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【無料】岸田首相の国賓待遇訪米を徹底解説!~米議会演説、日米・日米比首脳会談~|政治初心者の教科書

※本記事は「【無料】岸田首相の正体~"媚中"か"検討使"か"増税クソメガネ"か~|政治初心者の教科書(2024/04 日米・日米比首脳会談追記)」より一部を抜粋した記事です。

岸田政権の全容についてはこちらをどうぞ。

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キシダは無能?

世の中ではなぜか岸田首相が "無能" 扱いされているが、事実を基に、熱心に政治をウォッチしている真っ当保守~真っ当リベラルの方におかれては、「メディアが煽っているだけで、岸田首相は有能(or 言われているような無能ではない)」というのは常識化してきたものと思う。

そのため、本記事では「岸田首相は無能!?実は……」といった論調ではなく、そもそも岸田首相が有能である前提で論を展開する(元記事コピ功績ペでが多ほと過ぎんどるんを済だよませ勘弁たいしてためくれ)。

「国民を守ってビジネスチャンスを広げるSC」になぜか反対するメディアやどこが資本を持っているのかも不明なまとめサイト、政府に不要と判断された私怨で言論を歪めているとしか思えない言論人に溢れた現在。

これらを目にする機会が多い方には衝撃の内容となるかもしれないが、「事実」とはこういうものである。

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【歴代5例目】国賓待遇で訪米

岸田首相は4月8日~14日、「国賓待遇」でアメリカを公式訪問した。

日本の首脳が国賓待遇で公式訪米するのは、2015年の安倍首相(当時)以来、9年ぶりとなる。

また、日本の首相が国賓待遇で訪米したのは、確認できる限り今回の岸田首相を含めて5例のみだという(中曾根康弘首相(1987年)、小渕恵三首相(1999年)、小泉純一郎首相(2006年)、安倍晋三首相(2015年)、岸田文雄首相(2024年))。

「アメリカ様に認められた!」とシッポを振るわけではないが、「日米同盟の米が日を国賓待遇で招待した」というのは日米同盟の強さ・濃厚さを国際社会へ示すことになり、これは間違いなく『抑止力』として機能することだろう。

とくに、前回の国賓待遇が安倍晋三元首相であり、各国に対して「同盟国であるアメリカが、Fumio Kishida を Shinzo Abe と同じレベルで扱っている」というメッセージを発することにもなり得るため、関係が深くない国に対しても「岸田文雄」の存在をアピールすることができる。

※SNS等では「他国の国賓訪米時と対応が違う!キシダは舐められている!」とのミスリードを発信するアカウントが多く見られる。

このカラクリは単純であり、「国賓」とは基本的に「国家元首」を指し、我が国の「国家元首」は、明文化はされていないものの「天皇陛下である」とするのが国際的な常識なのだ。

よって国家元首ではない総理大臣は「国賓」とはなり得ず、その総理大臣を最大の高待遇でもてなしてくださるのが今回の『 国賓"待遇" 』なのである。

そのため、細々とした箇所に違いをつくらなければ「他国の元首および天皇陛下に失礼」となるわけであり、「他国の国賓訪米時と対応が違う!キシダは舐められている!」というのは悪質なミスリードと言える。

SNSには国籍明示の義務がなく、SNSによる情報戦が現代戦争の一手段となっていることは米大統領選や宇露戦争において明確になっており、メディアのみならずSNSの情報にも注意が必要だ。

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「日本がアメリカをサポートする時代」
(戦後レジームからの脱却)

これを「国賓待遇訪米における岸田政権の成果」に含めるべきかは悩むところであり、事実関係の検証も困難である。

しかし、岸田首相の言動や政策を見れば確度の高い情報であると考えられ、また国際的な日本の立場を考えるうえで重要な話であると思うので、ここでご紹介しておきたい。

岸田首相は22日夜、東京都内で行った会食で、4月に控えた訪米について、「今までの日米関係は、いろいろ助けられていたが、日本がアメリカをサポートしていく時代に入ったことを考えたい」と意気込みを強調した。

岸田首相「日本がアメリカをサポートする時代に入った」
 4月訪米を前に意気込み示す|FNNプライムオンライン
(https://www.fnn.jp/articles/-/675194)より引用

これまで、戦後からの日米関係というのは「対米従属」と揶揄されるなど、明らかに「アメリカが上、日本が下」といった関係値であった。

これは日本にとって「アメリカに一方的に守ってもらえる」というメリットもあったが、「だからこそアメリカ様に逆らえない」という側面も間違いなくあったと言えるだろう。

そして、安倍政権になって集団的自衛権の行使を限定的に容認、我が国の存立にかかわり、武力行使の新三要件を満たす場合において、日本がアメリカと共に血を流すことができるようになった。

「ただアメリカに守ってもらう」という関係から「日本もアメリカと共に戦う」という関係値にかわり、"日米対等" に近づく、つまり「"アメリカ様の仰せの通りに" ではない」という関係に近づいたのだ。

この集団的自衛権の限定行使容認からわかる通り、「日米対等」は安倍晋三元首相が目指された日米関係であって、"戦後レジームからの脱却" のなかでも重要なものであると言えるだろう。

これがようやく、「アメリカをサポートできるようにならなければならない」ではなく、「アメリカをサポートしていく時代に入った」と日本の総理大臣が口にできる時代となり、そして岸田首相がここを意識しているということが明確となったのだ。

岸田首相が「安倍晋三と反目しており、安倍政治を壊した」かのように言う言論人、自称保守層もいるが、本記事においてご紹介している政策、そしてこの精神性、米議会演説を見れば、「岸田首相は安倍路線の継承者である」と断言できる。

この発言については、保守言論人として一目置かれる櫻井よしこ氏も絶賛されている。

櫻井氏は、以下のように語った。

画期的なことだと思います。ものすごく大きな意味があると思いますよ。これはアメリカが望んでいることでもあると思う。

アメリカは中国が主な脅威、だけれどロシアとも向き合わねばならない、中東とも向き合わなきゃいけない。

核に関して言えば、アメリカの今の核の能力で、ロシアの核と向き合うことはできても、5年以内に中国の核とも向き合うことができなくなるかもしれない。核の二正面作戦をアメリカは今の力でできないんですよ。これは軍事的にはっきりしていますよね。

アメリカは今まで、グローバルに展開するスーパーパワーだった。今、グローバルに展開する国として中国が出てきている、ロシアもあのようなことになっている、だから世界中が一緒にやってくれという姿勢にアメリカはなっていますよね。

ヨーロッパはNATOに主軸を置きたい。そしてアジアは『日本』なんですよ。東南アジアとかASEANとか、こういったところをきちんと秩序を保ってよい方向に守っていく力をやっぱり日本が発揮すべきなんですね。

アメリカはやっぱりアジアとの歴史は浅いですし、よくわかっていないところがある、中国についても日本こそが、それこそ2000年の歴史で、ヨーロッパに対しても中国の脅威を気づかせたのが安倍さんですよ。

アメリカにもそうですよ。トランプさんなんて何も知らなかったわけですから。

だから「日本がアメリカをサポートしていく時代に入った、そのことを考えたい」と岸田さんが仰ったのであれば、これはすごいことだと思いますね。

スルスルスルっとこういう重要なことをおっしゃってしまうんですよね(笑)

以上、櫻井氏のコメントを、多少の要約を加えてご紹介した。

#櫻井よしこが"ステルスキシダ"に気づいているぞ

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日米首脳会談

2024年4月10日、米国・ワシントンDCにおいての岸田首相とバイデン大統領による日米首脳会談が行われた。

☆尖閣諸島に日米安保条約第5条適用☆
(防衛力・抑止力の強化)

他の首相であればこの一点のみでも記事を作成したいレベルの成果だが、岸田首相は上げる成果の数とレベルが桁違いなので、本記事の一節のみでお許し願いたい。

バイデン大統領はまた、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを改めて確認した。我々は、尖閣諸島に対する日本の長きにわたり、かつ、平穏な施政を損なおうとする行為を通じたものを含む、中国による東 シナ海における力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みにも強い反対の意を改めて表明した。我々は、日米の抑止力・対処力を強化するため、南西諸島を含む地域における同盟の戦力態勢の最適化が進展していることを歓迎し、この取組を更に推進することの重要性を確認する。

