レッスン11.大学への寄付で救われる者の話
「卒業した大学に、年に一度、1万円を寄付している」と言うと、驚かれることが多い。若い世代で出身大学に寄付する人は少ないから珍しいのだろう。けれど、寄付を「偉いね」と褒められることには慣れない。私にとって大学への寄付は、貴重な4年間を不完全燃焼で終わらせてしまった自分を慰め、救うための営みだからだ。
ミッション系の母校には聖歌隊があった。歌が好きだった私は入学直後、入部しようと思っていたが、活動費を捻出できそうになく、しぶしぶ諦めた。礼拝の度、キャソックを着て歌う隊員たちが羨