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#124 「ビジネス頭の体操」 今週のケーススタディ(11月16日〜20日分)

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


11月16日(月) 少子化の中での幼稚園経営は?

1876(明治9)年のこの日、日本初の官立幼稚園である東京女子師範学校附属幼稚園(現在のお茶の水女子大学附属幼稚園)が東京・神田に開園したことにちなんで「幼稚園記念日」とされています。

未就学児が通うところは大きく分けて、幼稚園と保育園があります。
日本が直面する人口減によるマーケット縮小、という点では、いわば最も最初に影響にさらされている事業者の一つと言えます。

まず、出生数ですが、第2次ベビーブームと言われた1973年に200万人を超えていたものが、2019年には半分以下の86万人に減少しています(出典:厚生労働省「人口動態統計」)。

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次に今回テーマの幼稚園児の推移です。
先程出生数でピークだった1973年(昭和48年)生まれの子供が4歳になる昭和52年頃をピークに出生数と同様に減少しています(出典:文部科学省「学校基本調査(令和元年度)」)。

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なお、未就学児が行く施設として保育園もあるのですが、今回調べて認識したのですが、幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省と所管が分かれているんですね…ちなみに、新たにできた認定こども園は、両省が所管とのことです。

というわけで網羅的な分析資料が少ないのですが、「少子化対策白書」から、2014年(平成26年)と、2018年(平成30年)とを比較できる資料を見つけましたので載せておきます(上が2014年、下が2018年)。

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簡単に比較すると、
●未就学児は、631.2万人から592.7万人(-6.1%)
●幼稚園児は、155.9万人から120.9万人(-22.5%)
●保育園児は、226.5万人から216.3万人(-4.5%)
●認定こども園児は、0から59.8万人(新設)
となっています。

どうやって集客(?)をするのか、差別化難しそうですが、運動能力に重きを置いたり、英語教育に力を入れたり、で差別化を行ったり、しているようです。

地理的に狭い範囲をマーケットとしますので、口コミが非常に重要になりそうです。

→仮に幼稚園経営のコンサルティングを依頼されたとして、どのような指導ができるか?


11月17日(火) 棋士の収入源は?

日本将棋連盟が1975(昭和50)年に制定した「将棋の日」です。
江戸時代、将棋好きの8代将軍徳川吉宗が、この日を「お城将棋の日」とし、年に1回の御前対局を制度化したことが由来です。

最近では藤井聡太棋士の活躍で注目されています。
また、ネット中継などでも人気のコンテンツとのことで収入も増えているのだろう、と思います。

調べてみると、日本将棋連盟は棋士たちが運営している団体であることが分かります。プロ競技、というと、運営する経営やマーケティングのプロたちがいて、競技者はその中で動いている、というイメージがありますが、将棋は違うんですね。

日本将棋連盟のHPには情報公開ページがあり、収支報告が公開されています。

これをみると、収入は28億円程度で、その大部分を占めるのが、棋戦契約金収益(17億円)。その他契約金も合わせると20億円になります。次いで、フォーラムなどの普及収益が4億円弱、盤駒、扇子、書籍などの売上収益が2億円となっています。

その一方で、支出は対局料10億円弱、賞金3億円弱が大きくなっています。

正会員が243名となっていますので、単純に対局料を一人当たりで割ると約4百万円となります(棋士の方の収入をこのように考えていいのか分かりませんが)。

→棋士の収入を今の倍に増やすにはどんな方法が考えられるか?


11月18日(水) 日本の建設投資はGDPの1割!?

土木学会、日本土木工業協会等が建設省(現在の国土交通省)の支援で1987(昭和62)年に制定した「土木の日」です。
1879(明治12)年に工学会(日本工学会の前身)が設立され、また、「土木」を分解すると「十一」「十八」になることから、とのことです。

土木、そもそもどれくらの市場規模あるのでしょうか?

調べてみると、国土交通省が毎年「建設投資見通し」というものを出しています。これは「建設投資の影響が極めて大きい」ことから1960年度から公表されているものだそうです。

どれくらい影響か、というと、国内総生産に占める建設投資の比率の推移がありましたので載せておきます(出典:「令和2年度建設投資見通し」)。

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以前に比べシェアは落ちたとはいえ、2018年度実績で548.4兆円のGDPに対し、10.1%の55.5兆円もの規模です。

ただ、今回は土木がテーマです。
2020年度の構成で見ると、土木は4割を占めていて、ほとんどが政府によるものです(出典:同上)。

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さて、建設業界ですが、少し長期の推移がありましたので掲載します。
(出典:国土交通省「建設業界の現状とこれまでの取り組み」

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今後については様々な見方があるようですが、土木ということでは橋やトンネル、道路といったインフラの更新需要があることから今後急激な落ち込みはないようです。

一方で、就業者の高齢化と若手の就労が少ないことによる人手不足が問題とされているようで2025年には約50万人の不足が予想されています。

この辺りが、機械化、自動化が難しいとされてきた業界で急激に技術開発が進められている背景にあるのでしょう。


→土木工事のほとんどは政府によるインフラ関連。今後、更新時期が到来するが、予算に限りがある中で費用を抑制するにはどのようなことが考えられるか?


