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連載長編小説『仙の道』全編+あとがきまとめマガジン

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連載していました長編小説『仙の道』をマガジンにまとめています。 『龍』をテーマにしたファンタジー小説です。
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記事一覧

仙の道 1

『この物語はフィクションであり、登場する人物、団体は全て架空のものです』 第一章 『出』 …

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仙の道 2

第一章 『出』(2) 翌早朝、礼司は階下に鳴り響く電話の音で目を覚ました。階段を降りると、…

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仙の道 3

第二章『転』(1) 荒木は親しい不動産業の知人に頼んで、短期の仮住まいに都内の小さなアパー…

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仙の道 4

第二章・転(2) 正月には、久し振りに佳奈が戻ってきた。時々電話で近況を伝え合ってはいた…

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仙の道 5

第三章・醒(1) 2日後、仕事中に戸枝から連絡があった。 『どう?少し何とかなりそうですか?…

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仙の道 6

第三章・醒(2) 食事を終え、アパートを出ると、2人は急ぎ駅に向った。 「すいません。付合わ…

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仙の道 7

第三章・醒(3) 翌日、戸枝から昼前に連絡があった。昼休みに、駅前のファミリーレストランに出てこられないかという相談だった。自分の休憩は一時からだと伝えると、その時間に待っていると言った。 戸枝は、最初に会った時と同じ窓際の席で、コーヒーをテーブルに置いて待っていた。 「すいません…お待たせしちゃいました?」 「いや、俺が勝手に少し早めに来てたんだ。おう、昼休みだろ?昼飯頼んでくれよ。ここは何が旨いんだ?」 「この店は、日替わりランチですね。一番安くておかずも多いし、あ、コ

仙の道 8

第四章・散(1) あれ以来、戸枝は春田家の食卓に度々訪れるようになった。 戸枝と3人で囲む夕…

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仙の道 9

第四章・散(2) 結局、戸枝は渋々礼司の同行を認めてくれた。取り立てに行く先は市内の小さな…

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仙の道 10

第五章・流(1) 病院の事務長は快く戸枝の相談に応えてくれただけでなく、2人が当分の間身を…

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仙の道 11

第五章・流(2) 礼司が飯場での生活に慣れるのには、それ程長い時間は掛からなかった。 この…

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仙の道 12

第六章・佼(1) 食堂で昼食を済ませると、礼司は社長の雄次から部屋に呼ばれた。部屋には既…

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仙の道 13

第六章・佼(2) 「じゃ、僕、行ってきます」 「何かあったら俺たちも出て行くからよ」ドアに…

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仙の道 14

第六章・佼(3) あの日以降、成和会からのアプローチは何もなかった。飯場はいつもの平静を取り戻していたが、荒木、戸枝、礼司の3人は、念のため暫くの間現場の作業から外されることとなった。 3日後の午後のことだった。暇を持て余した礼司と戸枝は、いつものように外でキャッチボールをしていたが、礼司のボールをキャッチした戸枝が、突然怪訝な表情でフォームを止めてしまった。目を細めて、礼司の肩越し遥か向こうを見つめている。 「イサオさーん!どうかしたんですかあ?」戸枝が見つめる後方を振