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共感力のある職場を作りたい#6~話すときに緊張するのは良いことだ

私の職場では事業計画を担当していますが、職場力向上のキーワードとして「共感力」を掲げて活動しています。

今までの記事は以下をご覧いただけると嬉しいです。

今までは、私の担当する課の中でお互いの業務を紹介しあう中でまずは話を聞き、頷いたり質問するといった反応をすることで「共感する練習」をしてきました。それによって自分自身の内省につながり、様々な気づきを得てきました。

製造現場へ相談に行くことになった

そんな折、若手を連れて工場の現場に行くことになりました。
いま、事業の利益が非常に苦しい状況で、様々な改善活動を行っておりますが、なかなか現場を巻き込めていない、という問題がありました。

現場では設備を修繕したり、油を買うなど日々経費を使っていますが、当然、台数を計画通りに生産する、不良を出さない、といったところが最優先であり、経費の実績を分析するようなことはできていませんでした。

もちろん現場にも各ラインで使った経費の実績データはありますから、現場の方にも経費の分析をしていただき、無駄を発見して改善につなげてほしい、という期待値は常にあります。

しかし、数字が並んでるデータを見て無駄に気づくほど単純ではないですし、分析スキルも人それぞれです。

私たちは事業計画として、情報・事実を現場まで全員で共有できるようにしていくことと、そのデータを同じレベルで活用できるようにしていきたいと考えており、今回は現場の方と「経費データをどのように見れば改善の切り口や気づきを得られるか」という議論をしに行くことにしたわけです。

さあ、どうやって話を切り出そうか。

やりたいことは明確です。
いま、数字が並んでいるだけの経費データを現場と共有して、課題を抽出したい。その知見を広げたい。
そのお願いをしに行こうとしています。

それだけ、なのですが、私も、若手も、すごく緊張しました。

なぜなら、どのような反応が返ってくるかわからないからです。

他人のことはわからないと自覚するからこそ緊張する。

自分たちが伝えたいことは明確。

でも、相手にとって、そのことがどう伝わるか、どう捉えられるかはわからない。

「また管理しようとして仕事を増やしに来たな」

と思われるかもしれない。

私の部署の上司の人たちは「緊張なんてしないよ」と言います。

なぜなら、「自分たちが言いたいことをしっかり伝えればいいだけじゃないか」というわけです。
「だって、自分たちがやろうとしていることは正しいんだから、自信もって話せばいいだけだよ」

はたしてそうでしょうか。

私はそう思いません。

なぜ、自分がやろうとしていることが正しいと言えるのでしょうか。それを伝えることができると言えるのでしょうか。

もっと言うと、なぜ、自分がやろうとしていることが「相手にとって」正しいと言えるのでしょうか。

もちろん、事前に色々想定はしています。
しかし、相手は人間ですし、自分の想定はあくまで想定。それが事実であるわけではありません。事実と思い込んではいけません。

ですから、「相手にとっても正しい”と思う”」理由は事前に明確にして、それを伝えるように努力はすべきですが、それに対してどう思うかのフィードバックはもらわねばいけません。

そのフィードバックは自分が事前に想定していることと違う可能性があることを理解しているから、怖くて緊張するのだと思います。

緊張は共感する準備ができているサイン。

緊張するということは、相手が自分の想像できない反応をする可能性を認めているということです。

そこまでできているのですから、自分が想像できない反応をしてきたら、それを受け入れ、共感すればいいのです。

共感というのは、決して相手と同じ意見を持つという意味ではなく、「そのような意見があることを受け入れていることを相手に示す」という意味だと思っています。

緊張しない人は、相手が自分の想像していない反応をしてきても、気に留めず、受け流し、自分の主張を繰り返します。

結果、相手の合意を得られず、何も動けず、成果も出ません。

私も若手もビビッて緊張していましたが、「まあいいじゃないか、なんか言われたらしっかり聞こう、意見を言ってくれれば成功だ」といって現場に行ってきました。

緊張できるということは前に進められる兆候だと思って前向きにとらえていくべきと思っています。


この現場との取り組みは、実は非常に議論が盛り上がりました。そして、前に進みだしているのですが、その話はまた別途したいと思います。

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