日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
2024 年4月 10 日(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652148.pdf)より引用
太字化は國神による

今回の訪米において行われた日米首脳会談の結果として発表された「日米首脳共同声明」では、中国が領有権を主張している我が国の固有の領土「尖閣諸島」について、日米安保条約(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)の第5条が適用されると明言された。

第五条
 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
 前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/jyoyaku.html)より引用

つまり、「尖閣諸島に対する攻撃は、日米安保条約に基づいた防衛措置の対象となる」ということが、改めてアメリカの公式声明として発表されたわけである。

これは、我が国の固有の領土である尖閣諸島について正当性なく領有権を主張し、また以下の記事にある通り領海・領空侵犯をくり返す中国に対して、「日米は中国の横暴を決して許さず、断固たる措置をとる用意がある」と示したことになるのだ。

尖閣諸島に対する安保5条の適用は以前から不安定かつ不明瞭だったので、このタイミングでアメリカの公式声明として引き出せたことは大変喜ばしく、これを引き出した岸田首相は称賛に値する。

「防衛装備移転三原則」運用指針改正
(防衛力・抑止力の強化)

米国は、地域における抑止力を強化するための共同開発・生産を通じた協力を増進することになる、日本の防衛装備移転三原則及びその運用指針の改正を歓迎する。

日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
2024 年4月 10 日(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652148.pdf)より引用

日米首脳会談後の共同声明においてこのように触れられた「防衛装備移転三原則及びその運用指針の改正」とは、以下の通りである。

日英伊で戦闘機を共同開発するにあたって、「防衛装備移転三原則」の運用指針が改正された。

 政府は、「防衛力整備計画について」(令和4年 12 月 16 日国家安全保障会議決定及び閣議決定)に基づき、我が国の安全を確保する上で中核となる次期戦闘機の英国及びイタリアとの共同開発(以下「グローバル戦闘航空プログラム」という。)を推進する中で、我が国の安全保障環境にとって必要な性能を満たした戦闘機を実現し、我が 国防衛に支障を来さないようにするためには、我が国からパートナー国以外の国に完成品を移転し得る仕組みを持ち、英国及びイタリアと同等にグローバル戦闘航空プログラムに貢献し得る立場を確保する必要があるとの認識に至った。

グローバル戦闘航空プログラムに係る完成品の
我が国からパートナー国以外の国に対する移転について
令 和 6 年 3 月 2 6 日 国家安全保障会議決定 閣議決定
(https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/pdf/r60326_bouei7.pdf)より引用

今回の改正では、「防衛装備品・技術移転協定」を締結した15ヶ国のうち、戦闘が行われていない国に限り、次期戦闘機について、パートナー国以外の第三国に対する移転(輸出)を認めることが決定されたのだ。

ただし、実際に輸出を行う場合には、案件ごとの閣議決定を必要とする。

「防衛装備移転三原則」は、佐藤栄作総理大臣が国会答弁において触れた指針「武器輸出三原則」をルーツとし、安倍政権下において定められたもの。

今回はこれの運用指針を改正し、「殺傷能力のある完成品を第三国に輸出することが可能となった」のである。

これによって我が国は、戦闘機に巨額投資を行って防衛力を大幅に強化するとともに、完成した戦闘機を輸出することで利益をあげ、巨大投資を回収することが可能になったのだ。

また、この運用指針改正については「日本国憲法に違反するのではないか」と疑問視する声もあるが、実は戦後、我が国は1950年代後半から1960年代にかけて、ミャンマー(ビルマ)や南ベトナム、タイ、インドネシア、台湾、ブラジル、アメリカなどに殺傷能力のある武器を輸出しており、言うまでもなく、今回の運用指針改正は現行憲法に違反しない。

平和を維持するには力が必要であり、力をつけるには防衛産業を潤すことが必要不可欠。

そのうえ、「他国の安全保障に介入する」というのは『味方、少なくとも敵ではない国を増やす』ことでもあり、これも日本を守ることに繋がるのである。

キッシー、マジでGJ!

JAUKUS構想と
セキュリティ・クリアランス(SC)

2024年4月8日、アメリカ・イギリス・オーストラリアから、安全保障枠組み「AUKUSオーカス」の先端技術分野において、日本との協力を検討しているという共同声明が発表された。

アメリカのオースティン国防長官は8日、イギリス、オーストラリアの国防相とともに共同声明を発表し、3か国でつくる安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」の柱の1つである先端技術の分野で、日本との協力を検討していると明らかにしました。

米英豪の安全保障「AUKUS」
先端技術分野で日本との協力を検討|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240409/k10014416341000.html)より引用

AUKUSは「オーストラリアへの原子力潜水艦の配備」と「AIや極超音速ミサイルの共同開発など先端技術分野での協力」を掲げており、日本とは後者での協力を検討しているとのことだ。

そしてこれは、日米首脳会談後の共同声明においても触れられている。

日本の強み及び AUKUS 諸国との間の緊密な二国間防衛パートナーシッ プを認識し、AUKUS 諸国 ― 豪州、英国及び米国 ― は AUKUS 第2の柱における先進能力プロジェクトに関する日本との協力を検討している。

日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
2024 年4月 10 日(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652148.pdf)より引用

これに反発しているのが中国であり、中国の外交部・報道官は以下のように述べている。

 関連の報道には留意している。米、英、豪が地域諸国と国際社会の核拡散リスクに対する普遍的な懸念を顧みず、いわゆる「三カ国間安全保障パートナーシップ」の参加国拡大のシグナルを絶えず発し、一部の国家を仲間に引き入れ、アジア太平洋地域の軍備競争を激化させ、地域の平和と安定を破壊していることを、中国は深刻に懸念している。われわれは関係国が排他的な「小グループ」を作って陣営間の対抗を生み出すことに反対する。日本はとりわけ歴史の教訓を深くくみ取り、軍事・安全保障分野で言行を慎むべきだ。

日本のAUKUS参加検討を深刻に懸念
 中国外交部|新華社
(https://jp.news.cn/20240409/f40d01761d554073b27328b7b6894042/c.html)より引用

台湾や我が国の存立を脅かし、秩序への挑戦を試みる中国を牽制する意味でも、そして純粋に日本の技術力向上および世界への貢献の意味でも、AUKUSとの協力・連携強化は非常に喜ばしいことであると言える。

このAUKUSとの接近に大きく関係していると考えられるのが、高市早苗経済安全保障担当大臣が推進する「セキュリティ・クリアランス(SC)」である。

衆議院・本会議で先ほど、経済安全保障分野における機密情報の取り扱いを有資格者のみに認める、「セキュリティ・クリアランス制度」を創設する法案が与党と立憲民主党などの賛成多数で可決しました。

【速報】セキュリティ・クリアランス法案 衆院を通過
|TBS NEWS DIG
(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1103683?display=1)より引用

この法案では、漏洩ろうえいが起きると日本の安全保障に悪影響を及ぼす情報を「重要経済安保情報」に指定し、機密情報を取り扱うことができる者を、国が「適性評価」を行って認定された者に限定する。

SCは多くの西側諸国が設定している制度であり、日本にはこれまでこれが存在しなかったことにより、機微な情報の共有が必要とされる諸外国との共同研究、諸外国政府からの受注などにあたって、日本企業が非常に不利な目に遭ってきたという。

現在でも特定秘密保護法(安倍政権時に制定)による情報保護制度は存在するが、これは対象者が主に公務員(と一部民間職員)であり、民間において機微に触れる情報を保護する制度が存在しなかったのだ。

そのため、同盟国・同志国との国際共同研究に大きな支障をきたしており、企業や経済団体からも法制化を求める声が挙がっていたのである。

これを解決するのが今回の法案であり、実際、SCが衆議院を通過する見通しとなり、協議を行うべき日米首脳会談の直前となったタイミングで、米英豪から協力検討の共同声明が発表されたのだ。

また、SCについて「キシダの妨害に負けず通した高市さん素晴らしい!」といった珍論を展開する右翼がいるのだが、高市氏を経済安保大臣に任命し、野党から集中攻撃を受けた際、「信用できないなら質問しないで」と危うい答弁をした際も交代させず、「権限」を高市氏に与え続けたのは、他でもない岸田首相である。

