コサミチ ヨコ

読書や美味しかった食べ物の感想など、「大人の自由研究」として、好きなことを自由に書いて…

コサミチ ヨコ

読書や美味しかった食べ物の感想など、「大人の自由研究」として、好きなことを自由に書いていこうと思います。会社員、女性。

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【漫画感想】おかざき真里「阿・吽」

 時は平安時代。日本仏教の礎を築いた二人の天才、「最澄」と「空海」の交流と人生を鮮烈に描いた歴史漫画。  最澄と空海って昔の偉いお坊さんで違う宗派の仏教それぞれ開いたんでしょ?ぐらいの知識。そして、同じ時代の2人だから宗派がどっちがどっちだっけ?と混乱する。そこを逆手に取って歴史のテストで引っ掛け問題が出たりする。最澄が真言宗?空海が天台宗?あれ??みたいな。  でも、この漫画を読んだらもう、そんな取り違えは絶対起きなくなる。二人の運命的な交流、命を懸けた仏教への想い、当

    • グルメエッセイを実食。〜向田邦子の「きっぱん」〜

       こんにちは。  読書と食べ歩きが好きなので食に関するエッセイをよく読みます。本に登場するグルメの中で取り寄せ、購入できるものは実際に食することも。  今回は向田邦子著『海苔と卵と朝めし』に出てくる銘菓を食べてみました。 「沖縄胃袋旅行」の章で沖縄料理について触れています。その中で自分が一番印象に残ったのが「きっぱん」というお菓子です。  正式名称は 「橘餅(きっぱん)」  琉球王朝時代から受け継がれてきた伝統菓子で製造するには大変手間がかかり、明治時代より前は高貴な身

      • キャラクターが単なる「記号」に見えたとたん千年の恋が冷めるように物語は色褪せてしまう

         物語を読み込んでいると時折、ストーリーが頭にどうしても入ってこなくなる時がある。  キャラクターが「記号」に見えてしまった時。  当然だが、作者は次回の展開、ひいては最終回を迎えるために様々な伏線や設定を準備してキャラクターたちを動かしているはず。キャラクターが自然に生まれて、ひとりでに動いて物語が生まれるわけではない。キャラクター達は物語を彩る一つのツールでしかない。物語を完成させるための「記号」なのだ。  けれどもあまりにこの「記号」であることがありありと伝わって

        • 【読書感想】向田邦子『海苔と卵と朝めし』

           小説家、脚本家の向田邦子氏のグルメエッセイ。向田女史が食べたもの、調理したもの、果ては幼少時の食に纏わる思い出等、内容は幅広い。  比較的裕福な家の出身で、文筆家としても売れて自分でも財力はあっただろうから、当時としても高価なものを食していた様子。海外の複雑な味のソースがかかったステーキ、個性的なビールを飲んだ話もあれば、国内の名店から取り寄せた銘菓、銀座の名店のご馳走等、ジャンルも国も問わず、ありとあらゆる美味しいものに触れていたことが綴られている。  しかし、そんな

        【漫画感想】おかざき真里「阿・吽」

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        • グルメエッセイを実食!
          2本
        • 読書感想
          3本

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          【読書感想】津原泰水「エスカルゴ兄弟」

           「エスカルゴ」という日本人にとって馴染みのない食材の魅力に取り憑かれた男達が本格エスカルゴ・フレンチ店を成功させるべく奮闘する物語。  作者の津原泰水さんはホラー作品で有名な小説家。グロテスクで精神的にくる物語も多く、なかなか刺激的でダークな作風の作家さんだと認識しています。津原作品をいくつか読んだ読者なら、この作品もまた、そんなホラー小説だと思ったんじゃないでしょうか?「タイトルからしてカタツムリ採集に夢中になりすぎた兄弟が周囲を巻き込んで破滅する物語?それともカタツムリ

