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