目を開けながら寝言を言うのは、一種の超能力なのだろう。感服する次第だ。

※「政務三役」が対象者となっていないこと、「性的行動についての節度(ハニートラップ対策)」に関する調査項目がないことを問題視する声もあるが、第一に、首相を含む閣僚、副大臣、政務官は、大臣規範によって守秘義務を課されている。

政務三役への罰則強化を望むのであれば、民間が主な対象となるセキュリティ・クリアランスではなく、大臣規範もしくは別の仕組みによって対応すべきではないだろうか。

ただし、高市大臣は以下のように説明している。

"「政務三役についてでございますが、任命の段階で、まず内閣の一員として任命される段階で必要な考慮がなされるということで、適正評価の対象外としたものでございます」

高市大臣は記者会見でこのように述べたうえで、政務三役が重要経済安保情報を漏らした場合でも「最大5年以下の拘禁刑という罰則が及ぶということには変わりはない」と強調しました。"


第二に、私も中国などのハニートラップには対策が必要と考えるが、民間が対象となるセキュリティ・クリアランスにおいて、個人の性行動を調査することが適切であるのか、これについては議論が必要ではないだろうか。

>【は?】マスコミ労組「経済安保法廃案」声明

日本マスコミ文化情報労組会議は12日、衆院を通過した「重要経済安保情報保護・活用法案」に関し、表現の自由を著しく脅かす恐れがあるとして、廃案を求める声明を出した。

マスコミ労組、経済安保法廃案に
 表現の自由を脅かすと声明|共同通信
(https://nordot.app/1151405536443662463)より引用

「重要情報の流出を防ぎや他国による情報泥棒(スパイ行為)を防ぎ、日本の安全を守ると同時に、民間企業のビジネスチャンスを拡大するセキュリティ・クリアランス(SC)」であるが、マスコミ労組がこれに反対する声明を出している。

これは1980年代に「スパイ防止法」が潰された際と同じ動きであり、警戒する必要があると言えるだろう。

スパイ防止法は国際的に見ても標準的な法律であると言え、SCと同じく「スパイ行為を働いていない者には反対する理由がない」ものであるが、当時、第二東京弁護士会や日弁連、日本民間放送連盟、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党、社会民主連合などが強固に反対、廃案となったのだ。

「民意を得られなかった」という形式になった以上、「スパイ防止法」を提出することは非常に困難となってしまった。

しかし、スパイ行為を規制する法律がなければ日本の安全は守れず、その被害を受けるのは他ならない日本国民である。

そのため、自民党は「スパイ防止法」を『特定秘密保護法(安倍政権)』や『セキュリティ・クリアランス(岸田政権)』などに分解して法制化し、"実質的にスパイ防止法を形づくり、スパイ行為から国民を守る" ことを目指しているのだ。

SCは衆議院を通過したが参議院での審議を控えているわけで、ここで国会がマスコミ労組におもねった場合は否決・廃案にされてしまう。

そうなった場合、日本の重要情報は常に中国(国家情報法により人民のスパイ活動を義務付けている)などの脅威に晒されることになり、民間企業はビジネスチャンスを逃し続けることになってしまうわけだ。

そのため、SCが衆議院を通過したことに安心するのではなく、マスコミ各社の動向、野党の動向、そして国会審議の動向に注意する必要があると忘れてはならない。

しかし、「スパイ行為を働いていない者には反対する理由がないスパイ防止法やSC」について、マスメディアが反対する理由はいったい何なのだろうか。

極超音速滑空兵器の衛星網整備で日米協力
(防衛力の強化)

我々はまた、米国の産業との協力の可能性を含め、極超音速滑空体(HGV)等のミサイルのための地球低軌道(LEO)の探知・追尾のコンステレーションに関する二国間協力も発表する。

日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
2024 年4月 10 日(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652148.pdf)より引用

日米首脳共同声明において、日米が「極超音速滑空兵器(HGV)を探知・追尾する衛星網の整備」において協力すると発表された。

極超音速滑空兵器(HGV)は、マッハ5(音速の5倍)以上で低空を飛行し、機動性があるため、探知や迎撃が困難であると言われている。

アメリカはこれの追尾を目的として、多数の小型衛星を連携させる「衛星コンステレーション」の構築を進めており、共同声明では、日本が低軌道で衛星網を構築することについて、アメリカが協力すると明記された。

この "協力" においては、打ち上げ試験や情報共有、分析での連携も行われるという。

また、中国やロシアが他国の衛星を攻撃する衛星(キラー衛星)を開発していることを踏まえ、宇宙空間の監視でも協力することが確認された。

2025年~定期的な日米英合同軍事演習
(防衛力・抑止力の強化)

英国防省は10日、日本、米国、英国が2025年からインド太平洋地域で定期的に合同演習をすると発表した。25年は英軍が空母「プリンス・オブ・ウェールズ」を中核とする空母打撃群を派遣する。海洋進出を強める中国を念頭に結束を示す。

日米英、25年から定期的に合同演習
 英は空母打撃群派遣|日本経済新聞
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1103C0R10C24A4000000/)より引用

日本、アメリカ、イギリスによる三ヶ国共同訓練を、2025年(来年)から、インド太平洋地域において、定期的に実施することが発表された。

これについては、日米首脳共同声明においても触れられており、その重要性と注目度の高さが窺える。

米英間の大西洋宣言及び日英間の広島アコードにおける コミットメントを認識し、また、インド太平洋地域及び欧州・大西洋地域がかつてないほど相互に関連している中で、我々は、共通のかつ揺るぎない安全保障を強化するに当たり、2025 年から開始される定期的な日米英三か国共同訓練の発表を歓迎する。

日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
2024 年4月 10 日(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652148.pdf)より引用

他国の軍との合同演習では、軍事関係における連携の強さを各国に見せつける効果はもちろん、実際に有事となった場合の連携をスムーズにする効果や、互いの技術・練度に新たな要素を取り入れる効果を期待できる。

これをインド太平洋地域で実施するということは、まさにこの地域の覇権を狙って横暴をくり返す中国への牽制に他ならないのであって、また、実際に中国が行動を起こした際の予行演習ともなるのだ。

自衛隊・米軍の連携強化

岸田政権は防衛力強化の一環として「統合作戦司令部」を自衛隊に新設する計画を進めているが、これに加え、日米両軍の指揮統制の連携を強化することで合意した。

地域の安全保障上の課題が展開する速度を認識し、日米の二国間同盟体 制がこうした極めて重要な変化に対応できるようにするため、我々は、作戦及び能力の シームレスな統合を可能にし、平時及び有事における自衛隊と米軍との間の相互運用性 及び計画策定の強化を可能にするため、二国間でそれぞれの指揮・統制の枠組みを向上させる意図を表明する。より効果的な日米同盟の指揮・統制は、喫緊の地域の安全保障上の課題に直面するに当たり、抑止力を強化し、自由で開かれたインド太平洋を促進していく。我々は、日米それぞれの外務・防衛担当省庁に対し、日米安全保障協議委員会 (日米「2+2」)を通じて、この新しい関係を発展させるよう求める。このビジョンを支えるに当たり、我々はまた、日米共同情報分析組織(BIAC)を通じたものを含め、情 報収集、警戒監視及び偵察活動における協力並びに同盟の情報共有能力を深化させるという目標を改めて確認する。

日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
2024 年4月 10 日(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652148.pdf)より引用

具体的な内容については2+2による議論・調整が行われることとなった。

「2+2」(ツー・プラス・ツー)とは……

国と国が、外交担当閣僚と国防担当閣僚単位で、安全保障問題について協議する閣僚級会合の通称。

また、この連携強化に「自衛隊が米軍の指揮下に入るということか」との不安も挙がっているが、林芳正官房長官は以下のように回答しており、これは日本が主権国家であることからも当然と言えるだろう(日米地位協定等の問題もあるが、「今から隷属的関係を新たに結ぶ」ことは困難と言える)。

林芳正官房長官は11日の記者会見で、日米両首脳が自衛隊と米軍の指揮統制の連携強化で合意したことに関し、「自衛隊と米軍はおのおの独立した系統に従って行動している。(今年度中に発足させる)自衛隊の統合作戦司令部が米軍の指揮統制下に入ることはない」と説明した。