          【読書感想】津原泰水「エスカルゴ兄弟」

          ノンアル赤ワイン「ワインの休日」だけで飲み比べてみた

           「ノンアルでワインの休日」というノンアルコールワインがあります。定番の赤白以外で期間限定の味も出たりと、多様なラインナップが展開されている飲料シリーズ。赤ワイン味一つとっても多様な種類が展開されています。  「ノンアルワインの休日」の赤ワイン系の味がいくつか種類あったので一気に飲み比べてどんな違いがあるか確かめてみました。(ロゼ味はおまけで) 飲み比べるノンアル赤ワインはこれ! 便宜上アルファベットつけます。 A:ノンアルでワインの休日(赤) …基本の赤味。 B:ノン

          ノンアル赤ワイン「ワインの休日」だけで飲み比べてみた

          ジャパンホットカクテルフェア2024に行ってみた

          悩みに悩んで厳選した結果… 「芋ジンジャー」と「ホットバタードラム」をチョイス! 「芋ジンジャー」 「ホットバタードラム」 https://tokyo-hotcocktail.jimdosite.com/ 定期的に開催しているみたいなので、次も行ってみたいです。事前にオンラインチケット買うと割安だったらしいので、今度はそれも利用してお得に飲みたいと思います。

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          ドラマ「光る君へ」感想〜「昔の日本人像」=「武士」という先入観が自分にあったと気づかされた〜

          大河ドラマ「光る君へ」を観ての感想です。 ※ネタバレあり。 大河ドラマ「光る君へ」がスタートして現時点で3話まで放送されました。ドラマ感想、というより、このドラマを観て私自身気付かされたことを述べていきます。 なぜこんなにも「平安時代」が新鮮に映る?一番初めに頭に浮かんだのは平安時代って義務教育で習ってるはずなのに全然見慣れない、知らないことばかりで、違和感がある、ということ。 例えば… 書物のタイプは「巻物」? この時代は一般的な書物って現代でもメジャーな「冊子

          ドラマ「光る君へ」感想〜「昔の日本人像」=「武士」という先入観が自分にあったと気づかされた〜

          グルメエッセイを実食。〜『ロッパ食談』の「シベリヤ」〜

          こんにちは。 読書と食べ歩きが好きなので食に関するエッセイをよく読みます。本に登場するグルメの中で取り寄せ、購入できるものは実際に食することも。 今回は古川緑波著『ロッパ食談』の中に出てくる「シベリヤ」を食べてみました。 「ロッパ」とは昭和のスターコメディアン、古川緑波の通称です。彼は芸人であると同時にかなりの食通でもありました。華族※1出身という経歴も手伝い、その時代にしては希少で高価な食べ物も口にしていたようです。教養もあって好奇心旺盛なロッパ氏はグルメに関するエッセ

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          【読書感想】古川緑波『ロッパ食談』

          「ロッパ」って何?って方もいそうですね。 「ロッパ」とは昭和初期を代表する喜劇役者、古川緑波(フルカワ ロッパ)氏の愛称。「日本の喜劇王」と呼ばれた「エノケン」こと榎本健一さんのライバルとして人気を競い合うほど勢いがあり、紅白歌合戦の前身番組の司会を務めたこともあります。当時の芸能界のトップスターの一人。本書は食通としても有名だったロッパ氏のグルメエッセイ本です。  コメディアンを生業としていただけあって、語り口も軽妙でユーモラスに溢れています。この人ほんっっとーーに食べる

          【読書感想】古川緑波『ロッパ食談』

          子が父へ、父が子へ成長するBL『憂鬱な朝』の魅力

          2018年に完結した漫画『憂鬱な朝』の感想、考察を述べていく記事です。 ※ネタバレしていますので読む際はご注意ください。  凄い漫画を読んでしまった…面白いのはもちろんなんですが、ここまで突出していると面白い、面白くないで語って良いものじゃないような…語りたいことは山ほどあるけどありすぎるし、様々な感情が沸き起こってどれから話せばいいか分からない。最終回読んでそんなフリーズ状態になってしまった漫画です。こんな凄まじい作品がそんなに有名じゃないなんて、日本の漫画業界のレベル

          子が父へ、父が子へ成長するBL『憂鬱な朝』の魅力