見出し画像

インドに4ヶ月滞在して学んだ格差をなくすために必要な4つのこと

インドに来てから4ヶ月半が経ち、明日でインドの活動が終わりになる。
日本にいたら気付けなかったこと、学べなかったことがたくさんあったので忘れないために4ヶ月間の振り返りを書いてみます。
面倒くさい国だなと思うことはあったけど、いざ離れるとなると少しだけ寂しさもあります。

・インドに来た目的

インドのNGOで活動すると決めた目的は1つだけで、
「格差がなくならない原因に気づき解決策を見つけること」です。
僕はどんな環境で生まれた人でも自己実現できる世界を作ることが将来の目標です。
孫正義さんの言葉で言うと『志』ってやつです。

以前、孤児院を訪れた時に親がいなくて学校に行けない人を見て
生まれた場所が違うだけなのにやれることの幅が違うのはとても不条理だなと感じていました。
社会人になる前に自分に何ができるのか、自分の中で納得できる解を見つけたいと思いインドに来ました。
インドは凄まじい経済発展を遂げている一方で貧困の人たちは未だにそこから抜け出せていないことを知ったからです。

・目的に対してインドで学んだこと

当初の予定ではインドの無料で教育を提供しているNGOで働く予定でした。
具体的には、先生方の教え方や能力が少しでも高まれば生徒たちの知識が身について、将来やりたいことをやれると考えていました。
「教育の質」が向上すれば格差もなくなるし誰もが自己実現できる世の中になるに違いないと思っていました。
教育を万能薬のようなものだと思っていたのです。

しかし、実際にNGOを訪れ先生やNGOの職員に課題は何か、先生として何を意識しているのかヒアリングしていたところ、自分の仮説に間違っていることに気がつきました。
先生の熱意も高く、教育の質は思っていたよりも高い。
その現状に1ヶ月ほどたってから気づき、それからの期間は他のNGOや学校を訪れどうすれば格差はなくなるのかフィールドワークを重ねていきました。

その結果、僕が必要だと思った要素は次の4つです。

「お金」「ノウハウ」「情報」「雇用」

どんなに教育の質が高くても生徒にお金が足りないため、大学まで進学できない人がいる。
それ以上に驚いたのが、生徒だけでなく先生、そしてNGOもお金が欠如していたことです。
先生の給料はたったの毎月5000円ほど。もし、外食するとインドでも1食100円はかかります。みんな農地を持っているので食事には困っていないかもしれないですが、生活するためのお金が先生には足りてなかったです。

何でNGOにお金が欠如しているか、僕は2つ理由があると考えています。
1つは日本からの寄付で財政が成り立っていること。これによって継続性がなく、常にお金が集まる保証がない。
2つ目は組織を運営するためのノウハウを持っていないことです。大学まで通った人がほとんどNGOにいないため、会計の知識やファンドレイジングの知識を持っている人がいなかったのです。これによって、日本のNGOを頼るしかなくお金が欠如してしまっている現状です。
もし、これらのノウハウを持っている人が1人でもいれば財政を立て直せるのではないかと思いました。

また、インドの田舎には、子供達が将来何をするか決めるための情報が足りてないと感じました。
スマホは普及していてインターネットを使うことはできるのですが、僕のいる地域は田舎の農村部であるため会社は全くなく、イベントや講演会はないです。また、この土地に住む大人たちも他の都市へ行ったことのない人がほとんどの割合を占めているため外部からの情報が入ってきませんし、教えてくれる人もいません。
どんな職業があり、職に就くためにはどんなことを学べばいいのか等。そのため、親のやる仕事を引き継ぐか身近にある仕事につくしかないと感じました。

さらに、会社や工場がないため雇用が全く生まれてません。そのため、職が少なく収入を得る手段がほとんどないです。もし、大きな工場があればそこで働き収入を得る人も増えるのになと感じました。
会社が生まれない理由は、沿岸部でないことや昔マフィアが住んでいた地域であるため集まってこないそうです。また、新しく会社を興そうとする人もいないので現状ここは難しい問題です。

ただ、「お金」「ノウハウ」「情報」「雇用」が揃えば間違いなく格差は収斂されていき、誰もが自己実現していく世界に近くのではないかと思ってます。これが4ヶ月で気づいた一番大きいことかもしれないです。

・その他で学んだこと、感じたこと

留学の目的以外で僕が感じたことも幾つか記載していきます。

1つ目は現地を訪れて調査する重要性です。
僕は日本で貧困や格差をなくすために何が必要か勉強すると教育が大事だとされているものが多く、そう思い込んでいました。
ただ、実際に貧困と呼ばれる地域を訪れると上記で述べたように教育以外の課題が見えてきました。(もちろん前提として教育はとても重要です)
思い込んで現実を確かめずに行動することが意味のないものになってしまうことに気付けて良かったです。

2つ目はNGOで働く職員や先生方に刺激を受けたことです。
20代の若いうちに生まれ育った地域の貧困をなくそうとNGOの代表は決意して学校を創設しました。他のNGOも年齢関係なく大きな理想を掲げて行動しています。
僕も社会人になって数年力をつけてからいつか、自分の理想のために行動を起こそうと思っていました。
だけども、インドで活躍する人たちを見て
「なぜ今すぐ行動しないのか」
そんな風に自分の中で疑問が浮かんできました。
いつかとか数年後ではなく、今すぐに理想のために行動する覚悟が生まれたのが良かったです。帰国したら行動に移す。

・今後やりたいこと

来月から2ヶ月、ベトナムに行きNGOの施設と大学で日本語を教える予定です。
インド1つではなく他の国が抱えている課題は何なのか知り、複数の地域に対して意味のある行動を移していきたいと考えているからです。
ベトナムにいってから、また違う現実を知り計画を変更しているかもしれないですが。

とりあえず、1年間卒業を遅らせて自分が本当にやりたいことは何か考える時間をとって良かったなと思ってます。