自衛隊、米軍指揮下に入らず
 林官房長官「独立して行動」|JIJI.COM
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2024041100624&g=pol)より引用

あくまで「連携の強化」である。

マイクロソフトが4400億円の対日投資
(技術発展)

 訪米中の岸田文雄首相は9日、首都ワシントンで米IT大手マイクロソフト(MS)のスミス社長の表敬を受けた。スミス氏は、生成AI(人工知能)の基盤強化のため、日本に2年間で29億ドル(約4400億円)を投資すると正式に表明した。

(中略)

 MSによると、日本にある同社のデータセンターにAI向け半導体を導入し、処理能力を大幅に強化するほか、東京に研究開発拠点を新設する。AIを活用できる人材の育成や、日本政府とのサイバーセキュリティー分野での連携強化も図る。

日本に4400億円投資
 米MS社長、岸田首相表敬で正式表明|JIJI.COM
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2024041000181&g=int#goog_rewarded)より引用

外資企業の進出には否定的な声もあり、私もあまり産業を売り飛ばすべきではないと考えるが、マイクロソフトのAIおよび人材育成や、TSMCの半導体関連事業を日本に呼び込むことは産業の活発化につながる。

岸田政権に入って活発化している、日本が遅れをとっている半導体や、今後に伸びるであろう生成AI等について先進国各国と連携をとる動きは、私はこれを歓迎する。

さらに、これらの動きは「他国が日本の防衛に積極的に参加する理由」を増やそうとしているとも解釈でき、また実質としてそのような働きをし得る動きである。

本当に抜け目がない。

また、この対日投資については日米首脳共同声明においても触れられており、期待度の高さが窺える。

日米両国は、マイクロソフト社の日本における AI、クラウドインフラ、人材育成及び研究所への 29 億ドルの投資並びにトヨタ自動車の最近のバッテリー生産向けの 80 億ドルの追加投資を含むノースカロライナ州における累計 139 億ドルの投資等、相互投資を通じた強固な経済・商業関係を歓迎する。

日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
2024 年4月 10 日(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652148.pdf)より引用

岸田政権は先進・重要産業への投資を重要視しており、今後の日本経済を考えれば、非常に重要な分岐点を迎えているのだと思う。

日本政府の半導体産業への支援が米欧より手厚くなっている。3年間で3.9兆円と、国内総生産(GDP)比で0.71%に相当する。

日本の半導体支援、GDP比で米欧上回る
 3年で3.9兆円|日本経済新聞
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA08AHH0Y4A400C2000000/)より引用

中国ブチ切れ
(キシダは媚中!)

中国外務省は11日、対中抑止の強化を確かめた10日の日米首脳会談に反発した。毛寧副報道局長が記者会見で、日米の台湾問題の対応を巡り「重大な内政干渉だ」と批判した。「強い不満と断固反対」を表明した。

中国、日米首脳会談「強い不満」
 台湾問題干渉に反対|日本経済新聞
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM119XY0R10C24A4000000/)より引用

「キシダは媚中」「キシダは習近平の犬」というのは、日本保守党周辺を中心に未だに根強い主張だが、これが "犬" なら習近平・中国国家主席はあまりに間抜けだろう。

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米議会演説
(9年ぶり2例目)

岸田首相は今回の国賓待遇訪米において、アメリカ議会での演説を行った。

日本の首相が上下両院の合同会議で演説するのは、2015年の安倍首相(当時)から9年ぶり2例目。

これについて安倍晋三元首相を支持する言論人のなかには、「岸田首相の訪米は安倍総理の訪米を上書きして消す行為だ」とする者もいた。

安倍晋三元首相を支持する身として、本当に恥ずかしい限りだ。

岸田首相は議会演説の冒頭、次節全文の太字化した部分において、安倍元首相の訪米、議会演説について触れている。

忘れていた者に思い出させ、知らなかった者に知らせ、"安倍晋三" を、米議会に深く刻み込んだのだ。

そもそも、安倍晋三元首相が暗殺された際、「国葬儀」を決定、実行し、日本の歴史と世界の歴史に "安倍晋三" を刻み込んだのは誰だと心得ているのか。

全文

 議長、副大統領、連邦議会議員の皆様、御来賓の方々、皆様、

 ありがとうございます。日本の国会では、これほど素敵な拍手を受けることはまずありません。

 そして、ギャラリーにいる妻の裕子を御紹介します。私が裕子と結婚したという一事をもって、私の決断全てが正しいものであると、皆様に信用いただけるのではないでし ょうか。

 民主主義の本丸であるこの議場で、そして米国国民の代表である皆様の前で、こうしてお話しできることを大変光栄に存じます。

 9年前、私の盟友であった故・安倍元総理が、まさにこの壇上で、「希望の同盟へ」 と題した演説を行いました。私は当時、安倍内閣の外務大臣として両国間の絆を目の当 たりにし、深く感銘を受けました。

 幼少期からずっと、私は米国とのつながりを感じてきました。おそらく、小学校の最初の3年間をニューヨークのクイーンズにある公立小学校である PS20 と PS13 で過ごし たからでしょう。日本人は私一人でしたが、同級生達は私を親切に受け入れてくれ、お 陰で新しい文化に溶け込むことができました。

 そうしてニューヨークにやって来た私たち家族は、1963 年の秋から数年間にわたり、 米国人と同じような生活を送りました。父は通商担当官として、職場のマンハッタンまで地下鉄で通っていました。私たちは、メッツやヤンキースを応援し、コニーアイラン ドでホットドッグをほおばり、休日には、ナイアガラの滝や、ここワシントン D.C.まで出かけたものです。

 そして今も思い出すのは、日本の少年にとってはもの珍しく面白かったアニメ「フリントストーン」。

 今でもあの番組を懐かしく感じます。ただ、「ヤバダバドゥー」の意味を日本語訳することはできませんでしたが。

 あれから 60 年の歳月を経て、クイーンズの善良なる皆様にメッセージがあります。 私の家族と私をあれほど温かく迎えてくださって、ありがとうございました。あの時代のことを、私は一時も忘れたことはありません。

 だからこそ、私は本日、米国の長く、親しい友人として、皆様にお話しさせていただきます。

 米国国立公園局が、タイダル・ベイスンの再生プロジェクトを実施中と承知しています。日本は友情の証として、米国の建国 250 周年に先立ち、タイダル・ベイスンに植えられる予定の桜 250 本を贈呈させていただきます。

 当時のことを憶えている方もいらっしゃるかもしれませんが、1964 年の世界博覧会は、 クイーンズで開催されました。シンボルは巨大な球体のモニュメントで、テーマは「相互理解を通じた平和」でした。

 しかし、今の私たちは、平和には「理解」以上のものが必要だということを知っています。「覚悟」が必要なのです。

 米国は、経済力、外交力、軍事力、技術力を通じて、戦後の国際秩序を形づくりました。自由と民主主義を擁護し、日本を含む各国の安定と繁栄を促しました。

 そして必要なときには、より良い世界へのコミットメントを果たすために、尊い犠牲も払ってきました。

 およそ人類は、権威主義的な国家に抑圧されるような、つまり、追跡され、監視され、 自己の内心の表現を否定されるような生き方はしたくない - 米国の政策はそのような 前提に基づいていました。

 米国は、自由こそが人類にとっての酸素のようなものだと信じていました。

 この世界は、米国が引き続き、国際問題においてそのような中心的な役割を果たし続けることを必要としています。

 しかし、私は今日、一部の米国国民の心の内で、世界における自国のあるべき役割について、自己疑念を持たれていることを感じています。

 この自己疑念は、世界が歴史の転換点を迎えるのと時を同じくして生じているようです。ポスト冷戦期は既に過ぎ去り、私たちは今、人類史の次の時代を決定づける分かれ目にいます。

 米国が何世代にもわたり築いてきた国際秩序は今、新たな挑戦に直面しています。そしてそれは、私たちとは全く異なる価値観や原則を持つ主体からの挑戦です。

 自由と民主主義は現在、世界中で脅威にさらされています。

 気候変動は、自然災害、貧困、そして地球規模での避難民を引き起こしています。新型コロナウイルスのパンデミックでは、全人類が苦しみました。

 AI 技術の急速な進歩により、AI の本質をめぐり、その将来性と危険性との狭間で、 攻防が繰り広げられています。

 経済力のバランスは変化しています。グローバル・サウスは、課題と機会の双方に対処する上で一層重要な役割を果たし、より大きな発言力を求めています。

 日本の近隣諸国に目を向けると、現在の中国の対外的な姿勢や軍事動向は、日本の平和と安全だけでなく、国際社会全体の平和と安定にとっても、これまでにない最大の戦略的な挑戦をもたらしています。

