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汐見龍暁(経済金融翻訳家):仏政府給費留学生、金融機関勤務を経て、西仏伊英の経済金融翻…

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汐見龍暁(経済金融翻訳家):仏政府給費留学生、金融機関勤務を経て、西仏伊英の経済金融翻訳家・講師。「英語=外国語」というステレオタイプを超えた多言語の視点から「なんとなく」「フィーリング」英語(外国語)とは正反対の徹底的に「深める」講座で、わかる、通じるワクワク感を広めています。

最近の記事

英語の冠詞を使い分けるコツ ─ 定冠詞の場合

冠詞について、学校英語では、「初めて出てきた名詞には不定冠詞(aまたはan)を、2度目に出てきた場合には定冠詞(the)を使う」と説明されます。が、これから説明してきますが、実際に冠詞を自分で使う場面となると、こんなとても簡単な説明だけでは、分からなくてもしょうがないと言うのが実情です。 ということから、まず、今回は「定冠詞」について掘り下げてみようと思います。というのも、定冠詞には、じつはいろいろな使い方があって、不定冠詞よりも複雑だからです。ここがわかると冠詞の難しさ、

    • 英語の冠詞はなぜ難しいのか? ─ 冠詞の本質を理解するには(1)

      今回の記事では、英語の最大難関のひとつ、冠詞について見ていきます。実は、たかが冠詞ながら、されど冠詞です。冠詞の扱いひとつで、現在まで尾を引くような重大な外交問題に発展することすらあります。この記事の目標は、冠詞(無冠詞を含む)の使い分けの本質について明確にすることです。 冠詞が難しい3つの原因 冠詞が難しい原因は3つあると考えています。 まず、一番目の理由は、あたりまえかもしれないですが、冠詞は日本語にないからです。これもあって、ときに「日本語にするときにはいちいち訳

      • 【上達には法則がある】もちろん外国語の上達にも…という話

        前回の記事では、「臨界期仮説」をとりあげて、外国語の習得にとって年齢は決定的ではないことを紹介しました。それならば、開始年齢以外になにが大切になってくるのでしょうか? 今回は、上達のために必要なのはなにか?もしかすると、法則みたいなものがあるのではないか?について考えていきたいと思います。と言いますのも、 ほんとうに法則があるのであれば、知って利用しない手はありません。 まず、この点に関して、外国語だけに限った話ではないものの、岡本浩一先の『上達の法則』(PHP新書、20

        • 外国語習得と年齢に関係はあるのか?「臨界期仮説」の神話

          外国語は子どものときからやらなければマスターできないのでしょうか? 今回の記事では、外国語を身につけるのは、おとなになってからだと手遅れなのか?やはり、子どものころから、早く始めるしかないのか?についてとり上げます。 もはや小学校からは当たり前、幼稚園から英語漬け? まず、世の中の状況を見ますと、2020年度からは「英語」が小学校の5年、6年の教科として成績が付くようになりました。これまで5年、6年でやっていた「英語活動」は、さらに3年、4年に下がり、小学校によっては、1

        英語の冠詞を使い分けるコツ ─ 定冠詞の場合

          文字の発明とビジネスの深い関係/言葉を学ぶ意味/ギルガメか借パク防止か?

          人類最初の文字の発明は、紀元前3400年ごろの古代メソポタミアの楔形文字と言われています。この文字で書かれた代表的なものと言えば、かの有名な「目には目を」のハンムラビ法典か、それとも、別の方面の方々には、世界最古と言われる『ギルガメッシュ叙事詩』を思い出す方もいるでしょう。 外国語を身につけることについて考えるこのnote記事ですが、今回は、なぜ、古代メソポタミアで人類最初の文字が発明されたか?ということと、現代において外国語を身につける「意味」について触れたいと思います。

          文字の発明とビジネスの深い関係/言葉を学ぶ意味/ギルガメか借パク防止か?

