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問題解決の糸口は、心と視野を広く持つこと(『荘子』庚桑楚篇)

今回取り上げるのは『荘子』庚桑楚篇からの言葉。

天下を以て之れが籠と為せば、則ち雀逃るる所なし
(読み:テンカをモッてコれがカゴとナせば、スナワちスズメノガるるトコロなし)

『荘子』庚桑楚篇

この世界を一つの籠とするならば、もはや雀に逃げる場所はない、という意味。

つまり、心と視野を広く持てば思考が柔軟になり、世の中のあらゆることに手が届くようになる、ということです。

物事を成し遂げる方法は一つだけではありません。

例えば、手取りのお給料を月5万円ほど増やしたいと思った場合、

  • 昇給を目指す

  • 副業を始めてみる

  • メルカリで不用品を売る

  • ポイ活でコツコツお金を稼ぐ

などなど、達成する方法は色々と考えられます。

ですが、もっと視野を広くしてみると、別の方法が浮かんでくることがあります。

この場合は、お給料を増やすのではなく、月々の固定費を削減するという方法です。

お金を増やすよりは節約をする方がハードルが低いと思いますので、有力な解決策の一つだと思います。

視野を広くすると思考が柔軟になり、思いがけない解決策が見つかったりするものです。

逆転の発想というやつですね。

頭を柔らかくするためには心を広く持ち、落ち着いて物事に当たらなければなりません。

焦ったり、イライラしたりしていては視野も思考も狭まってしまいます。


日本の戦国時代の英傑の一人、豊臣秀吉にこんな逸話があります。

秀吉は鶴を好んで飼っていたのですが、ある日、世話役の部下が誤って鶴を逃してしまいました。

その部下が上司である秀吉に謝罪をしに行ったところ、秀吉はこう言いました。

「その鶴は海外へ行ってしまったのか?」

部下は答えます。

「いいえ。飼育していた鶴ですので、そんなに遠くへは飛べません」

それ聞いた秀吉は笑って言いました。

「日本の中であれば、全部わしの庭だ。この中で見失ったのなら、いずれまた手に入れられよう」

そして秀吉はその部下を許したのです。


秀吉が『荘子』を知っていたのかは分かりませんが、今回の言葉にとても似ていると思います。

これほどの度量を持っていたからこそ、秀吉の思考は柔軟で機知に富んでいたのかもしれません。

秀吉が農民から天下人になれた要因の一つだと思います。

天下を以て之れが籠と為せば、則ち雀逃るる所なし
(読み:テンカをモッてコれがカゴとナせば、スナワちスズメノガるるトコロなし)

『荘子』庚桑楚篇

心と視野を広く持てば思考が柔軟になり、何事も成し遂げられるようになります。

問題がなかなか解決しないときは、一旦心を落ち着かせて、視野を広くしてみましょう。

解決策は思いもかけないところにあるものです。


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