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ことばをくださいと手を伸ばす

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瞬きのその一瞬のなかに。過ぎさっていった、そしてまだ見ぬはずのすべての時間、記憶、感情を、幾重にも重なっているそれを見ているような、とても遥かな気持ちになることはありませんか? … もっと読む
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祭り囃子がきこえる

祭り囃子がきこえる

秋神輿ひびき残して夜へ夜へ

色づく

色づく

近所の公園の柿の木が色づいていました。
夏の日に、やさしい木陰をつくってくれていたのに、秋になるまで正体に気がつかなかった。そんなことってありますね。

噤む木の実のいろついに柿と告げ

夏がゆく

夏がゆく

夏の雨。
なんとなく明るい切なさがある気がします。

夕立を 追ってひかりの 弓を張り

ゆめうつつ

ゆめうつつ

真夏の昼下がりが好きです。
心地よく疲れて横になって。まだ眠りたくはないのに、だんだんとこの世界が遠くなって、どうしても逆らえなくて落ちていく感じがまた。

夢の戸に至りて遠く蝉時雨

春風

春風

風が優しすぎて優しすぎて。
このまま消えてしまいそうな心地。
この日を選んで遠くから旅をして来たのだね。
たぶん、そう。

優しき日みつけて春の風となる

眩しい

眩しい

葉桜の頃よ袖巻く腕の白

見紛う

送電線のうえにムクドリの群れかと思ったら、それが鳥避けでちょっと笑ってしまった。
いろんな意味で春です。

樹脂の鳥電子の枝にも風光り

揺れる

揺れる

目眩のように、白昼夢のように
いつかの白い一瞬。

デジャヴにも似て陽炎をじっと見る

濯ぎあがって光る

濯ぎあがって光る

おはようございます。
昨日の夢もすっかり洗われて。朝です。

こでまりにのこして光り夢のつぶ

白い夜

白い夜

ビル並みがいつもより遠くぼんやり見える。
世界とわたしの輪郭もぼやけているような夜。

切りたての髪からのぞく耳たぶを、撫でてゆく生温い風。
これから生まれるいのちが瞼を閉じて夢を見ているような、夜。

ビルの灯もおぼろ仄白き春の夜半

微修正を致しました。

ちいさなからだいっぱいに春

その色、そのかたち、その香り。
ちいさなからだから「春」という響き。

見るほどに春のこぼれて桜餅

たんぽぽのような

たんぽぽのような

どんなところでも咲いてみせましょう。
にこりと言ってのける。

そんな強さと朗らかさと構わなさをもっている。

石の間に笑むわれもまた黄たんぽぽ

ことばを探して手を伸ばす

ことばを探して手を伸ばす

わたしと俳句の出会いは小学校だった。

「修学旅行の思い出を俳句にしましょう」という授業で初めて「俳句」という世界にそっと触れることとなったのだ。

授業が佳境に入る。日光を舞台に、思い思いの拙くも自由でかわいらしい句が詠まれていく。

わたしの記念すべき初めての一句はというと。

眠り猫春の光で眠たそう

うん。わかる。ですよね。いやはや、小学生らしくてかわいいなあと思わずにっこり。

でも、こ

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