 中国からのこのような挑戦が続く中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序や、 平和を守るというコミットメントは、引き続き決定的な課題であり続けます。

 広島出身の私は、自身の政治キャリアを「核兵器のない世界」の実現という目標に捧げてきました。NPT 体制の再活性化と、国際的機運の向上に長年取り組んでまいりました。しかし、東アジアでは、核兵器拡散の差し迫った危険が存在します。北朝鮮による 核・ミサイル計画は、直接的な脅威です。北朝鮮による拉致問題は、引き続き重大な問題です。

 北朝鮮による挑発は、地域を越えたインパクトをもたらしています。北朝鮮は、ウクライナに対する侵略戦争を支援するための弾道ミサイルをロシアに輸出し、その結果、 ウクライナの人々の苦しみを大きく増大させています。

 ロシアのウクライナに対するいわれのない、不当で残酷な侵略戦争は3年目を迎えました。私がよく申し上げているとおり、今日のウクライナは明日の東アジアかもしれません。さらに、ロシアは核による威嚇を継続しており、核兵器の惨禍が実際に再び繰り返されるのではないかと世界が懸念しています。このような現実の中で、日米同盟の抑止力の信頼性と強靱性を維持するために、日米間の緊密な連携がこれまで以上に求めら れています。

 新しい形の抑圧が、世界で見られるようになっています。デジタル技術を通じた自由の抑圧も行われています。ソーシャルメディアは検閲され、監視され、そしてコントロールされています。

 経済的威圧や、いわゆる「債務の罠」外交と呼ばれる、国家の経済的依存を悪用し、 武器化する事例が増加しています。

 このように急速に変化する困難に直面し、私たちは、私たちが共有する価値をいかに守り続けるのでしょうか。

 ほぼ独力で国際秩序を維持してきた米国。そこで孤独感や疲弊を感じている米国の国民の皆様に、私は語りかけたいのです。

 そのような希望を一人双肩に背負うことがいかなる重荷であるのか、私は理解しています。

 世界は米国のリーダーシップを当てにしていますが、米国は、助けもなく、たった一人で、国際秩序を守ることを強いられる理由はありません。

 もちろん、米国のリーダーシップは必要不可欠です。

 もしも米国の支援が無かったら、モスクワからの猛襲を受けたウクライナの希望は、 どれほど前についえ去ってしまっていたことでしょう。

 もしも米国の存在が無かったら、インド太平洋地域はどれほど前に、より厳しい現実にさいなまれていたことでしょう。

 皆様、米国の最も親しい友人、トモダチとして、日本国民は、自由の存続を確かなものにするために米国と共にあります。それは、日米両国の国民にとどまらず、全ての人々のためにであります。

 私は、これを米国への強い愛着から述べているのではありません。私は理想主義者であると同時に、現実主義者です。自由、民主主義、法の支配を守る。これは、日本の国益です。

 日本国民は、これらの価値に完全にコミットしています。人権が抑圧された社会、政治的な自己決定権が否定された社会、デジタル技術で毎日が監視下にある社会を、私は我々の子供たちに残したくありません。

 皆様も同じく感じておられますよね。これらの価値を守ることは、日米両国、そして世界中の未来世代のための大義であり、利益でもあるのです。

 今この瞬間も、任務を遂行する自衛隊と米軍の隊員たちは、侵略を抑止し、平和を確かなものとするため、足並みをそろえて努力してくれています。

 私は隊員たちを賞賛し、感謝し、そして、隊員たちが両国から感謝されていることが、 私たちの総意であると知っています。

 「自由と民主主義」という名の宇宙船で、日本は米国の仲間の船員であることを誇りに思います。

 共にデッキに立ち、任務に従事し、そして、なすべきことをする、その準備はできています。

 世界中の民主主義国は、総力を挙げて取り組まなければなりません。

 皆様、日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっています。

 米国は独りではありません。

 日本は米国と共にあります。

 日本は長い年月をかけて変わってきました。第二次世界大戦の荒廃から立ち直った控えめな同盟国から、外の世界に目を向け、強く、コミットした同盟国へと自らを変革し てきました。

 日本は国家安全保障戦略を改定しました。インド太平洋地域の将来の安定に関する不確実性が、私たちの政策、さらには考え方自体を変える契機となったのです。私自身、 日米同盟を一層強固なものにするために、先頭に立って取り組んできました。

 2022 年、日本は、2027 年度までに防衛予算を GDP の2%に達するよう相当な増額を 行い、反撃能力を保有し、サイバーセキュリティーを向上させることを発表しました。 今日、日米同盟の抑止力は、かつてなく強力であり、それは米国の日本への拡大抑止に よって強化されています。

 日本は、ロシアによるウクライナ侵略を受け、強力な対露制裁を実施しています。ウ クライナに対し、対無人航空機検知システムを含む 120 億ドル以上の援助を表明してき ました。このシステムの供与は、NATO による支援策の一環であり……そう、日本は、地球の裏側にある NATO とも協力しているのです。

 さらに、2月、荒廃したウクライナがこの苦難の時を乗り越えることを支えるべく、 私はウクライナの経済成長と復興のための会議を主催しました。日本はこれからもウク ライナと共にあります。

 地政学的な状況が変化し、自信を深めるにつれ、日本は米国の最も近い同盟国という枠を超えて、視野を広げてきました。日本はかつて米国の地域パートナーでしたが、今 やグローバルなパートナーとなったのです。日米関係がこれほど緊密で、ビジョンとア プローチがこれほど一致したことはかつてありません。

 今日、両国のパートナーシップは二国間にとどまりません。例えば、米国、日本、韓 国、豪州、インド、フィリピンによる三か国間や四か国間の協力、さらには G7 を通じた協力や、ASEAN との協力が挙げられます。日米韓の首脳は、三か国のパートナーシッ プの新時代の幕を開くため、昨夏、キャンプ・デービッドに集いました。

 このような様々な取組から、多層的な地域枠組みが生まれ、日米同盟はその力を増強 させる役割を果たしています。そして、同志国と共に、「自由で開かれたインド太平洋」 の実現を目指しています。

 こうした努力に対し、ここ米国連邦議会では、超党派の強力な支持がいただけるのではないでしょうか。

 日本は米国のリーダーシップを信じています。そして、米国の経済を信じています。

 日本は世界最大の対米直接投資国です。日本企業は、約 8,000 億ドルを投資し、米国内で約 100 万人の雇用を創出しています。これらは良質な雇用であり、製造業だけで 50 万人の雇用を生んでいます。

 日本国内では、私は日本経済を牽引するために「新しい資本主義」という取組を推進しています。現下の課題や取組を成長の力へと変化させるために官民が連携しています。 賃上げ、設備投資、株価。全てが 30 年ぶりの高い水準に達しました。日本経済は現在、 いまだかつてない大きな変化を力にして、前進しています。成長志向の日本経済は、米 6 国への更なる投資にもまた拍車をかけることでしょう。そして、日米両国は今後、世界経済を後押しし、力強い成長軌道へと導くことでしょう。

 つい昨日、バイデン大統領と私は、AI、量子、半導体、バイオテクノロジー、クリー ン・エネルギーといった次世代の新興技術の発展において、日米両国が世界をリードすることへのコミットメントを示したところです。

 そしてまた、両国間の協力分野は宇宙にも広がっています。これは、明るく希望に満ちた明日への道を照らしています。1969 年のアポロ 11 号による月面着陸のテレビ中継は、今でも私の記憶に焼き付いています。1月に、日本の月探査機は、史上初の月面へ のピンポイント着陸を達成しました。昨日、バイデン大統領と私は、アルテミス計画の 将来ミッションにおいて、日本人宇宙飛行士が米国人以外として初めて月面に着陸することとなると発表しました。