          「文法学」と世界を正確につかむ力/リベラルアーツの本質

          「文法」って聞くと、「やだなー」と感じる人は多いです。ポジティブに捉える人は少ないでしょう。「コミュニケーション重視」の現代英語教育においては、なおさら、文法は目の敵になっているとすら言えます。そんななかで、今回は、文法学が、自由人が世界を的確に見るための訓練だったというお話をご紹介します。 さて、すこし話が変わります。ビジネス界隈で続いている「教養」ブームですが、この教養という考え方のルーツ、といいますか、理想形として、ほんとうにしばしば引き合いに出されるのが、古代ギリシ

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          「比較級」でなぜ躓くのか? それは文法がハイブリッドだから

          西仏伊語に比べて英語の難しさについて、前々回は①綴り字と音、前回は②語彙についてそれぞれ書きましたが、3番目は文法です。前回の語彙がハイブリッドで難しいことと同様に、英文法も似たような事情でややこしくなっている面があります。 すぐに思い浮かぶ例は、比較級・最上級のつくり方です。 もともと、外国語習得では「日本語になくて、外国語にあるもの」は、習得が難しい、いわば「鬼門」になります。比較級・最上級もこのひとつです。 本来、日本語になかった文法表現であるばかりか、なんと!形

          「比較級」でなぜ躓くのか? それは文法がハイブリッドだから

          英単語を身につける上でぶつかる大きな壁 "Lexical bar"

          もし、仮にですが、中学でドイツ語の単語をある程度覚えて「やれやれ」と思っていたところ、高校になって「じゃあこれからフランス語の単語を覚え直してください」と言われたらどうしますか? 「とんでもない!」と思うのがふつうでしょう。 英単語の暗記で「いつになったら終わるのだろう?」と途方に暮れた経験をした人が多いなら、もしかすると"Lexical bar"にぶつかっているからかもしれません。 いろいろな歴史の偶然が重なって、いまや国際実用語となった英語。国際実用語には向いていな

          英単語を身につける上でぶつかる大きな壁 "Lexical bar"

          他にない英語特有の難しさ 似たような西仏伊語から見ると、、、

          私自身は、なにか物事を始める時に、難しいなら事前に言って欲しいというタイプなので言いますが、英語はかなり難しい、と言うか、やればやるほど「キリがない」「ゴールがだんだん遠くなっていく」感じがします。もちろん、西仏伊語がメイン、英語は依頼があればサブで仕事をしている状況ですから、もっぱら西仏伊語との比較となりますが、、 なので、多くの人が英語で挫折するとしても、ある意味、自然なことで、少なくとも自分を過度に責める必要はないと考えています。 前回の記事で、さらっと「英語は複雑

          他にない英語特有の難しさ 似たような西仏伊語から見ると、、、

          外国語上達も「訓練とルールとリハーサルで決まる」

          しばらく外国語上達にまつわる「都市伝説」シリーズにしようと思っていましたが、読んでいた本で、偶然、外国語上達の本質をずばりと突いたくだりに出会いました。どおりで文法と語彙だけでは、使えるようにならないはずです。 外国語を読むのも、聞くのも、書くのも、話すのも、いつもとっさの判断の連続です。いざしゃべろうとしても言葉がでてこない、間違った単語、用法を使ってしまうとか、逆に、試験で散々迷って選んだのに不正解で、最初にパッと浮かんだ方が正解だったなんてことは、あるあるです。 で

          外国語上達も「訓練とルールとリハーサルで決まる」

          外国語が身につく、上達するって?

          「外国語が上達する」ってどういうことなのでしょう? もともと文を作って言葉を操り、コミュニケーションができるのは、人に独特の能力です。チンパンジーも、単語を少し並べることまではできますが、これを組み合わせて文を作ってコミュニケーションをすることはできません。ここ数千年来の文明や文化、近代の科学技術の発展も、人のこの能力がなければ、不可能であったと誰でも想像がつくところです。 では、それぞれの人は、生れてからどうやってその能力を発達させていくのでしょうか? という問いは言語

          外国語が身につく、上達するって?