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読書感想文【モモ】ミヒャイル・エンデ著

こんにちはコウカワシンです。

今回は、ミヒャイル・エンデさんの著書【モモ】からの学びについて書かせていただきます。

【モモ】は、「児童文学の大傑作」であり、「人生の羅針盤」ともいえる本です。

著者は、1929年生まれのドイツの児童文学作家であるミヒャイル・エンデさんで、冒険ファンタジー『はてしない物語の著者でもあります。

この【モモ】は、時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子モモのふしぎな物語で、人間本来の生き方を忘れてしまっている現代の人々に〈時間〉の真の意味を問う名作です。

2020年に日本テレビで放送された35歳の少女の主人公「今村望美」の愛読書として紹介されたことでも有名ですよね。

物語の前半は、主人公「モモ」を取り巻くほのぼのとした風景や人物たちが印象的ですが、後半からは灰色の男たちとの「仁義なき戦い」的な死闘が魅力的に描かれているエキサイティングな作品です。


【モモ】のあらすじ

この物語は、円形劇場の廃墟に住みついた、もじゃもじゃ頭で粗末な身なりをした不思議な少女「モモ」が主人公です。

だまって話を聞くだけで、人の心をとかし悩みを解消させる能力を持ったモモのまわりには、いつもたくさんの大人や子どもたちが集まっていました。

しかし「時間」を人間に倹約させることにより、世界中の余分な「時間」を独占しようとする「時間貯蓄銀行」と名乗る灰色の男たちの出現により、町じゅうの人々はとりとめのないおしゃべりや、ゆとりのある生活を次第に失っていきます。

モモは、「時間の国」を司るマイスター・ホラというおじいさんの助けを借り、彼の手下である亀のカシオペイアとともに灰色の男たちに立ち向かうのです。

この【モモ】という物語のテーマは何か?

この【モモ】という物語は児童文学でありながら、大人にとっても大切なことを教えてくれます。

わたしが本書から感じたテーマは次の通りです。

  • 「心」

  • 「時間」

  • 「夢」

人がお互いを思いやる「心」、ゆとりある生活をするための「心」、さびしいと感じる「心」というように、人は「心」のおちつきがないと、幸福を感じることができません。

それにとっての「時間」というものは、大きなかかわりがあります。というのも「心をなくす」と書いて「忙」というように、余裕のある時間がないことにより「心をなくす」ことにつながっていきます。

誰にでも「夢」があると思います。

この物語では、モモの親友「観光業のジジ」が、有名になってお金持ちになり裕福な生活を手に入れるという夢を持ったがために灰色の男たちのワナにハマります。

夢がかなったはいいが、それにより余裕のある生活ができなくなり、しだいに心まで荒んでいく様は、現代社会でも起きうることでしょう。

したがって「これが本当に自分が望んでいたことか?」という部分については、そのつどじっくり考え、軌道修正する手立てを確保したいものですよね。

主人公「モモ」がみんなに与えたものは?

この物語の主人公「モモ」がみんなに与えたものは次のことです。

  • 「聞く」ことの大事さ

  • 「思いやる」ことの大切さ

  • 「悪」をきっぱりと遮断し立ち向かう勇敢さ

「モモ」は、「人の話をきちんと聞く」という特技を持っていて、楽しい話はもちろん、悩んでいたり困っていたり、あげくの果てにはケンカの仲裁まで行います。

それは、何かしら気の利いた意見やアドバイスをするというのではなく、「ただ人の話を聞くだけ」です。それにより、人々は自分で自分の心を癒し、悩んでいたことや困っていることの解決策を見つけ、ケンカまで仲直りしてしまうのです。

「聞く」ということも大事なことです。モモはどんな人の話もしっかり聞きます。親友である道路掃除業のベッボはとてもゆっくりな人です。たぶんふつうの人ならイライラして相手をしていられないでしょう。

でも、モモはベッボととても仲よしです。ベッボもモモのことをいつも気にかけていて、モモを疎んじる灰色の男たちのワナにはまってしまいます。

モモは、ジジにベッボ、そして自分を取り巻く人たちのために「思いやり」を持って、みんなに会いに行き、みんなが置かれた環境にショックをうけ、とうとう「悪」に立ち向かうのです。

「悪」ともいえる灰色の男たちは、モモにも取引をするべく接触してきます。ですがモモは、きっぱり断り、立ち向かうのです。

どうすれば「モモ」のようなみんなから好かれる人になれるのか?

その答えは、もうお分かりだと思いますが次のようなことです。

  • どんな人の話にもしっかり耳を向ける姿勢

  • 友だちの窮地を救おうとする気持ち

  • 自分の納得できないものには屈しないという強い意志

最近では「傾聴テクニック」というハウツー本がいろいろとありますが、モモの相手との向き合い方はとても参考になると感じました。

そして、友だちの窮地を知るために自分から行動するというのは、できるようでなかなかできないことですよね。

そして大事なのが、自分が納得できないものには屈しないという強い意志を持つことです。

モモは灰色の男たちの話にも耳を傾けます。たしかに灰色の男たちの言い分もわからなくはありません。ですが、その主張の裏にあるのは自分たちの利益を獲得するための「時間どろぼう」そのものでした。

モモは取引を求められますが、自分が納得できないため、応じません。

その姿勢、強い意志が、誰にも必要なのだということです。

人にはすべてにおいて「余裕」「余白」が必要。
忙しいとは「心をなくす」と書く。忙しくする合間においても「余裕」を持つ姿勢を持とう。

児童文学とはいえ、たいへん考えさせられる物語でした。

この物語が書かれた1973年は、どのような時代だったのでしょう?

「付記」で、30年を超える年月を経過したことから賞味期限が切れかかっている個所は訂正を加えているとされましたが、それを施してもなお、現代、未来につながる課題をこの物語は教えてくれます。

どんな時代を生きようと人間の本質は変わりません。

ですが、社会変化で息苦しいと感じる人々は後を絶たないと思います。

そんなときに一度立ち止まり、本書を読むことはとても有益ではないでしょうか?

人の数だけいろんな考えがあり、正解があります。

そういった意味でも多くの人に読んでいただきたい一冊です。


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