本日は、2名の宇宙飛行士に来ていただいています。星出さん、タニさん、御起立いただけますでしょうか。

 星出彰彦氏は、これまでに3回、宇宙に飛び立たれてきました。また、2021 年には国 際宇宙ステーションの船長を5か月間務められました。

 隣にいらっしゃるのはダニエル・タニ氏です。タニ氏は、船外活動を6回経験した日 系米国人の元宇宙飛行士で、2回のミッションでは、なんと 5,000 万マイル以上のフライトを達成しました。

 ものすごい大量のマイレージ・ポイントになりますね。

 星出氏とタニ氏は、宇宙における日米協力の象徴的存在です。両国は今後も、このような協力をもっともっと将来にわたって築いていきます。 お二人ともありがとうございました。

 最後に、一言述べて締めくくらせていただきます。日本が米国の最も近い同盟国とし ての役割をどれほど真剣に受け止めているか。このことを、皆様に知っていただきたいと思います。

 私たちは共に大きな責任を担っています。日米両国は、平和にとって、自由にとって、 そして繁栄にとって、必要不可欠な存在です。そう私は信じます。

 信念という絆で結ばれ、私は、日本の堅固な同盟と不朽の友好をここに誓います。

 「未来のためのグローバル・パートナー」。今日、私たち日本は、米国のグローバル・パートナーであり、この先もそうであり続けます。

 本日の御招待、皆様のおもてなし、そして米国が世界で果たしている役割に感謝します。

米国連邦議会上下両院合同会議における岸田総理大臣の演説
「未来に向けて ~我々のグローバル・パートナーシップ~」
(令和6年4月 11 日)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652739.pdf)より引用

意訳

民主主義の本丸であるこの場所で、共に世界をリードする仲間であるみんなの前で話せること、本当に嬉しいよ。

9年前、ボクの盟友だったシンゾー・アベが、まさにこの壇上で、「希望の同盟へ」 と題して演説したんだよね。

ボクはその安倍内閣の外務大臣を務め、みんなが信じた安倍政治を発展させてる(だからボクと日本を信じてくれ)。

ボクは小学校低学年を、アメリカで、みんなと同じように過ごし、同じアニメを楽しみ、アメリカとの繋がりを感じて人生を過ごしてきたんだ。

みんなと時を同じくした時代のことを、ボクは一時も忘れたことがない。

今日は、アメリカの長く、親しい友人として、みんなに話がしたい。

そうそう、日米友好の証として大切にされてきた桜が植え替えを迎えるんだってね。アメリカ建国250周年を祝い、日本から250本の桜をプレゼントするよ。これからもよろしくね。

さて。ボクたちは、平和には「覚悟」が必要だと知っているはずだよね。

アメリカは、総力を挙げて、戦後の国際秩序を形づくり、自由と民主主義を擁護し、 ボクら日本を含む各国の安定と繁栄を促してくれたよね。

必要なときには、より良い世界のため、尊い犠牲も払ってきた。

そんなみんなの努力を、ボクは知っているし感謝している。

およそ人類は、権威主義的な国家に抑圧されるような、つまり、追跡され、監視され、 自己の内心の表現を否定されるような生き方はしたくない - 米国の政策はそのような前提に基づいていた。ボクは知ってるよ。

そして世界は、アメリカが引き続き、国際問題においてそのような中心的な役割を果たし続けることを必要としているんだ。

だけどね、一部の米国国民が、孤立主義への回帰を望んでいると感じるんだよ。

ポスト冷戦期は既に過ぎ去り、ボクたちは今、人類史の次の時代を決定づける分かれ目にいる。 

みんなが何世代にもわたり築いてきた国際秩序は今、 世界中で脅威にさらされている。

AI 技術の急速な進歩により、その将来性と危険性との狭間で、 攻防が繰り広げられている。

経済力のバランスは変化し、かつての小国は、より大きな発言力を求めている。

さらに、日本の周辺では、中国が国際社会全体の平和と安定を破壊しようと目論んでいるんだ。

中国の暴挙が続く中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序や、 平和へのコミットメントは、重大な課題であり続けるはずだよね。

ボクは唯一の被爆国の、被爆地域である広島出身なんだ。ボクが一方の長を務める日米は、核による恫喝、核の使用を絶対に許さない。

だけど中国や北朝鮮は、核兵器によって国際秩序を乱そうとしている。

我が国の国民を拉致して返還しない犯罪国家・北朝鮮は、侵略戦争を行うロシアに軍事支援を行い、ウクライナ人を殺している。

「今日のウクライナは明日の東アジア」かもしれない、ロシアによって核兵器の惨禍が実際に再び繰り返されるかもしれないと、世界は懸念しているんだよね。

こんな現実の中で、ボクたち日米には、これまで以上に緊密な連携が求められているはずだ。

中国は、デジタル技術を通じて自由を抑圧し、ソーシャルメディアを検閲し、監視し、中国共産党によってコントロ ールされている。

中国は各国を経済的に威圧し、まるで闇金のような「債務の罠」外交を行い、新たな形による侵略を行っている。

このように急速に変化する困難に直面するなか、ほぼ独力で国際秩序を維持し、孤独感や疲弊を感じているアメリカのみんなに、ボクは寄り添いたいんだ。

(口説きモード突入)

希望を一人で背負うことがどれほどの重荷か、ボクは理解しているよ。

世界は君を当てにするけど、君は、助けもなく、たった一人で負担を背負う必要はないんだ。

安心してほしい。君が頑張っている姿を、ボクはずっと見ている。

もし君がいなかったら、ウクライナ君はどうなっていたか。

もし君がいなかったら、ボクたちのグループはどうなっていたか。

安心してほしい。ボクは君のそばにいるよ。君の努力は、多くの人を救ってきたんだ。

(ここからケツを叩くDVモード突入)

ボクは、これをアメリカへの強い愛着から言ってるんじゃないんだ。

ボクは理想主義者で あると同時に、現実主義者なんだよ。

自由、民主主義、法の支配を守る。これは、日本の国益であり、ボクは日本の未来を背負って、日本の代表者としてここにいるんだ(その重みはわかるよな?)。

日本国民は、中国が目指すような、人権が抑圧された社会、政治的な自己決定権が否定された社会、デジタル技術で毎日が監視下にある社会を、子供たちに残したくない。

みんなも同じだよね?中国から秩序を守ることは、日米両国、そして世界中の子どもたちのための大義であり、利益でもあるんだ。

今この瞬間も、自衛隊と米軍の隊員たちは、侵略を抑止し、平和のため、協力して努力してくれている。 

日本国民は、アメリカのみんな、そして米軍のみんなに感謝しているよ。

ねぇみんな!日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっているということを伝えたい!

アメリカは独りじゃないんだ。

日本はみんなと共にあるんだ。

まさかみんな、ここで怖気づくような真似をするはずがないよね?

ボクら日本は第二次世界大戦の荒廃から立ち直り、防衛予算を倍増し、反撃能力を保有し、サイバーセキュリティーを向上させ、強力な対露制裁を実施し、ウクライナに対無人航空機検知システムを含む 120 億ドル以上の援助を行い、地球の裏側にある NATO とも協力し、ウクライナの経済成長と復興をも背負っている。

今日、両国のパートナーシップは二国間にとどまらない。例えば、米国、日本、韓国、豪州、インド、フィリピンによる三ヶ国間や四ヶ国間の協力、さらには G7 を通じた協力、ASEAN との協力が挙げられる。

ボクたちの日米同盟は、これらの力を増強させる役割を果たしているよね。そして、同志国と共に、「自由で開かれたインド太平洋」 の実現を目指している。

こうした努力に対し、みんなは、超党派で、アメリカ国民の代表として、強力に支持してくれるはずだよね?(圧)

日本はアメリカのリーダーシップを信じているんだ。そして、アメリカの経済を信じているんだ。

日本は世界最大の対米直接投資国だよ(それを一方的に搾取なんてしないよねぇ?)。

日本企業は、約 8,000 億ドルを投資し、米国 内で約 100 万人の雇用を創出している。これらは良質な雇用であり、製造業だけで 50 万人の雇用を生んでいるんだ。

日本国内では、ボクは日本経済を牽引するために「新しい資本主義」を掲げ、成長のために官民が連携している。

その結果、賃上げ、設備投資、株価。全てが 30 年ぶりの高い水準に達したんだ。

日本経済は現在、 いまだかつてない大きな変化を力にして、前進している。成長志向の日本経済は、アメリカへの更なる投資にもまた拍車をかけるだろうね(その恩恵を無視しないよな?)。