11月19日(木) トイレは成長産業?

世界のトイレを研究しているシンガポールのJack Sim氏が設立したWorld Toilet Organization(世界トイレ機関、WTO)が制定した、世界トイレの日(World Toilet Day)です。2013年7月24日の国連総会で、国連の記念日として実施することが決議されたそうです。

なんで国連が?トイレ?と疑問ですが、世界では3人に1人がトイレを使えない状況です。排泄物には病気の原因となる細菌が含まれており、特に免疫力の弱い子供たちが命を落とすことがあり国際機関も力を入れているのです。

さて、そのトイレ、ですが、業界としては「衛生陶器」と呼ばれるそうで、日本では約1,600億円規模の市場があり、おなじみTOTOとLIXILとで市場の9割を占めています。ちなみに残りの1割はパナソニックです。

現在でも成長しており、最大の要因は、温水洗浄便座や節水、タンクレスといった高機能化です。

世界的には、たとえばイギリスでは便器はバスと一緒に設置されることから、感電の恐れがある温水洗浄便座は規制で設置できないそうですし、国によっては、水質の問題で使えない、というところあるそうで、日本ほどの高機能化はされていないのが現状です。

一方で、一度体験すると欲しくなる、というもののようで、日本で体験した中国人によって中国でTOTOが高級品として憧れになった、というニュース、ご記憶の方もあろうかと思います。

また、今般の感染症により、衛生意識が高まることも追い風でしょう。

そうしたことを背景に、世界の衛生陶器の市場は、2020年の321億ドルから2025年には446億ドルへと、年6%を超える成長をするとの予想もあります。

衛生陶器のように、今回の感染症による意識の変化で、日本では当たり前なものの、世界ではまだ普及がされておらず、今後成長が期待できる商品は何か?


11月20日(金) 日本の子供は幸せか?

1954年の国連総会で制定された、世界こどもの日(Universal Children's Day)です。1959年に「児童権利宣言」が採択された日に由来します。
国連では各国政府が適当と考える日を選んで子供の世界的な相互理解、子供の福祉を増進させるための活動日に当てるよう勧告しており、日本では「こどもの日」の5月5日を当てているそうです。

今回、ユニセフ・イノチェンティ研究所が今年9月3日に発表した「レポートカード16ー子どもたちに影響する世界:先進国の子どもの幸福度を形作るものは何か」をご紹介します。

改めてレポートを読むと(ユニセフのWebページで詳しく解説されています)当時報道で取り上げられた、「精神的幸福度が38か国中37位」、という以外にも調査があるのですが、いろいろと「パラドックス」な結果になっています。

その点に言及した部分を以下、引用します。

日本は子どもの幸福度(結果)の総合順位で20位でした(38カ国中*)。しかし分野ごとの内訳をみると、両極端な結果が混在する「パラドックス」ともいえる結果です。身体的健康は1位でありながら、精神的幸福度は37位という最下位に近い結果となりました。また、スキルは27位でしたが、その内訳をみると、2つの指標の順位は両極端です。

また、話題になった幸福度もそうですが、日本の子供の貧困率に驚きます。

なんと、約18%もあるのです

定義は、「世帯所得が中央値の60%に満たない世帯に暮らす子供の割合」です。つまり世の中一般の6割未満の収入で暮らす子供が18%いる、ということです。

このあたりについてはユニセフのWebページをご一読頂きたいと思いますが、想像以上に格差が広がっていて、それがそのまま子供に影響しているということが起こっています。

少し前に、東大生の親の年収は平均に比べ大幅に高い、という記事がありました(東京大学が毎年実施している調査によるものです)。

こうした格差は親から子に世代を超えて引き継がれ固定化されてしまう危険がある、とも言えます。

待機児童の問題も確かに重要ですが、子供の貧困、幸福度といった問題も非常に難しいですが重要な問題です。

→某医学部では男性が優遇されていたなどの問題もあった。今後の日本を考えるとどのような入試制度が望ましいか?その実現にはどうするのが良いか?
→子供の貧困に対して公的支援だけでなく、民間で仕組みとしてできる支援は考えられないだろうか?


非常に重い問題が最後に来てしまいましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。

過去分はこちらにございますので、ご興味あればぜひご覧ください。


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