そして、日米両国は今後、世界経済を後押しし、力強い成長軌道へと導くことだろう(俺たちは隷属関係ではなく"仲間"なんだ)。

つい昨日、バイデン大統領とボクは、AI、量子、半導体、バイオテクノロジー、クリーン・エネルギーといった次世代の新興技術の発展において、日米両国が世界をリードすることへのコミットメントを示したところだ。

そして、両国間の協力分野は宇宙にも広がっている。

1969 年のアポロ 11 号、月面着陸は、今でもボクの記憶に焼き付いているよ(アメリカを褒める)。

1月に、日本の月探査機は、史上初の月面へのピンポイント着陸を達成しました(日本の技術もアピール)。

昨日、バイデン大統領とボクは、アルテミス計画の将来ミッションにおいて、日本人宇宙飛行士がアメリカ人以外として初めて月面に着陸する こととなると発表したよ☆

(ここで日本人宇宙飛行士を紹介)

宇宙における日米のパートナーシップが、もっともっと将来にわたって続いていくことを期待しているよ。

最後にひとこと。

日本が米国の最も近い同盟国としての役割をどれほど真剣に受け止めているか、これをみんなに認識してほしい。

ボクたちは共に大きな責任を担っている。

日米両国は、平和にとって、自由にとって、 そして繁栄にとって、必要不可欠な存在なんだ(アメリカに世界秩序の責任を押し付けることなく、俺たち日本は共に世界を背負い、共に歩む覚悟がある)。

信念という絆で結ばれ、日本の堅固な同盟と不朽の友好をここに誓う。

「未来のためのグローバル・パートナー」。今日、ボクら日本は、アメリカのグローバル・パートナーであり、この先もそうであり続ける(日本はここまでしてるんだ、誇りあるアメリカがこれを裏切るなんてしないよな?)。

本日の御招待、みんなのおもてなし、そしてアメリカのみんなが世界で果たしている役割に感謝して終わるよ、ありがとう。

【総評】先の大戦「反省」触れず
(戦後レジームからの脱却)

私は今回の岸田首相の演説を受けて、「この漢が今、我が国の総理大臣として国を背負っているのか…!」と、もはや感動を覚えた。

まず第一に、岸田首相は今回の米議会演説において、「先の戦争の反省」について一切の言及をしなかった。

これは事前に報道されていた通りだ。

 岸田文雄首相は米議会の上下両院合同会議で11日に行う演説で、先の大戦に関する「反省」に言及しない方針を固めた。

(中略)

 外務省幹部は過去の歴史への「反省」に関し、「一区切りが付いている。今回の演説で触れることはない」と明言した。

岸田首相、先の大戦「反省」触れず
 米議会演説、日米貢献訴え|JIJI.COM
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2024040300943&g=pol#goog_rewarded)より引用

これと対比し、安倍首相(当時)は2015年の米議会演説において、以下のように触れている。

戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻みました。自らの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。これらの点についての思いは、歴代総理と全く変わるものではありません。

米国連邦議会上下両院合同会議における安倍総理大臣演説
「希望の同盟へ」
(2015年4月29日(米国東部時間))|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/page4_001149.html)より引用

私は安倍晋三支持者であり、日本首相として初めて上下両院合同会議演説を行い、"希望の同盟" と題して感動を呼び、日米の関係を世界に位置付けた安倍首相(当時)の演説を否定するつもりはない。

ただ、「安倍首相(当時)が触れた『先の大戦に対する反省』について、岸田首相は触れなかった」というのは事実であり、2015年から9年間、安倍政権、菅政権、岸田政権と移り行くなかで、"戦後レジームからの脱却" が進んでいることが窺える。

我が国は戦後の荒廃から復興し、為すべき謝罪と賠償を済ませ、今では経済・防衛ともに世界の一員として重要な地位を務めるようになった。

ナチス・ドイツを生み出したドイツや同じ枢軸国であったイタリアが今や国際社会の一員として活躍する現在、日本だけがいつまでも卑屈な姿勢を貫き、中国やその他反日的国家から謂れもない外圧を受け続ける必要などない。

日本に求められてるのは卑屈な姿勢ではなく、国際社会の一員として、誇りと責任をもって活躍する姿である。

それを、岸田首相は内外に示したのだ。

そしてその宣言は、大東亜戦争を戦う敵国であったアメリカの議会において、なんら責められることなく、反対に称賛を受ける結果となった。

そのうえで、岸田首相の米議会演説の内容を見れば、「アメリカに寄り添って頭を撫でながら、アメリカを鼓舞してケツを蹴り飛ばす」ものになっているように感じるのだ。

現在、アメリカでは「他国の争いに干渉せず、自国のことだけに集中しよう」という孤立主義、モンロー主義への回帰を主張する勢力が一定の力を持ち、ドナルド・トランプ前大統領が再選をすれば、国策としてその傾向が反映される恐れがある。

そうなれば日本をはじめとする西側諸国は「アメリカの力をにした安全保障」から一気に方向転換を迫られることになり、岸田政権は既にその方向で安全保障政策を転換しているが、台湾有事の危機が目前の今、アメリカの離脱を受け入れることはできない。

岸田首相はその孤立主義への回帰について、その主張を否定するわけではなく、根底にあるプレッシャーや痛みについて、「希望を一人双肩に背負うことがいかなる重荷であるのか、私は理解しています」と寄り添って見せた。

そのうえで、「米国のリーダーシップは必要不可欠」としてアメリカの功績を認め、「自由、民主主義、法の支配を守る。これは、日本の国益です」として、日本は国家意思として主体的に共に闘うことを示した。

「今この瞬間も、任務を遂行する自衛隊と米軍の隊員たちは、侵略を抑止し、平和を確かなものとするため、足並みをそろえて努力してくれています」と直接的に米軍を労い、かつ自衛隊を対等に並べた。

そして岸田政権が進めた具体的に安全保障改革を挙げ、「日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっています。 米国は独りではありません。 日本は米国と共にあります」と、直接的に「日本はアメリカの仲間であり、パートナーである」と示して見せた。

日米が「宗主国アメリカと属国日本」から『対等かつ強固なパートナー』へと変化したことを、アメリカの議会において、これ以上ないほどはっきりと示して見せたのだ。

そのうえ、岸田首相は中国を名指しで痛烈批判し、その横暴さと危機の存在を世界へとアピールしてのけた。

【中国を名指し】

「日本の近隣諸国に目を向けると、現在の中国の対外的な姿勢や軍事動向は、日本の平和と安全だけでなく、国際社会全体の平和と安定にとっても、これまでにない最大の戦略的な挑戦をもたらしています」

中国からのこのような挑戦が続く中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序や、 平和を守るというコミットメントは、引き続き決定的な課題であり続けます」

【中国を示唆】

「デジタル技術を通じた自由の抑圧も行われています。ソーシャルメディアは検閲され、監視され、そしてコントロールされています」(中国のインターネットはグレートファイアウォールによって中国共産党の管理下におかれている)

「経済的威圧や、いわゆる「債務の罠」外交と呼ばれる、国家の経済的依存を悪用し、 武器化する事例が増加しています」(「債務の罠」は中国の一帯一路構想を指す際に多く用いられる)

「私がよく申し上げているとおり、今日のウクライナは明日の東アジアかもしれません」(「今日のウクライナは明日の東アジア」は中国が目論む台湾侵略戦争=台湾有事を指す標語)

私は岸田首相を高く買っていると思うのだが、その期待を平然と、簡単に超えた成果をあげてくる岸田文雄、ここまで痛快な総理大臣は他にいないと言えるだろう。

米議員の反応

この演説について、産経新聞は以下のように報じている。

トランプ前大統領が所属する共和党

ステファニー・バイス下院議員
「米市民が聞く必要があるメッセージだ」

フレンチ・ヒル下院議員
「米国のリーダーシップは不可欠だが、米国だけでやる必要はない」とのメッセージは、「米外交が80年もの間望んできたものだ」
「見事な演説で素晴らしかった」
「日米の安全保障、外交、経済における関係は力強い超党派の支持で築かれている」

マイク・ジョンソン下院議長
「安全で安定したインド太平洋地域に向けたビジョンを聞けて光栄だ」

バイデン現大統領が所属する民主党

クリス・クーンズ上院議員
「われわれ(議会)は今、政治的な分断や相違を抱えている」
「非常にタイムリーで力強かった」

シーラ・ジャクソン・リー氏
「これまで聞いた日本の指導者の演説で最も印象的だった」

➢ 岸田首相演説を米超党派が称賛 国際秩序に貢献「待望のメッセージ」、16回立ち上がり拍手|産経新聞

また、演説後数十分にわたって握手とサインを求められ、議場を去ることができなかった様子も報じられている。

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【初】日米比初の首脳会談

2024年4月12日、アメリカの首都ワシントンで行われた日米比首脳会談は、この3ヶ国での初めての首脳会談となった。

まさに歴史的な瞬間である。

 我々、日本、フィリピン及び米国の首脳は、本日、三か国間で初めての首脳会合のために会談した。三つのインド太平洋の海洋民主主義国家として、日比米三か国及び我々が代表している5億人の国民は、歴史的な友好の絆、強固で成長している経済関係、そして自由、民主主義、人権の尊重及び法の支配という共有された基本的価値に対する誇り高く確固たるコミットメントによって互いに結ばれている。我々は今日、対等なパートナー及び信頼できる友人としてワシントンに集い、自由で開かれたインド太平洋と国際法に基づく国際秩序という我々が共有するビジョン、つまり、今後数十年にわたり、 共に発展させていくことを誓うビジョンによって団結している。我々は、協働することによって、我々自身の国々、インド太平洋地域、そして世界の安全と繁栄を促進できると根底から信じている。

日比米首脳による共同ビジョンステートメント(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652839.pdf)より引用

フィリピンが日米を頼りに一帯一路構想(中国が中心の枠組み)から離脱すると発表して以降、日米比の結びつきが急激に強化されるようになった。

昨年に岸田首相がフィリピン議会で演説(日本首脳として初)を行った後、多くの方々に囲まれて議会を去ることができなかった姿は記憶に新しい。

そして日本はフィリピンへレーダーを納入しており(我が国初の完成防衛装備品移転 OSA1例目)、日比準同盟への議論を開始、日米比での安全保障協力が強まることとなった。

【大転換】日米比で安全保障協力を強化
(対中国包囲網)

我々は、海洋協力を促進するための協調と集団的対応を強化するため、日比米海洋協議の立上げを発表する。

日比米首脳による共同ビジョンステートメント(仮訳)|外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652839.pdf)より引用

我々は、先日完了した日本、フィリピン、米国及び豪州間の海上協同活動のような、日米比三か国間及びその他のパートナーとの間の海軍種間の共同訓練・演習を通じ た協力や、フィリピンの国防近代化の優先事項に対する米国及び日本の支援を連携させ ることにより、三か国間の防衛協力を推進することを決意する。我々は、2025年に 日本周辺において海上における訓練を実施することを予定している。

日比米首脳による共同ビジョンステートメント(仮訳)|外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652839.pdf)より引用

日米比首脳会談では、中国による南シナ海での横暴や、東シナ海での「一方的な現状変更の試み」について深刻な懸念を共有したうえで、海洋安全保障分野での協力を強化していくことで一致した。

これまで「中国寄り」とされてきたフィリピンだが、中国の一帯一路構想から脱退するのみならず、我が国およびアメリカとの協力を強化する方向へと舵を切ったことになるわけだ。

私はこの動きを歓迎すると共に、フィリピンに働きかけ、機を逃さなかった日米両政府の動きを支持する。

年内にも南シナ海で日米比共同訓練
(防衛力・抑止力の強化)

また、今後一年以内に、日米比三か国の海上保安機関は、相互運用性を向上し、海洋安全及び保安を推進するため、インド太平洋において三か国間海上 合同訓練及びその他の海上活動を実施する予定である。

日比米首脳による共同ビジョンステートメント(仮訳)|外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652839.pdf)より引用

日米比の3ヶ国は首脳会談において、年内にも共同訓練を行う方向を示した。

前節においてご紹介した安全保障枠組みの一環として、米比両軍の南シナ海での共同訓練またはパトロール活動に、日本の海上自衛隊も参加する方針だという。

中国が台湾有事を目論み、南シナ海への進出(軍事拠点化)を進めている現状において、共に中国の隣国である日本とフィリピンの連携を強め、そこに日本と同盟関係にある軍事大国・アメリカが噛むことは、明確に抑止力を強化することになり、連携が強化されることは防衛力の強化に繋がる。

また、沿岸警備隊レベルでは、2023年6月に3カ国合同訓練(日本からは海上保安庁が参加)を行っている。

日米比で重要鉱物サプライチェーン強化
(対中国包囲網)

日本、フィリピン及び 米国は、重要鉱物資源のための強じんで信頼できるグローバル・サプライチェーンを促進する方法として、三か国全てにおける重要鉱物資源産業を支援する。

日比米首脳による共同ビジョンステートメント(仮訳)|外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652839.pdf)より引用

日米比の3ヶ国は、首脳会談での共同声明にニッケルを含む重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強化を盛り込んだ。

ニッケルは電気自動車(EV)の電池等に使われる重要な鉱物で、中国が獲得を強化している。

これに対し、世界有数の生産国であるフィリピンと日米が連携することにより、安定供給の確保を目指す形だ。

かっこええなおい(笑)

「日比米首脳による共同ビジョンステートメント」の最後の言葉が以下だ。

本日、日米比三か国の新たな三か国協力の章が始まる。

日比米首脳による共同ビジョンステートメント(仮訳)|外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652839.pdf)より引用

かっこええなおい(笑)

中国が公使を呼び出しブチ切れ
(キシダは媚中!)

中国外務省は12日、日米フィリピン3カ国による11日の首脳会談などを巡る日本の対応が「後ろ向きだ」と抗議した。同省の劉勁松アジア局長が在中国日本大使館の横地晃首席公使を呼び出し「深刻な懸念と強い不満」を伝えた。

中国、日米比首脳会談に抗議
 日本の首席公使呼び出し|日本経済新聞
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1293Z0S4A410C2000000/)より引用

「キシダは媚中」「キシダは習近平の犬」というのは、日本保守党周辺を中心に未だに根強い主張だが、これが "犬" なら習近平・中国国家主席はあまりに間抜けだろう。

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おわり

非常に長々と書いてしまったが、岸田文雄が仕事ばかりしやがるので仕方がない。

本記事を見てもわかるように、岸田政権は国民の命を守るため、支持者ですら把握が追いつかないレベルの実績を上げている。

無論、時代の後押しがないとは言わないが、事実に基づいて岸田政権を評価する者の中には、「国民から絶大に支持され、憲政史上最長の政権を務めた安倍晋三を超えている」と評する者もいるほどだ。

これでもまだまだ一部である。

冒頭においても述べた通り、本記事は「【無料】岸田首相の正体~"媚中"か"検討使"か"増税クソメガネ"か~|政治初心者の教科書(2024/04 日米・日米比首脳会談追記)」より一部を抜粋したものであり、ぜひこちらもご一読いただきたく思う。

また、岸田首相についてまとめている方は、note にも X(旧Twitter)にも多くいる。

公的ソースも多くネットに公開されている。

ぜひ、お調べになっていただきたい。

P.S. 國神からのお願い

最終的に約30,000字の記事となってしまいましたが、お付き合いをいただきありがとうございました。

私は俗に言う "オタク気質" であり、そのうえ政治に関心が強いものですから、岸田政権についてネチネチとファクトを調べ、公式発表や一次情報にあたり、正確に岸田政権を評価できるようになりました。

しかし、多くの有権者のみなさんはお忙しく、また政治に強い関心がある方も少なく、ファクトチェックに手が回っていない方も多くいらっしゃるものと思います。

そのような方に事実をお伝えすることができればと、本記事を執筆いたしました。

ですが、noteには広告収入の形式がなく、本記事がいくら読まれようと私には一銭も入りません。

もちろん、自身の収益は二の次であり、儲からずとも日本のために筆を握る所存です(そうでなければ岸田支持の記事など書かない)。

とはいえ、私もただの21歳。

食っていくことができなければ、このように情報を集めてお届けすることが困難となってしまいます。

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